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琉球國の「独立」の問題をめぐって 7

2013/02/20 21:37


「琉球処分」とは、日本と清国への「両属」状態にあった琉球國が、日本の内部存在として再定義される歴史的過程であった。


その時点で、琉球(あるいは沖縄)の人々は、日本という国家の内部存在となる。琉球人(沖縄人)は、日本という(やがて大日本帝国と自称するに至る)国家に帰属する存在とされることになるわけである。




論を先に進める前に、琉球人と呼ぶべきか沖縄人と呼ぶべきかについて、ここでの私の考え方を書いておこう。

もちろん、これは、まずもって当事者の意識の問題であり、当事者の自称の問題である。

ただ、沖縄という名称を用いた場合、それがかつての琉球國の領域及びその領域を継承している沖縄県の領域全体を指すものであるのか、あるいは特に沖縄本島を指すものとして用いているのであるのかが判別し難いという問題が生じる。その点を考慮し、引用文の場合は別として、今後の私の論の上では、「沖縄人」を沖縄本島に住む人として限定的に用い、琉球國の領域民あるいは沖縄県の領域民について(後者については沖縄県民あるいは沖縄県人とする場合もあるだろうが)は包括的に「琉球人」と呼ぶことにする。

(あくまでも混乱を避けるための便宜的措置である)




さて、あらためて、琉球人の帰属意識の問題に戻ることにしよう。


首里王府の国王により支配された琉球國について考える場合、そこに存在するのは近代的意識の下にある国民国家ではない。

琉球國の支配層にとっては、琉球國こそが帰属意識の向かう先であったにせよ、被支配民として琉球國の領域住民であった人々には、琉球国民としての意識など存在しなかったはずである。生まれ育った村あるいは島が帰属意識の対象となることはあっても、琉球國の領域全体を帰属意識の対象とすることはなかったであろう。


そこには、大里知子氏の言う、


 「琉球処分」はまさに、近代化、文明化、日本化の名のもと「頑迷固陋」と称された旧体制からの「解放」の側面もあったが、同時にそれは沖縄の歴史や伝統文化に対する「差別」「偏見」を伴い、強圧的な政策により「同化」を迫ってくる「抑圧」の側面も強くあった。


…という構図が存在する。

首里王府と薩摩の二重支配による過重な搾取の対象であった被支配層に属する琉球人からすれば、そのような「旧体制」への帰属意識を持つことを期待される謂われはない。「琉球処分」はむしろ、そのような旧体制からの脱却・解放として、被支配層としての琉球人からは受け取られた側面がある。



また、安良城氏が紹介していた、真境名安興の『沖縄現代史』(1923)に、



(1)「是より先幕府の末路より維新に至りし政変が、如何に沖縄に於て観測せられしかといふに、慧敏なる沖縄の政治家は当時外国船?々渡来して外国関係を生ぜしより、夙に世界の気運に鑑み、我国の開国の巳むべからざるを察知し、延いて亦沖縄の政界にも何時か低気圧の襲来すべきことを予測せり。安政5(1858)年即ち明治12(1879)年に於ける沖縄の廃藩置県を距ること20年前に於て、当時73歳の紫金大夫林文海 (城間親方) は、英仏の勢力が漸く東亜に瀰漫し来り、支那に朝貢せし安南の未路を観て、琉球の運命を揣摩し、支那と朝貢を絶ちて、我本土と併合統一せられべきことを論断し


(2)「当時の碩学本国興 (津波古親方政正)の如きは、明治4 (1871) 年に於ける各藩の廃藩置県の処分を観て、沖縄の将来を揣摩し、視察員を内地の藩に派遣して、その状況を調査せしめ、寧ろ我より進んで、版籍奉還を為すを以て沖縄の国益なりと主張し、建策する所ありしも、当時の国論は之を腐儒迂人の言として一顧を与えられざりきといふ。又彼は、本土の事情を知らしむる為に、初めて当時の新聞紙を尚泰王に奉りたるに依り、益々世人の指弾を受けた


…とあったように、琉球國の支配層の中にも、当時の国際情勢の把握や明治維新後の日本の国内状況の観察から、


 支那と朝貢を絶ちて、我本土と併合統一せられべきことを論断


 寧ろ我より進んで、版籍奉還を為すを以て沖縄の国益なりと主張


…するに至った人物の存在が知られてもいるのである。


「版籍奉還を為すを以て沖縄の国益なり」とあるように、琉球國の支配層に属しながら、しかも琉球國の「国益」という視点に基づき、「藩籍奉還」という形式での琉球國の消滅(日本の内部化)を主張する姿には、近代世界に呑み込まれようとする小国の運命が反映されているように思われる。

林文海 (城間親方)や 本国興 (津波古親方政正)に「日本」への帰属意識があったとは考え難いが、琉球の日本への積極的帰属が、合理的選択肢として彼らの中では位置付けられたわけである(ただし、琉球國支配層の支持を得るには至らなかったが)。









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