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続々・ボンバールとスーパー・ダンボ

2011/12/14 21:53

これまでに判明したB−29スーパー・ダンボの姿は、まず飯山氏の『B−29恐るべし』にある記述から、



 一九四五年の初頭から数機のスーパーダンボが救難飛行隊(ARS)に所属してこの任務に就いたが、やがて16機がスーパーダンボとして用いられるように。波間に漂う要救助者を見つけるとA−3ボートはパラシュート投下されて不時着水機の乗員たちを収納。A−3ボートは耐水コンパートメント、防水テントも備えていたが、五百マイル(八百キロ強)の自力航行も可能だったという。

          (169ページ)



…というものであり、「世界の傑作機シリーズ」の『ボーイングB−29』の記述から、搭載されているエドA−3ボートについて、


 A−3は全長29ft9in(9.07m)のアルミ合金製で20区画の耐水コンパートメントと悪天候用のテントふたつを持ち、エンジンで500mile(805km)もの自力走行ができた。

          (36ページ)



…というスペックの高さと、



 4ERS(Emergency Rescue Squadron)

 1945年4月から20AFの隷下で、硫黄島を基地にして救助任務に従事。B−29の胴体下に救命ボートを付けた、「スーパー・ダンボ」のほか、B−17H「ダンボ」とOA−10A(PBY−5Aの陸軍型)を使っていた。

          (52ページ)



…という部隊配備状況までがわかった。

4ERS部隊にはスーパー・ダンボの他に、B−17H「ダンボ」とOA−10A(PBY−5Aの陸軍型)も配備されており、それらのチームが、空から不時着水したB−29搭乗員を捜索し、全長29ft9in(9.07m)のアルミ合金製で20区画の耐水コンパートメントと悪天候用のテントふたつを持ち、エンジンで500mile(805km)もの自力走行可能な救命ボートを投下し、海軍艦艇に救助されるまでの搭乗員を支援するのである。





ここで、アラン・ボンバールの知見を思い出そう。

ボンバールは次のように書いていた。


  船が沈むとき、人々は世界が船とともに沈むと思いこむ。足を支える板がなくなるので、勇気と理性が同時にすっかり失われてしまう。


  ボートのなかでぐったりとなって、自分たちのみじめさを見つめているだけである。彼らはもはや生きていないのである。

  くらやみのなかで水と風にふるえ、空間、もの音、あるいは静けさにおののく海難者にとって、死ぬのには三日で十分なのである。



ここには不時着水と難船との違いはあるが、広い洋上をいつか発見される偶然に頼り漂流するだけという状況は多くの人間には耐え難いものであり、たとえ救命ボートを手に入れられたとしても「死ぬのには三日で十分」という事態になってしまう、とボンバールは言うのである。



それに対し、スーパー・ダンボやOA−10A飛行艇が空から捜索し、海軍艦艇が洋上から支援し、つまり太平洋上を漂流する搭乗員を発見し救助するための努力が存在するという事実は、孤立無援の絶望感に沈むことではなく生き延びる可能性を考えることにつながるだろう。それは、洋上に不時着水した搭乗員の生存率の向上に、大きく寄与したはずである。
そこにあるのは自分たちが「見捨てられてはいない」という希望であり、より正確には自分たちが「見捨てられることはない」という信頼感である。






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最新コメント

  • Comment : 1
    umasica :桜里
     2011/12/14 22:55
    実際に捜索されることで救助され生存が確保されるわけだが、
    ボンバールの知見により推測されるのは、
    捜索されているという事実があり、
    救助のためのシステムが存在するという事実が、
    それだけで生存率の向上をもたらすだろうという構図である。

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