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議会の承認なしのシリア攻撃は大きな過ちだ…?

2017/04/08 22:16



  米トランプ政権がシリアのアサド政権への攻撃に踏み切ったことに対し、米議会内には容認論が強い一方、事前承認を経ない軍事行動を問題視する意見がある。政権は国際社会だけでなく、国内でも攻撃の合法性やシリア戦略についての説明を求められそうだ。
  共和党の大統領候補指名を争ったルビオ上院議員が「無実の人々に対するさらなる攻撃を防ぐ」と評価するなど、与野党双方からトランプ大統領の決断を支持する声が目立つ。
  ただ、手順については異論があり、民主党のケーン上院議員は7日、「倫理的には正しい」としたうえで、議会の承認がない軍事行動には「法的正当性がない」と指摘。同党のリュー下院議員も、政権の「一方的な決定」は憲法違反にあたると批判した。
     (毎日新聞 2017/04/08 21:00)



 ドナルド・トランプ大統領によるシリアへのミサイル攻撃に関する米国議会の反応だが、記事は、


  与党内でも、マシー下院議員が、トランプ氏が2013年8月にツイッター上で「議会の承認なしのシリア攻撃は大きな過ちだ」と投稿していたことを指摘。ライアン下院議長も、政権が追加攻撃を行う場合は「事前に協議するのがふさわしい」と議会との共同歩調を促した。
  シリア攻撃を巡っては、オバマ前政権も13年に議会承認を求めたが、共和党と民主党リベラル派が反対し、武力介入は土壇場で見送られた経緯がある。


このように続く。「与党」である(はずの)共和党のマシ―下院議員から、


  トランプ氏が2013年8月にツイッター上で「議会の承認なしのシリア攻撃は大きな過ちだ」と投稿していた


このようにトランプ氏自身の過去の主張との違いを指摘されてしまっている事実は非常に興味深い。


 この問題については、「アメリカ時間の6日夜に急きょ行なわれたシリアの空軍基地への攻撃について、アメリカの世論はおおむね前向きな受け止めを示しています」としながらも、


    一方、米軍の運用に大きな権限をもっている連邦議会では、保守強硬派の一部議員などが「事前に行動を承認しておらず大統領の越権行為だ」と批判の声をあげています。
     (TBS系(JNN) 2017/04/08 13:07)


このように連邦議会で「保守強硬派の一部議員」の批判があることを取り上げた報道もあった(それが誰であったのかは記されていないのが残念だが)。




 シリア軍により米国が攻撃されてもいないにもかかわらずシリアに対するミサイル攻撃をすることの国際法上の正当性の問題も、当然のことながら指摘されているが、米国内での手続き上の正当性も、(「保守強硬派」を含む)米国議会の側から問われてしまっているわけである。



 トランプ政権内での意思決定に関しては、


  シリア空軍基地へのミサイル攻撃を巡り、トランプ米政権内の内紛が表面化した。
  米メディアによると、トランプ氏の最側近だったバノン大統領上級顧問・首席戦略官がシリア攻撃に反対する一方、トランプ氏の娘婿クシュナー大統領上級顧問が実施を求めたという。攻撃の実現は、バノン氏のホワイトハウス内での影響力低下を示している可能性がありそうだ。

  米誌ニューヨーク・マガジンによると、バノン氏はシリアの化学兵器では米国民が犠牲になっておらず、米国が対抗措置を取るのはトランプ氏が推進する「米国第一」主義に反する、と進言したという。これに対し、クシュナー氏は、子供を含めた痛ましい被害が出ていることを踏まえ、「アサド政権を罰するべきだ」と訴えた。トランプ氏は、クシュナー氏の意見に賛同した。
     (読売新聞 2017/04/08 17:55)


このような報道もあるが、これまで大統領上級顧問・首席戦略官としてトランプ政権を主導してきたバノン氏は、そのイデオロギーに忠実に、


  シリアの化学兵器では米国民が犠牲になっておらず、米国が対抗措置を取るのはトランプ氏が推進する「米国第一」主義に反する、と進言した


にもかかわらず退けられただけでなく、


  バノン氏は4日、国家安全保障会議(NSC)の閣僚級委員会常任メンバーから外された。さらに今後は「更迭か、役割見直しの可能性がある」(米紙ウォール・ストリート・ジャーナル)という。


このように、トランプ政権の主導的地位を失いつつある。

 今回のシリア攻撃は、トランプ政権が掲げた当初の意味での(孤立主義的な)「米国第一主義」が後退しつつあることを示すものとも言えるが、国際社会への積極的介入を通しての「米国第一」の復活、つまるところブッシュの米国への復帰の兆候とも言えそうである。





 いずれにせよ、ドナルド・トランプも「支持率が落ちたら戦争」という基本に忠実な米国大統領の一人に過ぎなかったことが明らかになった一瞬でもあったが、それが就任後わずか100日の時点であったことでも、ドナルド・トランプは米国史上に名を残す存在となるであろう。










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最新コメント

  • Comment : 1
    umasica :桜里
     2017/04/08 22:39
    しかし、絵に描いたような米国大統領ぶりだ。

  • Comment : 2
    やわらか☆不思議猫
     2017/04/09 09:00
    実に政治家の鑑だ〜
    オレが過去にツイートしたぁ? そんなこまけーことはどーでもいいんだよ!

  • Comment : 3
    umasica :桜里
     2017/04/09 09:12
      シリアの化学兵器使用疑惑を巡り、トランプ米大統領はオバマ前政権の「弱腰と不決断」がシリア情勢の悪化を招いたと批判したが、就任前はシリア内戦に「介入すべきではない」と訴えており、メディアから矛盾を指摘されている。
      トランプ氏は2013年9月、ツイッターに「オバマ大統領がシリアを攻撃したがる唯一の理由はメンツを保つため。シリアを攻撃するな」と投稿。オバマ氏は当時、アサド政権の化学兵器使用で「レッドライン(越えてはならない一線)を越えた」としたが、土壇場で軍事介入を見送り、国内外から批判を浴びていた。
      トランプ氏は翌14年にかけてツイッターで何度もシリア内戦への対応に言及し、「米国の問題ではない」などと繰り返した。大統領選出馬表明後のインタビューでも「シリアと『イスラム国』(IS)を戦わせればいい」(CNN)、「米国にはアサドよりも大事な問題がある」(MSNBC)などと発言していた。
      5日のアブドラ・ヨルダン国王との共同記者会見で、報道陣から一貫性のなさを問われたトランプ氏は「私は頭が柔らかい人間。柔軟さが誇りだ」と開き直った。
         (毎日新聞 2017/04/06 11:07)

  • Comment : 4
    umasica :桜里
     2017/04/09 09:14
    >実に政治家の鑑だ〜


      報道陣から一貫性のなさを問われたトランプ氏は「私は頭が柔らかい人間。柔軟さが誇りだ」と開き直った



    もぉ、笑うしかない展開でございます。

  • Comment : 5
    umasica :桜里
     2017/04/09 16:26
      米政府は8日、米軍によるシリア攻撃について説明する書簡をトランプ大統領が議会へ送ったと発表した。
      大統領はこの中で「米国の死活的な国家安全保障・外交政策上の利益のために行動した」と主張。「必要かつ適切なら追加の行動を取る」と述べた。
         (時事通信 2017/04/09 08:51)


    シリア軍の化学兵器使用が事実であったとしても、
    それが「米国の死活的な国家安全保障上」の問題となるのかどうか?


      トランプ氏は2013年9月、ツイッターに「オバマ大統領がシリアを攻撃したがる唯一の理由はメンツを保つため。シリアを攻撃するな」と投稿。
      トランプ氏は翌14年にかけてツイッターで何度もシリア内戦への対応に言及し、「米国の問題ではない」などと繰り返した。大統領選出馬表明後のインタビューでも「シリアと『イスラム国』(IS)を戦わせればいい」(CNN)、「米国にはアサドよりも大事な問題がある」(MSNBC)などと発言していた。
         (毎日新聞 2017/04/06 11:07)


    シリアへのミサイル攻撃は、
    かつての自身の主張からすれば整合性のない唐突な行動にしか見えない。

    ま、それがトランプ・クオリティーなんだろうが、
    「支持率が落ちたら戦争」のセオリーには整合的である。

  • Comment : 6
    umasica :桜里
     2017/04/09 18:47
    加筆修正して、ココログ版の「現代史のトラウマ」記事としてもアップ。


     議会の承認なしのシリア攻撃は大きな過ちだ…ったはずだが?
     http://uma-sica.cocolog-nifty.com/blog/2017/04/post-896d.html

  • Comment : 7
    やわらか☆不思議猫
     2017/04/10 21:01
    俺がする分にはいーんだよ!

    まさに俺様大統領!

    既に独裁者の面目躍如。今後に期待(^o^)

  • Comment : 8
    umasica :桜里
     2017/04/10 22:36
    >俺がする分にはいーんだよ!


    《関連画像》

      Its Not Fascism When We Do It!
      → https://johnlegry.files.wordpress.com/2009/08/fasc.jpg?w=450

  • Comment : 9
    Mr.Dark
    Mr.Darkさん
     2017/04/10 22:37
    キッキンの危機が囁かれる朝鮮半島の運命も、彼の支持率いかんでアタック「GO!」となってしまうこと見え見えなのが、なんとも、あな恐ろしや恐ろしや…
    アジアの平和も彼の支持率、つまり米国有権者の感情の総意に左右されているわけでありまして、烏合の衆の風見鶏はどの風に揺られるやら…

  • Comment : 10
    umasica :桜里
     2017/04/10 22:58
    シリアへのミサイルも長期的戦略・展望あってのことには見えないし…

    ま、国防長官も安全保障担当補佐官も軍事のプロではあるので、
    (アフガン・イラクでブッシュの尻拭いに苦労してるから)
    軍にとって得にならんことはやらないことに期待するしかないですが。

  • Comment : 11
    umasica :桜里
     2017/04/10 23:10
    この期に及んでも国務省が機能不全状態、ってのも怖い。
    (国務長官は外交のシロートで、国務省は幹部不在状態)

  • Comment : 12
    umasica :桜里
     2017/04/12 21:51
    >国務長官は外交のシロートで、国務省は幹部不在状態


      米ホワイトハウスは11日、トランプ大統領が国務副長官に弁護士のジョン・サリバン氏(57)を指名すると発表した。
      就任には上院の承認が必要。オバマ政権下で副長官は2人体制になったが、トランプ政権では1人体制に戻った。
      サリバン氏はブッシュ(子)政権下で商務副長官や国防総省の次席法律顧問を歴任した。ニューヨーク・タイムズ紙によると、国務省での勤務経験はない。石油大手エクソンモービル会長から転じたティラーソン長官に続き、国務省のナンバー2も外交の実務経験がないことになる。
      トランプ政権高官の指名・承認が遅れており、国務省関係ではティラーソン長官やイスラエル大使などにとどまっている。 
         (時事通信 2017/04/12 11:05)

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