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平和のための戦争(事変、侵略、戦争)

2015/08/19 20:14



     満洲事變に際し關東軍に下し給へる勅語

                    昭和七年一月八日

曩ニ満洲ニ於テ事變ノ勃發スルヤ、自衛の必要上、關東軍ノ将兵ハ、果斷神速、寡克ク衆ヲ制シ速ニ之ヲ芟討セリ。爾来艱苦ヲ凌キ祁寒ニ耐ヘ、各地ニ蜂起セル匪賊ヲ掃蕩シ、克ク警備ノ任ヲ完ウシ、或ハ嫩江・齊齊哈爾地方ニ、或ハ遼西、錦州地方ニ氷雪ヲ衝キ、勇戰力闘、以テ其ノ禍根ヲ抜キテ、皇軍ノ威武ヲ中外ニ宣揚セリ。朕深ク其ノ忠烈ヲ嘉ス。汝将兵、益々堅忍自重。以テ東洋平和ノ基礎ヲ確立シ、朕カ信倚ニ對ヘムコトヲ期セヨ。





     支那事變一周年記念日に際して下されし勅語

                    昭和十三年七月七日

今次事變ノ勃發以来茲ニ一年、朕ガ武勇ナル将兵、果敢力闘、戰局其ノ歩ヲ進メ、朕ガ忠良ナル臣民、協心戮力、銃後其ノ備ヲ固クセルハ、朕ノ深ク嘉尚スル所ナリ。

惟フニ、今ニシテ積年ノ禍根ヲ絶ツニ非ズムバ、東亞ノ安定、永久ニ得望ムベカラズ。日支ノ提携ヲ堅クシ、以テ共榮ノ實ヲ擧グルハ、是レ洵ニ世界平和ノ確立ニ寄與スル所以ナリ。

官民愈々其ノ本分ヲ盡シ、艱難ヲ排シ、困苦ニ耐ヘ、益々國家ノ總力ヲ擧ゲテ、此ノ世局ニ處シ、速ニ所期ノ目的ヲ達成セムコトヲ期セヨ。



     (森清人 『詔勅虔攷第三巻 詔語索引』 慶文堂書店 昭和十七年)




満洲事変に際しては、日本の軍事行動は「自衛」のためとされ、日本の軍事行動は「東洋平和ノ基礎ヲ確立」とされた。

支那事変に際しては、中国に対する日本の敵対的軍事行動は「日支ノ提携ヲ堅クシ、以テ共榮ノ實ヲ擧グルハ、是レ洵ニ世界平和ノ確立ニ寄與スル」ものと位置付けられていた。


現在の日本政府(安倍政権のことであるが)は、首相談話を通して、


  満州事変、そして国際連盟からの脱退。日本は、次第に、国際社会が壮絶な犠牲の上に築こうとした「新しい国際秩序」への「挑戦者」となっていった。進むべき針路を誤り、戦争への道を進んで行きました。


…との認識を示し、


  事変、侵略、戦争。いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。植民地支配から永遠に訣別し、すべての民族の自決の権利が尊重される世界にしなければならない。


…との認識を示している。


しかし当時の勅語が示す認識を読めば、「事変」は、「自衛」のための軍事行動とされ、日本の軍事力行使は東洋平和の確立のため、世界平和の確立のためとされていたのである。

そして、事変の終わりの見えない拡大の果ての対米英宣戦の詔書もまた、「自存自衞ノ爲」に、そして「東亞永遠ノ平和ヲ確立」のための米国と英国を相手とした軍事力行使=戦争の開始の宣言なのであった。



安倍首相の戦後七十年談話には、


  我が国は、先の大戦における行いについて、繰り返し、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明してきました。その思いを実際の行動で示すため、インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史を胸に刻み、戦後一貫して、その平和と繁栄のために力を尽くしてきました。


…との認識が示されている。「自衛」のため、「東洋平和ノ基礎ヲ確立」するための「事変」、そして「帝國」の「自存自衞ノ爲」であり、「東亞永遠ノ平和ヲ確立」をもたらすはずであった対米英戦争は、実際には「インドネシア、フィリピンはじめ東南アジアの国々、台湾、韓国、中国など、隣人であるアジアの人々が歩んできた苦難の歴史」として現実化したのである。


もちろん、帝國日本の「自存自衛ノ爲」に開始された戦争が日本人自身にもたらしたものは、安倍首相によって、


  先の大戦では、三百万余の同胞の命が失われました。祖国の行く末を案じ、家族の幸せを願いながら、戦陣に散った方々。終戦後、酷寒の、あるいは灼熱の、遠い異郷の地にあって、飢えや病に苦しみ、亡くなられた方々。広島や長崎での原爆投下、東京をはじめ各都市での爆撃、沖縄における地上戦などによって、たくさんの市井の人々が、無残にも犠牲となりました。


…として語られた歴史的現実であった。


「自衛」を名目とした対外的軍事力行使、「平和の確立」を名目とした対外的軍事力行使がもたらしたのはどのような現実であったのか?

首相は、その談話の中で、


  いかなる武力の威嚇や行使も、国際紛争を解決する手段としては、もう二度と用いてはならない。


…と強調しているのである。


首相は自身の談話を通し、自分が何を主張したことになるのかを理解しているのだろうか?

米議会演説は英語であったが、今回は日本語である。英語で自分が何を話したのかを理解していないように見えるのも困ったものだが、今回の「談話」は日本語なのである。








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最新コメント

  • Comment : 1
    umasica :桜里
     2015/08/19 21:06
    問題は安倍晋三氏の歴史認識にあるのではなく、
    安倍晋三氏の日本語能力の方にあるような気もしてくるのであった。

  • Comment : 2
    umasica :桜里
     2015/08/21 00:46
    前後記事と併せて、ココログ版の「現代史のトラウマ」記事としてアップ。


     平和のための戦争、そして自衛のための戦争
     http://uma-sica.cocolog-nifty.com/blog/2015/08/post-edd6.html

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