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【観劇】五反田団「びんぼう君」

2012/02/04 13:00


作・演出 前田司郎2012.2/2名古屋 七ツ寺共同スタジオいろいろ削ぎ落とした作品。美術もスリム、パンフレットもチープで入場料も安い。ストーリーは日常の短い時間を切り取ったもの。起伏というか展開がとても計算されている。1時間30分リアルタイムに進む。極端に貧乏でクラスメイトから「びんぼう君」と呼ばれ、のけ者にされている少年が、働かない父親(売れないフリーライター)とニ畳一間の狭い部屋で暮らしている。トイレは外(共同?)。少年は、一日中原稿用紙に向かっている父親と食べるものにもこと欠きながら、切った「爪」を協力してビンに集めたり、ガチャガチャで出てくるような地味なビニールの人形で対戦ごっこをしたりして仲良くやっている。その日の夕方、少年のクラスメイトの女の子がやってくる。自分の誕生日なのに、できないパーティーをやるからとは言えず、「ウチで一緒に宿題をやろう」とウソをついて誘ったうち、ひとりだけ本当に来てくれたのが「かわもりさん」だった。舞台は天井と床を結ぶ4本の細いロープでニ畳の部屋をあらわし、「壁」には四角いフレームだけの窓が吊られてスケスケの舞台。背景は七ツ寺共同スタジオの壁そのままで真っ黒。床は二枚のボロ畳。段ボールで作った原稿書き用のヨレヨレ机が唯一の家具。その「窓」から子どもたちは月の観測の宿題をやる。リッチなかわもりさんの家からは月が見えないのだ。父親は宿題の邪魔をしながらなんとか誕生日だと明かして場を盛り上げようとする。三人で人形遊びを始めるが、女の子の好きな「おままごと」と対戦ごっこはかみあわない。始めのうちは3人が気まずく遊んでいる。が、だんだん遊びに乗ってきて夢中になり、とうとう父と子は「壁」からはみ出したり、スルーしたりしてはしゃぎ回る。「心」が物理的な壁をぶち破るのだ。前半のいかにも窮屈だという芝居で、客も「壁」だという芝居のウソを了解していたのにさらっとすり抜ける。しかも本人達が自覚していないところがいい。こっちはそのたびにヒヤリとしたりして苦笑する。父と子のうれしさが伝わる面白いしかけ。また、三人のちぐはぐな人形遊びがどんどんはちゃめちゃになっていくのも面白い。最初の親子の会話で、その日少年は離婚した母親に会ってきたことがわかる。父親は少年が元妻のところに行ってしまうのではないかと恐れている。多分これが主題なんだけど。せつなさと、貧しさと子どもの感性が、客に余分な感情移入をさせず乾いて展開する。チラシから連想できた「爪に火を点す」ような貧乏加減は少しオーバーで笑わせる。少年は境遇を受け入れて父親を非難せず、思いやる。父子二人が支え合いながら生きている姿が間抜けだけどやさしい。互いに傷つけ合わず、時に口ごもり言葉を選びながら会話をする。気弱だが言い訳しない父親、苦しい、寂しいというセリフがないのもいい。前のメールに移動 | 次のメールに移動 | メール


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