ふじせやまねこさんのマイページ

嘉田由紀子滋賀県知事の治水政策はすごいよ!

2012/01/10 21:13

@@@@やまねこ通信176号@@@@



●脱ダムをするには、上流の山地の整備、森の樹木を針葉樹

から広葉樹に転換するなどの対策を、真剣かつ早急に開始す

る必要があります。



けれど、ダムなしで洪水を防ぐ対策は、治山ばかりではない。

河川であれダムであれ、流れの「線」だけに水を閉じ込める

対策は、しょせん無理があるといいます。



ここに嘉田由紀子滋賀県知事が注目し、土木政策に転換をも

たらす政策を打ち出しました。



水が通る場所と乾いた場所、河川と陸地の二項対立を超えて、

普段は乾燥しているが、豪雨の折には遊水池になる第三の場
所を確保することの必要性を認識。



洪水を想定してあふれた水を流し込む遊水地がかつて作られ

ていた。滋賀県でこの遊水地、霞堤を作ったのは、彦根藩主

で幕府大老を務めた井伊直弼。



ところがかつての遊水地霞堤が、70年代になんと住宅地に化

けたという!



1000億円などの巨額費用を丸ごと投じなくては機能しな

いダム。ところが流域整備は小型予算をつなぐことで効果が

得られるから安上がりとのこと。





以下、毎日新聞 2012年1月4日WEB記事を抜粋してお伝え

します。 

http://mainichi.jp/select/weathernews/news/20120104k0000m040120000c.html



●「滋賀県東近江市を流れる愛知(えち)川左岸にある団地

「ドリームハイツ」。霞堤(かすみてい)の中にあり、氾濫

時の遊水地とされた場所だ。



「こんな危ない場所に住宅建築を認めたのか」。07年から

県内各地の河川を点検していた県の治水政策の担当者は、現

地で実感させられた。



霞堤は江戸時代末期、彦根藩主で幕府大老を務めた井伊直弼

が整備した。



堤防を二重に造って内側の一部を低くし、増水したら意図的

に水をあふれさせ、対岸や下流の街を守る。しかし、70年

代に遊水地内に団地が造成され、人々は競うようにマイホー

ムの夢をかなえた。90年9月、紀伊半島に上陸した台風1

9号は、団地の約200戸を水浸しにした。



高度成長を経て豊かになり、人口も増え続けた日本は、宅地

開発に突き進んだ。水害リスクが高い地域にも家が建ち並ん

だ。一方で、治水政策はダムや強力な堤防の整備を進め、川

に水を封じ込めようとした。水を逃がして被害を減らす先人

の知恵は忘れられた」。



やまねこは思う。宅地開発の施工主体であるデベロッパーは、

土地のもつ歴史的役割を顧みることがなかった。宅地化して

売りだし買う人がいれば儲かる。けれど開発を許可したのは

自治体ではないか。自治体が「先人の知恵を忘れ」て宅地造

成を許可した。時は70年代である。



さらに、毎日新聞WEB記事

●「膨大な時とカネを費やし生態系に影響を及ぼすダムや巨

大堤防は、疑問を抱かれつつある。宮本博司・元国土交通省

防災課長は「国はハード整備を金科玉条に、住民に本当の危

険性を警告しなかった。川の中に水を閉じ込める仕組みは想

定外の災害に弱い」と指摘する。



06年に初当選した嘉田由紀子・滋賀県知事は、ダムだけに

頼らない治水に挑んだ。県民からも委員を公募して議論し、

出てきたアイデアが危険性の高い地域での建築規制だった。

正確な客観的指標が必要で、県は全域の浸水想定に乗り出し

た。



浸水想定は担当者の現地調査を踏まえ、河川だけでなく下水

道や農業用水も対象にした。最大で1000年に1度の規模

まで、7段階の洪水をシミュレーション。5メートル四方単

位で浸水を想定した図は近く公表される。



県は危険地域の宅地かさ上げ義務化などを盛り込んだ条例案

作成を進めており、来年度にも提出したい構えだ。河川改修

などハード整備が遅れると懸念する県議、市や町の反発は強

いが、嘉田知事は強調する。「行政はあらゆる想定を出し、

全力で取り組むべきだ」



◇霞堤(かすみてい)

堤防の一定区間を低くして「開口部」とし、その下流側の

端から上流側に向けて斜めにつくられた二重の堤防。河川が

増水した時は、開口部から水をあふれさせ、霞堤との間に水

をためることで、下流や対岸の洪水被害を避ける仕組み。二

重の堤防を設けず、同様に堤防の開口部から遊水地に流す仕

組みとして、洗堰(あらいぜき=越流堤)もある」。



●次は嘉田由紀子知事へのインタビュー。

−−「滋賀モデル」の特徴は何ですか。

 ◆人命を救うためには川の外、つまり人が住むところのリ

スクを、皆が共有しなければいけない。そういう目で県内を

歩くと、昔の人は水を逃がす工夫をして危ない場所に住まな

かったことに気づく。今、浸水する場所を見ると新興団地が

ある。地価が安い田んぼを開発した結果、新しい住民が被害

を受ける。これを避けたい。



 −−行政も、危険な地域の開発を容認してきたのでは。

 ◆都市計画に自然災害リスクがほとんど考慮されてこなか

った。リスクが明らかになっても、首長は住民の苦情を恐れ、

説得する覚悟が弱い。そして被害を受けたら「想定外」と言

う。これは行政の逃げ。滋賀県は「開発するなら最悪のリス

クも知って、あらかじめ手立てをしてください」と言ってい

く。



 −−一部市町は、「川の中の治水」が不十分になるのでは

と懸念しています。

 ◆河川整備もやる。県下全域の川の危険度をランク付けし

て重点的にお金を入れる。それでもハードの想定を超えソフ

トで受け止める場合は、「想定外」と言わず命を守ることを

目標とする。ダムは環境や社会への影響が大きく、金も時間

もかかり、1000億円のダムなら1000億円全額投入し

ないと効果が出ない。八ッ場など多くのダムが何十年もかか

って効果がない。川の中と外、両方で段階的に安全度を上げ

る必要がある」。(WEB記事引用終わり)





二つの意味でこのニュースが朗報だとやまねこは思いました。



●第一に、1000年に一度の洪水も想定しての災害防止シ

ミュレーション。3.11以後の、決定的に新しい体制が出

発することです。



都市計画に自然災害リスクがほとんど考慮されてこなかった

のは、首長が住民の苦情を恐れたためだった。住民を説得す

る気がない上、被害を受けたら「想定外」と逃げる。



これは全国どこでも同じであろう。

人が居住する宅地の危険を知った時、首長ははたして住民に

そのことを知らせるだろうか?



ほとんど知らせることはあるまい、とやまねこは思うのです。

不動産価格の下落などが私権の侵害に抵触しかねないことも

一つの理由でしょう。



けれど1000年に一度の災害に備えることが開発許可の新

しい基準になったら、これまでのような見て見ぬふりの、な

あなあ、では済まされなくなりますね。



諏訪湖沿岸地域の古い堆積層が広大にひろがる諏訪地域にあ

っては一層のこと、災害対策の見直しは他人事では済まされ

ません。責任あるのは首長だけではないでしょう。



●第二に、この施策を開始するのが嘉田由紀子という女性知

事だということです。



遊水池を活用する流域整備の選択は、予算の無駄使いを排し、

しなやかに機敏に、歴史の知とローカルノレッジに顧慮した

アイディアです。

大きな予算を獲得することが<男らしい>と勘違いしてきた、
従来の官公庁、行政、企業のダークスーツにネクタイのスタ
ッフには、とても手が届かないコンセプトです。



「同調圧力」(注)に影響されぬ女性知事の決断が、無数の

しがらみにまみれている土木の世界、全国の治水政策、都市

開発政策の新しい方向をリードするとしたら、社会の仕組み

が根本から様変わりするでしょう。



(注)「同調圧力」:政策決定の際に、多数意見を支持する

ように働く強制力。一般的に男性の多くが屈してしまいがち

な組織内の圧力。

(やまねこ通信154号をご参考ください。

http://kyoko---fairisfoulfoulisfair.blogspot.com/2012/01/blog-post_07.html)



北海道電力泊原発の再稼働の折、「やらせメール」の慣例を

踏襲したまま、女性知事が稼働許可を出したことを知ってが
っかりした後だけに、嘉田由紀子知事の英断はやまねこにと
り、殊更の朗報として響きました。



女性首長の数があまりに少ない現状。一人でも多くの女性首
長を選出する弾みになったらいいのにねえ。

かねがね注目していた滋賀県嘉田由紀子知事の新しい治水政
策を前に、こうやまねこは思ったのでした。



一方で、利権を手放すまいとする旧勢力が、陰に陽に、今後
どのような妨害を働くのか。このことにも今後注意を怠らぬ
ようにいたしましょう。





うらおもて・やまねこでした。


Tags: なし
Binder: ふじせやまねこのバインダー(日記数:81/全体に公開)
 読み込み中...

このブログにコメントをつけるには、ログインする必要があります。
マイページをお持ちでないひとは「マイページを作成する」ボタンを押してマイページを作成してください。
不適切なブログを見つけたら、こちらからご報告ください!



Copyright(C)2012 GMO Media, Inc. All Rights Reserved.