今、有料放送のWOWOWで、太平洋戦争でのアメリカ海兵隊の戦いを描いた「ザ・パシフィック」という戦争ドラマシリーズを放送しているので、それの感想を書こうと思います。
すでに、ヨーロッパ戦線ものの「バンド・オブ・ザ・ブラザース」「BOB」を見ているので、太平洋戦線を描いた今回の「ザ・パシフィック」「TP」も、恐らく、「アメリカ海兵隊万歳」というドラマと思っていた。そして、ガタルカナル島での攻防戦を描いた、1話と2話では、史実になるべく忠実だったけど、やはり、「アメリカ海兵隊万歳」というメッセージは強かった。まあ、アメリカのドラマ会社が制作した作品だから、当然だろうけど。(苦笑)
第1話では、アメリカ海兵隊のガ島への上陸、それに対する日本軍の一木支隊の攻撃が描かれていた。第2話では日本海軍のガ島への艦砲射撃、第2師団による夜襲が描かれていた。事実を淡々と描いているので、あまり、アメリカ軍を正義の味方と描いていないし、日本軍を悪の権化の無能な軍隊とは描いていない。それには、好感が持てる。
でも、「BOB」の時にも問題視されたのは、
「アメリカ軍側しか描かれていないので、一方的であり、偽善的な描写になっているのは否定できない」
という説明がウィキペディアに書いてあったことがあった。
ヨーロッパ戦線でのドイツ軍との戦いを描いた、「BOB」と決定的に違うのは、「TP」の場合、敵役の日本軍には戦車師団、装甲擲弾兵師団などがなく、歩兵中心の軍隊であったため、歩兵同士の白兵戦シーンが多いこと。ガ島の攻防戦では、日本軍は重火器をほとんど陸揚げできなかったので、銃剣突撃による夜襲を繰り返すしかなかった。これに対してアメリカ海兵隊が、機銃掃射で日本兵を次々となぎ倒すシーンがよく描かれていた。
そして、日本軍の夜襲が終わって日本兵の屍が累々と横たわる戦場を見て、海兵隊員の1人が、
「ジャップは殺されても、殺されても、次々と突撃してきた。まるで、七面鳥撃ちみたいだった」
と、ボソリと言うシーンが印象的だった。
それにしても、日本人として悔しいのは、この海兵隊員の言葉、
「まるで七面鳥撃ちみたい」
というのは、本当だったこと。このように日本軍と連合軍の戦術に大きな差が出てしまったのは、日本軍は日露戦争以降、日中戦争の開戦まで30年以上の間、大きな戦争を経験しなかったので、その間に、他の軍隊が新兵器と新戦術を開発、配備していたことに気付かなかった。気付いていたとしても、特に陸軍は保守的で官僚のような将校が多かったので、新兵器、戦術を採用しなかった。それが、第二次大戦での勘違いと大敗につながった。
さらに、他の原因としては、日本は四面を海に囲まれた島国で海軍国だったので、乏しい資源の多くは海軍と航空隊に優先的に回された。結果、海軍と航空隊は比較的に新しい装備の軍隊になったが、陸軍には物資があまり回されなかったので、軍の近代化が遅れてしまった。特に、陸軍への戦車、装甲車両の配備は進まなかった。一方で、陸軍にも「歩兵の本領」という軍歌にも謳われているように、歩兵の銃剣突撃で充分に戦争に勝てるという誤解があった。これは、中国大陸で同じように歩兵中心の国民党軍、八路軍を相手に数年間戦ったから。
それから、対ドイツ軍のヨーロッパ戦線ものの映画、ドラマはよくハリウッドとアメリカのテレビ局で制作されたが、対日本軍の太平洋戦争ものの映画、ドラマはあまりアメリカでは作られなかった。これには、数々の理由がある。その一つは、日本兵を演じる俳優の確保が難しいこと。ドイツ系アメリカ人は多いから、ドイツ語を喋れる俳優の確保は簡単だが、日本語を喋れる日系の俳優はアメリカにはほんの少ししかおらず、日本人の俳優を起用すると、日本のプロダクションとの交渉をしなければならない。それが面倒でお金もかかるから、太平洋戦線ものの作品はあまり作られなかった。
他の理由としては、アメリカにとっては日本は貿易上でのお得意様だけど、「ライジングサン」、「シン・レッド・ライン」、「パールハーバー」などを作った時も、日本国民の対米感情が悪化したので、下手に日本軍と天皇を悪役にした戦争映画を作ると、一部の日本人が激怒するのは必至だから。さらに、ドイツはヒトラーとナチスを“悪”と定義して戦後処理をしたけど、日本はまだ帝国陸海軍の指揮官だった天皇が皇居に住んでいるし、日本では極右と極左思想者を取り締まる法律もなくて、政治状況がちょっと曖昧という背景も原因になっているようだ。
まあ、色々と書いてきたけど、「ザ・パシフィック」はこれから、9月中旬までかけて日米の攻防戦を描いていくので、楽しみにして見ようと思う。ガ島攻防戦では日本軍はあまりいいところがなく敗退したが、タラワ、ペリリュー、硫黄島ではアメリカ海兵隊をかなり苦しめたので、その辺がどういうふうに描かれているかを注目して見ようと思う。
なお、
「大東亜の解放のために戦った日本兵を、このように悪く描いた鬼畜米英のくだらないドラマなど・・・云々」
という極右主義者の書き込みは受け付けません。当然、極左主義者の書き込みも受け付けません。冷静な書き込みにしか対応しません。(苦笑)
掲載した写真は、「ザ・パシフィック」のスチール写真。

