umasica :桜里さんのマイページ

洋上のB-29

2016/03/23 21:51

見つけたのは一ヶ月以上前になるのだが、「御遷宮」のあれこれに時間を取られてそのままになっていた動画である。

不時着水したB-29の乗員の救助の模様が撮影された(それもカラーである!)フィルムなのだが、あらためて詳細を見、解説を読んでみると、何とそれが3月10日のあの「東京大空襲」の際のエピソードであったことに驚かされた。



B-29の手厚い救難システムについては既に記事としてあるが(「統帥の無責任としての特攻精神 3 (B−29と戦争遂行のマネジメント)」、「統帥の無責任としての特攻精神 4 (洋上のB−29)」、「統帥の無責任としての特攻精神 5 (洋上のB−29と特攻精神)」)、その実際が映像として記録されていたのである(そしてそれが動画サイトにアップされていた!)。



動画に付された説明によれば、12分ほどのフィルムは不時着水したパイロットの息子であるマイク・マッキャスキル(Mr. Mike McCaskill)氏から提供されたもので、不時着水の際に背中を負傷したマッキャスキル氏の父が後送先の米国本土の病院での療養中に、フィルムを撮影したカメラマンと偶然に出会い、カメラマンから贈られた未編集状態の2巻の16ミリフィルム(父のために作成されたコピー)なのだという。ただし、16ミリ映写機を所有していなかったので未見のまま父のクロゼットの中で数十年の時を過ごすこととなっていたという話である。


カメラマンは、救難活動に従事していた米海軍の水上機母艦「ベーリング・ストレイト」( USS Bering Strait (AVP-34) )の艦上から、マッキャスキル氏の父バーナード・“バーニー”・マッキャスキル・ジュニア大尉(Captain Bernard "Barney" McCaskill Jr.)の操縦するB-29「ホープフル・デビル」( "Hopefull-Devil" )の不時着水の瞬間と、救助の過程をフィルムに収めている。


燃料の不足からテニアンの基地までの飛行が不能になったための「ホープフル・デビル」からの救難要請に「ベーリング・ストレイト」が対応し、マッキャスキル大尉の操縦するB-29は「ベーリング・ストレイト」を目標に飛行し、幸運にも艦の近くに不時着水するのである。




     


     https://www.youtube.com/watch?v=Cme9JcdSepA




更に動画に付された説明を要約(フィルムに映ってない部分も含め)しておくと、2メートル近い波浪に覆われた海面への着水であったために、時速100マイルで着水した機体は海面を滑走することなく、ほぼその場で停止し、その衝撃の大きさのために大尉は背中に大きなダメージを受けてしまう(機体も大破している)。

それでも操縦室からの脱出には成功し、幸いにもクルー全員の無事を確認する(機長以外の負傷者は、顎に裂傷を負ったリヴァス伍長のみ―この二名はパープル・ハート勲章を受ける)。しかし、機体は大破しており、大尉は泳げない部下のために自身の救命胴衣(「メイ・ウェスト」と呼ばれている)を提供するだけでなく、副操縦士として搭乗していた(ただし、正規のクルーではない)マコンバー大佐(Col. Macomber)と共に海に飛び込み、部下のための救命用ゴムボートの保持に苦闘する(その模様はフィルムには記録されていない)。

フィルムには着水シーンと、救助艇の接近、救助の過程、救助艇から母艦へのB-20クルーの引揚げ、母艦内のクルーの様子、救助艇による海上浮遊物の回収の模様、そして母艦からの下船までが記録されている。


フィルム全体を通して、現場の浪の高さが感じられると思う。他の不時着水の事例(「統帥の無責任としての特攻精神 4 (洋上のB−29)」参照)などを読むと、B-29は沈みにくい構造を持つ機体だったようで(例えば「アルバート・クロッカー大尉操縦の捜索機が行方不明のB−29と乗組員を初めて発見したのは、正午少し前であった。大尉は捜索開始六時間後ようやく、まだ浮いていたB−29の尾翼が太陽に反射してきらめくのに気づき、なお仔細に観察していると、近くに搭乗員の乗る筏が浮いているのが見えた。クロッカー大尉は駆逐艦を呼び出し、軍艦「カミングス」が現場に到着するまで四時間半上空を旋回していた。不時着水から一七時間が経過していた」のようなエピソードがあるし、搭乗員救助後も浮き続ける機体を救助作業に携わった海軍艦艇がわざわざ砲撃して沈めた―浮遊物化すると危険である―ような記述もある)、現場が浪静かであれば機体は大破を免れ、大尉も負傷せずに済んでいたかも知れない。

また、9分30秒過ぎくらいに、艦の甲板上構造側面にある(爆撃機で言えば)出撃マーク状の記入が興味深い。救命胴衣を装着した人型のステンシルが63確認出来る。これまでの救助者の数なのであろうか?









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