国際化への第一歩は早くも足踏み!?
国際剣道連盟(IKF)は、GAISFに加盟申請をした。しかし、4
月20日、ベルリン(ドイツ)において開催されたGAISF年次総
会で加盟に必要な賛成票を得ることはできなかった。この会議
に出席していたIKFの竹内淳事務総長と過去12年間毎年加盟団
体として出席している世界フライングディスク連盟理事・師岡
文男上智大学教授に話を聞いた。
GAISFとは。それに加盟する意義とは
なぜ−KFが加盟を申請することになったのかを説明する前に
、そもそもこの組織はどういったものなのか、あまり日本人に
はなじみのない団体だけに説明を要するだろう。
正式名称は、General Association of International Sports
Federations
。日本語では国際スポーツ団体総連合、または国際競技団体連
合と言われている。IOC(国際オリンピック委員会)と密接な
関係にある国際スポーツ機構のひとつで、3大陸30カ国以上に
普及している国際スポーツの団体(IF)で、総会で承認された
団体が加盟を許可される。
本部はモナコのモンテカルロにある。
オリンピック競技はもちろん、オリンピック競技でないラグ
ビーやボウリング、合気道、空手、柔術といった競技も加盟し
ている。また、「マインド(知力)スポーツオリンピック」開
催を目指しているチェス、ブリッジ、チェッカーズや囲碁も「
スポーツ」の定義に適合しているため会員となっている。さら
に、国際総合競技大会の主催団体国際ワールドゲームズ協会、
国際パラリンピック委員会、国際冬季オリンピック競技
団体連合など)も関連会員として加盟しているのが特色といえ
るだろう。この組織は、加盟団体のスポーツの普及活動、雑誌
や「国際スポーツ・カレンダー」の発行、国際スポーツ会議ス
ポーツアコードの共催、「世界スポーツ・フォー・オール会議
」の後援などを行なっているが、世界最大のスポーツ組織であ
ることから総会は、格好のロビー活動の場となっている。GAISF
はIOCとは別組織だから、加盟したことでその競技が
オリンピック種目に入れる、というわけではない。
ではなぜIKFはGAISFに加盟する必要があったのか。ひとつに
は、ヨーロッパからの強い要請があった。IKFには44の国と地
域が加盟しており、そのうち欧州からの加盟は24にのぼる。
「欧州では国際組織がGA−SFに入っていないと正規のスポーツ
団体として政府から認められない傾向があります。政府の補助
を受けるにしてもそうで、たとえば体育館を借りるとき複数で
競合した際にはGAISFに入っているほうが優先的に借りられる
そうです」
と、国際剣道連盟の竹内淳事務総長は語る。
もうひとつには「国際的な統括団体」として認められる必要
性があるからである。もっと言えば、その必要性に迫られてい
るからともいえる。これについては後述する。
剣道だから否決されたわけではないが来年以降、
新たな障壁がある可能性も!?
GAISF加盟申請の話は突然降って湧いたことではない。ヨー
ロッパではたびたび遡上に上がっていた話題で、2000年の世界
選手権大会前のIKF理事会でも議題にあがっていた。そして、2003
年の理事会で申請を行なうことが概ね了承され、昨年の理事会
で正式に決定したのである。
今年のGAISF総会において、加盟申請をしたのは6つの団体。
クロスボウ、ドラゴンボート、キックボクシング、ムエタイ、
プラクティカルシューティング(射撃)、そして剣道であった
。加盟に必要な条件は各団体いずれもクリアしていた。
投票の前には各団体のプレゼンテーションが行なわれ、その
後質疑応答が行なわれる。剣道の加盟に対してはヾ賛成意見も
反対意見もまったくなかった。総会に出席していた師岡文男氏
の目から見ても、その一連の流れから、否決されようとは思っ
てもみなかったのだそうだ。そして、剣道のみならず6つの団
体はすべて加盟を否決されたのである。
「そんな事態は過去経験がありません。結果は、剣道は賛成35
反対24、棄権7、まさか剣道が落ちるとは思わなかったので驚
きました。棄権に回ることはあり得るのですがこれだけの反対
票は決して少ない数字ではありません」(師岡氏)
IKFも近日中に質問状をGAISF総会に提出する予定だというが
、なぜこれだけの反対票が出たのか、理由がはっきりしない。
考えられる要因として、ひとつにはシステムの問題がある。今
回、賛否に際して初めて電子投票が採用された。
前年までのように札を上げての賛否よりは、電子投票のほうが
「NO」を言いやすい面があったのではないかと師岡氏は推測す
る。また、これまで承認には出席者の3分の2以上の賛成があれ
ばよかったが、今年は4分の3に上がったことも影響している(3
分の2以上の賛成を獲得した団体はあった)。
いずれの団体も理事会の承認は得ているのに、すべての団体
が申請を否決されたということは、理事会のメンツが丸つぶれ
ということも言える。投票方法や認可のハードルは来年また変
わる可能性はあるかもしれない。
もうひとつ考えられる可能性は、剣道の加盟に反対する団体
が影で反対運動をしたかもしれないということだ。申請団体に
あったドラゴンボート連盟の加盟には、国際カヌー連盟が猛烈
に反対をしていた。そして、会議が始まる前、カヌー連盟の関
係者が師岡氏のところにやってきて賛成票を投じないように
声をかけてきたという。あくまで推測の域を出ないが、剣道に
対してもそういった『力』が働いた払、と勘ぐることもできよ
う。
関連するかは定かではないが、先に上げた団体の他にWOMAF
(世界武術連盟・World Organization Martial Arts Foundation
)という団体も申請したが、今回の総会では審議が見送られて
いる。この連盟は合気道、柔道、柔術、空手、
サンボ(ロシアの格闘技)、相撲、テコンドーなど9競技を統
轄する団体だそうである。しかし実際は、「いろんな団体を傘
下にして連盟をつくろうとしているらしく、『IKFとはいま交
渉中』と語っているらしいのですが、まったくコンタクトはあ
りません」(国際剣道連盟・竹内事務総長)
会長選任の決まりすらないようないい加減な団体で、実際に
加盟が認可される見通しはかなり難しいようだが、仮に認めら
れた場合、国際剣道連盟はその傘下の団体ということになって
独自の加盟の道が閉ざされる可能性が出てくるわけだ。
加盟の道が閉ざされることは、決して日本にとって『対岸の
火事』ではない。世界の剣道関係者が一気に類似団体のほうへ
流出する可能性も出てくる。もし類似団体が『主流』になれば
、国内の剣道愛好者もどちらに加盟するか選択するような状況
になる。だから「国際的な統括団体」として認められる必要が
あるのだ。
さらに、類似団体という意味で見逃せないこともある。韓国
で「世界剣道連盟」が設立されたことは以前小誌でも紹介した
が、これがもし来年以降GAISF加盟をすれば、類似団体が競合
して申請という事態になる。今回申請したキックボクシングと
ムエタイは、あまりにも似ているということで両団体とも加盟
申請は否決。互いにつぶし合いの形になった。
来年のGAISF総会の開催地は韓国ソウルで、4月8日開催の予
定である。採決の票を持っているのは「国」ではなく「加盟団
体」であることも見逃せない。
「会長、事務局長が基本的に出席する会議ですが、そういうポ
ジションに日本人がほとんどいません。来年は韓国ですから、
各連盟のトップの方が韓国あるいは中国系の理事を会長代理と
して派遣することは充分考えられます。この影響は無視できま
せん」 (師岡氏)
こうなるともはや政治もからまざるを得ない。「日本剣道が
いかに韓国剣道と明らかに違うスポーツで、国際的に普及して
いるものであるかを各団体に理解してもらうことが重要だ」と
師岡氏はいう。国際化の是非をうんぬんする段階ではもはやな
い。もう「章は投げられた」状態なのである。
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