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岐阜取材報告(甲斐秀水)

2012/02/10 21:23

●林さん 林さんの家に入ると、広い土間に大きな土釜戸がありました。林さんはお一人で住まわれています。週に2回、娘さんが来てくれるとおっしゃられていました。 家に招じ入れられたものの、最初は67年も前の事など忘れたとか、当時のことは話したくないと口が重く、中々話が前に進みませんでしたが、取材チーム・浅井氏の巧みな誘導で口を開くようになりました。 中国大陸に送り込まれたものの、来る日も来る日も行軍の日々でした。行軍の途中で民家に侵入し、食料を強奪したり家を焼き払いました。 ある時、逃げ遅れた老人が両手を合わせて命乞いをしているのに日本軍は刺し殺しました。その老人は我々を睨みつけて死んでいきました。 またある時は、中国兵の両手両足を縛り、肝試しにと命令された部下が銃剣で刺し、掘っておいた穴に生きているのに突き落として埋めさせることもしていました。 将校の部屋には現地人から強奪した宝物が飾ってあり、これが何で聖戦かと将校が憎らしく思えました。 そんな戦争が嫌で、林さんは夜になると人のいないところで男泣きしたそうです。 過労と栄養失調で陸軍病院送りとなった林さんは、そこで敗戦を知ることになります。 英国軍の捕虜になって見せ付けられたのは、物量の差です。これでは負けるのは当然と思いました。 復員船に乗り、桜島が見えた時、感激しました。 新憲法を見て安心した反面、天皇条項を残した点に怒りを覚えました。  中国人へのメッセージはと聞かれると、林さんは「中国国民への残虐行為は慙愧に堪えません。この気持ちは死ぬまで消えません」と、最初は重かった口も最後はまるで昨日のことを話すかの様にすらすらと話されました。●新田さん 昭和17年3月、白紙(しろがみ)召集された新田さんは、3ヶ月間内地で訓練を受けた後、行き先も告げられずに船に乗せられました。与えられたシャツが長袖であったので、南方でないことだけは推測できました。 上海に上陸した後、揚子江沿いに常徳へ3ヶ月かけて夜間行軍しました。重装備だったので行軍は大変でした。 食料は現地調達ですから民家に押し入り、鶏、豚、米を略奪しました。略奪した後は民家に火を放ちます。逃げ遅れた現地住民がいれば殺してしまうのです。 そのようにありとあらゆる悪事を繰り返し行軍が続けられました。過酷な状況に新兵達は喘ぎました。中でも体力の劣る少年兵達は、飢えと過労からばたばた落伍していったといいます。 常徳へ着きしばらくすると、私を含め8名に敵陣攻撃の命令が出されました。 敵の見える所まで進み、攻撃を開始しました。攻撃に加わった新田さんの体にドスンと衝撃が走りました。 敵弾が右足腿を貫通し、そこに間髪をいれず、左手の関節が打ち抜かれました。身動きがとれなくった新田さんは片手片足で窪みに隠れました。 目の前を敵が行き来し、話し声がして、その時新田さんは、もうこれで最後と死を覚悟しました。すると、故郷の父母や友達の姿が目に浮かび、「ああ、誰にも看取られずに死んでゆくのか」と思いました。 両軍の銃声が止み、東の空が明るくなると、「新田、にったあ」と呼ぶ声が聞こえ、「ああ、これで助かった」と思いました。 戦友の肩にすがり、辿り着いた野戦病院では止血に包帯をされただけで、「ここでは治療できない」ということから遠く離れた陸軍病院送りになりました。 ところが傷病兵が多かったので結局病院に着いたのが1ヵ月後でした。そこで包帯を解くと、白いうじ虫が這い出してきました。 傷の治療を終えると、「お前の手は治らないので本国送還だ」と福井県敦賀の陸軍病院に送られました。終戦はそこで迎えたそうです。 復員後、新田さんは再び教壇に立ち、軍国教育をしてしまった自分をかつての教え子の前で謝罪しました。その教え子達とは今でも交流があるそうです。 新田さんはお話の中で、従軍慰安婦の話に触れ、「従軍慰安婦は、中国では、日本人女性、中国人女性、朝鮮人女性それぞれの棟に収容されていた。あれが国策でなかったとよくも言えたものだ」と話されました。また、中国国民に対して申し訳ないことをした気持ちで心が痛みますとビデオカメラに向かって語られました。取材感想記:お二人が口を揃えて発言された、「中国人に申し訳ないことをした」という言葉は、心にずしりとくるものを感じました。おそらく中国戦線で戦った元兵士の代弁をしているのではと思いました。 戦後、新田さんは復員後再び教壇に立ち、その経験を活かしてすばらしい実績を残されましたので以下にご紹介いたします。*グループ教育…全国の小学校で現在も採用されています。*読み聞かせ運動*広島の原爆投下の日を「平和の日」と定め、自動と共に勉強会を行っています。


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