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[詩の紹介]中国の反戦詩3
投稿者: さん 2003/05/08 11:14 MLNo.13148 [メール表示]
「ひじを折る翁」
白居易(白楽天)
新豊に住む翁 年は八十八歳
ヒゲも眉毛も みな雪のよう
やしゃごにすがり 茶店に歩む
左手もたせ 右手は折れている
「このひじが折れて 幾年がたつ?
どういうわけで このひじ折れた?」
「わしの生まれは この新豊で
さかえる御代に 大きくなった
歌舞音曲を耳にしたしみ
槍や弓など 知らずに過ぎた
それもつかのま 天宝になると
たちまち一家に ひとり召される
駆り出されては どこへゆくのか
五月万里の 雲南へゆく
聞けばかの地に 毒の川が流れ
さんしょ咲く頃 ガスたちこめる
大軍わたれば 水は湯のよう
わたりきれないで 十人のうち三人は命をおとす
かなしみの声 村里に満ちる
父母や妻子に 別れを惜しみ
かの地にいけば 万に一つも
帰れぬものと 口々に言う
このときわしは 歳二十四で
徴兵令書に 名前があった
夜更けに一人 こっそり出かけ
大きな石で ひじ叩き折る
刀や弓矢を とることができず
これよりついに 徴兵を逃れた
骨折れ筋切れ 傷はいたむが
とにかく果たす 帰郷の願い
ひじ折れてより 六十余年
一ひじ折れて 一身のこる
それからのちは 雨や寒さに
傷が痛んで 夜も眠れぬ
しかし眠れぬ痛みも 苦労にならぬ
この年までも 生きていられた
そうでなければ 雲南の果て
この身は死んで 骨はバラバラ
今頃きっと 亡者となって
無縁の墓で 泣いていたろう」
この翁の言うこと
よく聞きたまえ
君知らないか
あの開元の 宋宰相は
手柄をほめず 戦争ふせいだ
また知らないか
あの天宝の 楊宰相は
手柄がほしくて 戦争しかけた
手柄ならぬに うらみをかった
聞いてごらんよ ひじ折る翁に
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徴兵を逃れるために、自らひじを叩き折った老人の独白です。
高官や将軍たちが、手柄をおさめようと、無用の戦争をしかけることを告発していま
す。
加藤千代
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