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琉球國の「独立」の問題をめぐって 6

2013/02/19 22:22


「琉球処分」の過程を考えようとする際に、


 維新慶賀使としての伊江王子・伊江朝直は、琉球國の独立喪失にいかなる責任を負うべきなのか?


…との問いを発してみたわけだ。


しかし、そもそもは、いつ、琉球國は独立を喪失したのか? まず、そこから問わねばならないと、私は判断し、あらためて、


 「琉球処分」により、琉球國の独立が終焉を迎えたのか、それともそれ以前に(薩摩藩の支配により)琉球國の独立は失われていたのか?


 伊江王子が「琉球処分」の最初の段階を受け入れたことで琉球國が独立を失ったのか、そもそもそれ以前に既に独立状態ではなかったのか?


…というところから考えてみようと思ったわけだ。


ただ、その際に、


 「琉球処分」以前の琉球國における独立の問題は、戦後の本土復帰運動の評価とも連動する問題であり、つまり論者の政治的立場が反映されるような性格の問題であったこともあり、余計に複雑な展開を見せるものとなっている。


…という構図への目配りの必要も痛感させられた。




この問題については、詳細に立ち入るよりは、まず、大里知子氏の「『琉球処分』論と歴史意識」にある、



 屋嘉比は、近代以降の沖縄人が「日本帝国臣民でありながら、同時に近代日本国家の中で抑圧された沖縄人でもあるという、両義的位置」におかれたことで、常に「二重意識」を持つ存在としてあり、沖縄の統治政策は、「一方で沖縄に近代化や文明化としての『解放』をもたらした側面もあったが、他方で沖縄の歴史や文化に対して差別的偏見に基づく『抑圧』の歴史」でもあったとしている。「琉球処分」はまさに、近代化、文明化、日本化の名のもと「頑迷固陋」と称された旧体制からの「解放」の側面もあったが、同時にそれは沖縄の歴史や伝統文化に対する「差別」「偏見」を伴い、強圧的な政策により「同化」を迫ってくる「抑圧」の側面も強くあった。
 そしてこの「両義性」や「二重意識」は、現在もなお沖縄に影を落とし続けているという意味において、「琉球処分」の論者自身が、「解放」の側面を享受した・享受したい・享受すべきという立場から論じているのか、それとも「抑圧」に対する抵抗、怒りを表す立場から論じているのかによってえがかれる「琉球処分」像は変わってくる。逆に、読者がどちらの意識をもって「琉球処分」を読むかによってもまた捉えられる歴史像は違ってくる。いいかえれば、「琉球処分」当時に沖縄社会にもたらされた「解放」と「抑圧」の「両義性」、そしてその後の歴史過程の中で、「琉球処分」を描く側、読み取る側がもつ「両義性」と拠って立つ立場、それらがどのように相互に作用しているるかをみることによって、別の視点から「琉球処分」を問い直すことが出来るのではないだろうか。
     大里知子 「『琉球処分』論と歴史意識」 2012  374〜376ページ
     http://repo.lib.hosei.ac.jp/bitstream/10114/7171/1/12_oki_38_ozato.pdf



…という形での整理の仕方から全体の構図をつかんでおきたい(ここで大里氏は、屋嘉比収氏の『〈近代沖縄〉の知識人 島袋全発の軌跡』 吉川弘文館 2010 にある問題意識を継承しているわけである)。


戦後の米軍統治下の沖縄には、いわゆる「革新」陣営の側が「本土復帰・祖国復帰」運動を展開した歴史がある。

そこに見出されるのは日本への帰属意識であろう。「復帰」は、「独立」した沖縄(かつての琉球國)への復帰としてではなく、「日本」の一部(つまり沖縄県)への復帰として描かれたわけである。

沖縄のマジョリティーは、「平和憲法」を持つ「祖国日本」への「復帰」を望み、米軍基地の縮小を期待したのであった。

しかし、祖国復帰が実際にもたらしたのは、沖縄県民の望まない、米軍基地の固定化であった。本土では米軍基地が縮小されていたにもかかわらず、それが沖縄に及ぶことはなかったのである。

あらためて、日本という国家への帰属意識自体が問われることになる。








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