【小話】宇宙人
ねえ。もし私が宇宙人だったら、貴方はどうする?
どうした。突然な質問で呆れるぞ。
つまり、今あなたと私がこうしているのは「第三種接近遭遇」に該当するわ。この星で定められたルールに照らし合わせるとね。
おいおい、からかうなよ。さっきのB級アクション映画が、そんなにつまらなかったのか? 確かにラスト5分でヒロインが男性でしたっていうオチには憤慨したが。
そう? 私は興奮したわ。男同士で手を取り合うラストシーンでは、涙でスタッフロールが見えなかったほどよ。
大口を開けて寝てたくせに、よく言う。
話を軌道修正すると、つまり私は宇宙人なのです。これは揺るぎ様のない真実であり、ノンフィクションなのよ。理解?
無理解。
仕方がないわね。そこまで物分かりの悪い猿には、証拠を示す必要があるわね。
猿って言った? おめえもただのメス猿でしょうが。
ばばん。これが宇宙船を動かす鍵です。
……日産って書いてるぞ。実家の車じゃね?
甘いな、ワトスンくん。簡単な推理だよ。日産は実は宇宙船を開発していたのさ。
遠い未来ならば、あり得る話かもな。
そう! つまりは私は未来から来た宇宙人なのよ!
そうって言ったよ。そうって。
だから今日は特別に、貴方にもこの宇宙船の助手席に乗せる許可を与えるわ。
……回りくどい奴な。
うるさい。
そうと決まれば、どこに車を停めてあるの? お前の運転する車なんて初めてだな。ぶつけないでくれよ?
それがね。ここに停めてあったはずなんだけど、白いチョークで「移動しました」って書いてるの。なんで?
おい、宇宙人! 日本の交通ルールくらいちゃんと学んでから運転しろっての。
あー聞こえません。
警察署行くぞ。
え!? 「宇宙人を捕獲しました!」って私を連行する気ね!
めんどくせ! お前めんどくせ!
冗談ですよ冗談。もちろん「第三種接近遭遇」ってのも嘘ですよ。
それより宇宙人ってのが嘘だろ。
え? 宇宙人は本当。だってこの「地球」も宇宙の一つでしょ? ならばそこに住む私達も宇宙人なのです。ワトスンくん分かったかい?
……小学生みたいな結論を持ってきやがったな。まあいいよ。俺達は宇宙人。銀河系第三惑星地球に住む、宇宙の端っこの住民。これで満足?
うん。満足。でも手を握ってくれたらもっと満足。
……やっぱりお前は回りくどいな。
その後、二人仲良く手を繋いで警察署に行きましたとさ。
(日記のネタもなかったので、会話劇してみました)
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