umasica :桜里さんのマイページ

音声情報としての言葉と視覚情報としての言葉と… 3

2013/04/30 21:04


百瀬文さんの映像作品『聞こえない木下さんに聞いたいくつかのこと』をめぐって考えているわけだが、前回は、



 聴覚に支障がなければ、音声言語による会話は音声情報のやり取りとしてそのまま成立し、文字情報への変換は常に必要なものではない。

 聴覚に障害があり「口話」を会話の手段とする場合、相手の発話は音声情報であっても、口の開き方という視覚情報によってのみ把握が可能になるわけだ。口の開き方という視覚情報は、常に文字情報への変換による理解を必要とするものなのであろうか? 口の開き方という視覚情報がそのまま「言葉」として理解されることはないのであろうか?



…という形で、私にとっての問題の構図がどのようなものであるのかについて表現してみた。


もちろん、当人の話を聞けば済む話ではあるのだが、ここでは「話を聞くとはどういうことなのか?」という問題を耳の聞こえる側がどのように取り扱えるのかを、想像力の中だけで、もう少し考えておきたい。


想像力の中で考えるという方向ではなく、脳内過程の問題(「脳科学」の対象)として取り扱えば、当人の話を聞くのとは別の形で、実際のメカニズムは明らかになるであろうが、それは私の力の及ぶところではない。




聞こえない状態、聴覚のない状態を想像することは、一見したところ、それほど難しいものとは思えない。

しかし、聞こえる側の人間にとって、聞こえない現実は想像力を超えたところにある。

視覚の場合、眼が顔の前面についているために、視界は顔の向きに規定される。要するに視界は前方に限られ、視覚情報から後方は常に除外されているのである。

それに対し聴覚の場合は、(前方に優位性があることは確かであるが、それでも)全方向が対象となる。後方は聴覚情報からは除外されていないのである。

つまり、視覚の喪失は前方情報の喪失を意味する(後方情報は最初から存在しない)が、聴覚の喪失は全方向にわたる情報の喪失を意味するのである。
耳が聞こえないということは、視覚が確保されていれば前方の外界情報は得られても、それ以外の方向の外界情報を持たないということを意味する。


「口話」の問題に戻れば、「口話」が可能になるのは、相手が前方に位置し、しかも口元が見える場合のみなのである。耳の聞こえない人間にとっての音声情報の取得は、「口話」を通してであれ(「手話」による「翻訳」を通してであれ)視覚に依存せざるを得ないのであり、それは当人の前方に提示されない限り、存在しないのと同じなのである。逆に言えば、耳の聞こえる人間にとっては、音声情報は、前方に限定されることはなく、遍在するものなのである。


耳が聞こえるということは、音声言語に(つまり言葉に)周囲を囲まれた状態にあることを意味するが、耳が聞こえないということは、外部の言葉が前方にしか存在しない状態にあることを意味するはずである。

文字言語もまた視覚的言語であり、身体の後方に示された文字を読むことは出来ないのである。

しかし、耳が聞こえないという状況にあっても、人が言葉を用いて考えをめぐらしていることは確かであり、そこでは身体の方向に拘束されることはないはずである。

その際、言葉はどのように存在しているのであろうか。









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最新コメント

  • Comment : 1
    umasica :桜里
     2013/04/30 21:52
    追記用のメモ記事の3回目。
    (百瀬文『聞こえない木下さんに聞いたいくつかのこと』に関して)


    追記予定先

     聞こえない木下さんと屠場の人の声
     http://uma-sica.cocolog-nifty.com/blog/2013/04/post-5233.html

  • Comment : 2
    umasica :桜里
     2013/04/30 22:02
    《前記事》
     音声情報としての言葉と視覚情報としての言葉と…
     http://www.freeml.com/bl/316274/202847/

     音声情報としての言葉と視覚情報としての言葉と… 2
     http://www.freeml.com/bl/316274/202886/

  • Comment : 3
    河童
    河童さん
     2013/04/30 23:50
    http://ttensan.exblog.jp/18668205/

    まあこういう捏造もあるとか。
    在特会タタキしてるのが 極左暴力集団だし
    朝日新聞派捏造記事かいてるし。
    朝日にだ舞うSareruMLの人たちも純粋っちゃ純粋。
    レイシスト シバキ隊のリーダーなんてのは北九州のガレキ受け入れ反対のとき
    来た極左の小遣い稼ぎバカだし。
    あまいよ 桜里さん。

  • Comment : 4
    umasica :桜里
     2013/05/01 03:47
    《『聞こえない木下さんに聞いたいくつかのこと』関係者の方へ》

         場違いなバカのコメントは無視して下さい

  • Comment : 5
    河童
    河童さん
     2013/05/01 22:06
    そのとおりです。
    私は 桜里さん以外見えないですから。
    よろしく。

  • Comment : 6
    umasica :桜里
     2013/05/01 22:28
      ↑
    (どうやら「お祓い」が必要になってきたらしい)

  • Comment : 7
    umasica :桜里
     2013/05/02 23:29
    《続き》

     音声情報としての言葉と視覚情報としての言葉と… 4
     http://www.freeml.com/bl/316274/203002/

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