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【対談】チョムスキ−×辺見:パート2.超長文

差出人: demboさん
送信日時 2002/04/26 10:09
ML.NO [chance-forum:3803]
本文:

辺:宇宙の軍事化。それについてもっと説明していただけますか。

チョム:ここ数年の、国連総会を見てみましょう。1999年以来毎年、総会
で外宇宙条約が再確認されています。これは1967年に結ばれた条約で、宇
宙の軍備を禁止しています。なぜ国連がこの条約を再確認することになったの
か? それは、世界中の人が、アメリカが条約を侵そうとしているのを知って
いるからです。だから毎年投票が行われ、満場一致で可決されるのですが、ア
メリカとイスラエルだけは棄権しています。アメリカが棄権するということ
は、条約はおしまいだということです。アメリカ国内はもとより、他の国でも
報道されていないかもしれないが、アメリカ合衆国は宇宙の軍備を計画してい
て、それは極めて危険なことです。
 迎撃ミサイルを備えるというのは、ほんの手始めに過ぎません。政府が思い
描いていること‥‥ちなみにこの情報は完全に公開されています。クリントン
政権時代の文書があるのです‥‥それは破壊能力が高く、攻撃的な兵器を宇宙
に配備することです。例えば大量殺傷力のあるレーザー兵器で、おそらく小型
原子炉を載せている。そして精密な警報装置、つまり自動操縦で発射されるこ
ともある。制御は自動です。人間が行う必要はありません。すべてにおいて相
当な迅速さが要求されるからです。地球的規模の破壊を保障したも同じです。
工学の文献には、「標準事故」という用語がある。「標準事故」にはうまく対
処しなければならない。複雑系のなかでは必ず起こる類の事故です。いつ起こ
るかはわからない。しかし起こります。コンピューターを持っていたらそのう
ち必ず標準事故が起こります。突然何も動かなくなる。複雑系とはそういうも
のです。
 宇宙の軍備も極めて複雑なシステムなので、標準事故は起こります。標準事
故が人類を破滅させる。しかし、これは非常に重要な計画で、スペースコマン
ドという公開されている文書を読めば、計画の理由が書かれています。「アメ
リカ産業の利益と投資を守るために、宇宙という新たな場へ向かわなければな
らない」と。かつて海軍が創設されたのと同じ理由です。海軍は産業の利益と
投資を守るために作られた。そしていま、我々はまたしても開拓しなければな
らない。宇宙を。
 ところがことは同じようにはいきません。イギリスが海軍を創設したとき
は、ドイツや日本が反撃することができた。しかしアメリカが宇宙を占有する
と、これに反撃するところがないのです。宇宙開発にかけてはアメリカが独走
しているからです。ということは、圧倒的な力をもって、利益と投資を守るこ
とができるのです。極めて危険です。いろいろな問題はあるが、とにかくまず
第一に、とても危険です。
 もともとはクリントン時代の計画だったのが、ブッシュによってエスカレー
トしました。とても危険です。これは秘密でも何でもない。最初にも言ったよ
うに、アメリカはすこぶる自由な国です。政府の活動に関する文書はインター
ネットで見ることができる。しかし、一般の人びとの関心が集まらなければ、
誰も何もしようがないし、誰にも知られることがない。
 ボストンの道端で、あるいはハーヴァードの学生ラウンジで、インタビュー
してごらんなさい。誰ひとりこのことを知りませんよ。公表されているにもか
かわらず。どこかで書かれたことはあるにちがいないが、非常に反政府的な文
芸のなかだけです。だから、あなたの質問に戻りますが、この国には言論統制
はない。しかし、情報が表に出てこないということです。ただし、これは選択
の結果です。統制ではありません。

辺:なるほど。今後の問題なのですけれども、イラクに対してアメリカが戦術
核を使用する可能性についてはいかがお考えですか?

チョム:率直に言って、疑問です。彼らは戦術核まで必要だとは思っていない
でしょうから。アメリカは通常兵器も圧倒的な量です。核兵器の使用はどちら
かといえばプロパガンダなのです。アフガニスタンでは、戦っている相手が見
えず、中世に舞い戻ったような戦況で、実質的に核兵器クラスの兵器を使って
います。「デイジーカッター」といわれるタリバン兵を殺戮するために使われ
ているものもそうです。あるいは「サ−モバック爆弾」というのも核兵器に極
めて近い。それに、アメリカ兵が戦っている相手をごらんなさい。靴も履いて
いない農民です。技術レベルは12世紀ですよ。
 力の差はあまりにも圧倒的ですし、核兵器の使用と言う伝家の宝刀を抜くの
は誤りです。頭のおかしい連中が何をするか、わかったものではないけれど
も...。
 イラクについては、兵器の問題ではないでしょう。イラクの軍隊を全滅させ
たあとに何をするかです。いま直面している問題は、民主主義の問題、適切な
軍事指導者を見つけ、西側に従順な国家をいかに維持するか、ということで
す。それにもちろん、ほかのイスラム社会を起こらせないようにやらなければ
なりません。これが現実の問題で、核兵器では解決しないのです。

辺:私の目には、アメリカはいま、戦線をどんどん世界中に拡大しているよう
にも見えます。アフガニスタンから事実上パレスチナへ、そして今度はイラク
へと。テロ撲滅を口実に、いろんな国に対して軍事顧問団を送っていますし、
さきほどの「悪の枢軸」発言のように他国を故意に挑発もしています。オー
バーに言えば、戦線を無限に拡大し戦争をグローバル化しているような気もす
るのですが。

チョム:思うに、いま起こっていることで重大なのはそういう問題ではありま
せん。アフガニスタンでの戦争がもたらしたのは、中央アジアにおいて、アメ
リカが軍事力を発揮したという事実、そしておそらくはそこに恒久的な軍事基
地を築いた、ということでしょう。アメリカは世界中に軍事施設を展開してい
ます。大平洋から大西洋まで、どこにでも巨大な米軍施設がある。沖縄にもあ
ります。そして今、中央アジアに新しい拠点ができた。
 これ以前、アメリカは中央アジアで軍事力を発揮する機会があまりなかっ
た。いまはウズベキスタンやトルクメニスタンなど新しい同盟国ができたと言
うことです。両国とも、タリバンととてもよく似た性格の政府なのですがね。
だからいままで、殺人者でかつギャングだった両国が突如として聖者になっ
た。発展して、民主化が進んでいくだろう、と新聞には書かれていますが、い
まや、アメリカ軍の基地を容認するギャングになったのです。だからタリバン
のように振る舞おうと、それは自由なのです。
 しかしこれは軍事力の行使だから、やはりさまざまな問題を引き起こす。ロ
シアや中国、イランなど、中央アジアに利害をもっている国々もあります。
 したがって、必然的に衝突の要因を内包しているのです。しかしこれは大き
な変化だ。ほかの場所での、例えばフィリピンでの出来事はサイドショーにす
ぎません。現実に、重大な問題の起こっている場所の一つが、おそらくインド
ネシアでしょう。アメリカは最悪の圧制の時代にも、インドネシアを支援して
きました。言っておきますが、日本の行いはアメリカの行いよりさらに悪いで
すよ。

辺:それは私も聞いております。日本のインドネシア支援にはこれからも暴か
れなければならない暗部が多くあります。

チョム:いささか個人的な話しになりますが、私が東ティモール問題について
初めて国連で証言したのは25年前、1978年のことでした。証言は裏で妨
害されましたが、妨害しようとしていたのは日本の大使館だということがあと
でわかりました。

辺:えっ、そんなことがあったのですか。

チョム:インドネシアの友人たちが行った大量虐殺が告発されるのを防ぎた
かったのです。だから日本の行いも、決してほめられたものではない。アメリ
カだけではないのです。
 とはいえインドネシアの東ティモ−ル政策の主な支援者はイギリスとアメリ
カだった。最後まで支援しつづけたのです。一度たりともやめなかった。最後
には、ありとあらゆる圧制が行われていたことなど気付かなかったふりです。
世論の圧力に負けて、クリントン政権は最終的にはインドネシア軍との公的な
関係を断たざるをえなくなった。けれども政府は関係の再構築を欲していた。
そこでいわゆる対テロ戦争を利用して、血に飢えたインドネシア軍の将軍たち
と再び手を結ぼうとしているのです。彼らは主に日本とアメリカによって、虐
殺の責任に関して西側の操作の手が及ばないよう、守られています。
 ですから、これももう一つ非常に重要な問題なのです。ただし簡単にはいか
ないでしょう。例えばオーストラリアでは大きな反対が起きています。そして
名前はわかりませんが、オーストラリアの情報部の人がとても重要な文書を
リークしました。ついこの数日の間に出てきた文書もあります。それによる
と、オーストラリアは1998年から99年の残虐行為を承知していた。

辺:国連管理下の住民投票のころですね。独立派が圧勝したけれども、いわゆ
る併合派民兵が発砲、放火、略奪を繰り返し、多国籍軍「東ティモ−ル国際
軍」が展開を開始した。

チョム:オーストラリアのマスコミによって明らかになった話は、極めて
ショッキングです。オーストラリアの情報部が承知しているなら、アメリカの
情報部も認識していたはずです。アメリカはオーストラリアに大規模な情報収
集センターをもっているんですから。ここはあらゆる出来事を把握していたで
しょう。つまりビル・クリントンは東ティモールで途方もない大量虐殺が行わ
れているのを知りながら、コソボよりひどい状況であるのを知りながら、軍隊
を送り、訓練も行っていたのです。
 トニー・ブレアはこれに輪をかけて悪質です。オーストラリアの平和維持軍
が駐留を始めたあとも、戦闘機を派遣しているのですから。それが「倫理的外
交政策」だというのです。これもまた、知識人にとっては大きな難問です。知
識人は「我々の指導者」を、トニー・ブレアでもロビン・クックでもビル・ク
リントンでも誰でもいいが、とにかく聖人に見せなければなりません。大量殺
戮者の手に、完全に意識的に武器を渡すような類の聖人です。それを25年
やってきたのです。
 メディアが取り上げてもいい、恰好の材料ですよ、これは。イギリスの新聞
を読んで、どのように書かれているのか見てみるといい。いや、見るまでもな
いでしょう。まったく、触れられていないのだから。
 しかし和解は成立するでしょう。そういうことは大切だ。世界の形勢を少し
ばかりは変えることになる。しかし大きく変えはしません。
 中央アジアはおそれく最も重要な場所ですよ。19世紀の「グレートゲー
ム」の再現です。19世紀イギリスとロシアは中央アジアまで拡張していき。
そこで衝突した。アフガニスタン周辺でイギリスとロシアが覇権を争って随分
戦いました。それが「グレートゲーム」と呼ばれたのです。
 これは新しいグレートゲームです。当事国の顔ぶれも違う。イギリスはいま
や片隅に追いやられて志摩しました。今度の主役はアメリカとロシアと中国で
す。利害も当時とは異なる。中央アジアの豊富なエネルギー資源をどこが支配
下におくか、ということが争点なのです。湾岸地域ほどではないが、豊富で
す。日本も関わってきています。

辺:最近、アフガニスタン復興国際会議が東京で行われました。私の考えで
は、アフガニスタンの経済的、社会的な復興はたしかに大事なんですけれど
も、非常に残念だったのは、アメリカによる一方的な軍事攻撃に対しての非難
の声、それを問題にする声がなかったことです。逆に言えば、アメリカの一方
的な攻撃が、紛争解決のための一つの定式として、国際社会に受け入れられつ
つある。私はこの定式に反対です。

チョム:一方的な軍事攻撃は新しい方法などではまるでありません。実に古臭
い方法です。イギリスが世界を支配していた頃のことを考えてみましょう。イ
ギリスは何をしたか。例えば、第一次世界大戦後、イギリスは弱体化しまし
た。大英帝国全域を直接の兵力で支配することはもはや適わなくなった。そこ
でやり方を変えねばならなかった。どのように? ウィンストン・チャーチル
が音頭をとったんですよ。彼は戦争省の大臣でした。彼はアフガニスタンとク
ルドに毒ガスを使うことを推奨しました。なぜならそれが、「生々しい恐怖」
を駆り立てるからです。そうやって、完全に制圧できない未開の人びと、アフ
ガン人やクルド人を、支配下におこうとしたのです。 
 インド総督からは反対がありました。毒ガスを使うのは立派なことではない
と。チャーチルは激怒しました。「未開人たちに毒ガスを浴びせるのは気分が
よくないという心境は理解できん。それが多くのイギリス人の命を救うのだ
ぞ。これは優れた科学の成果なのだ。」第一次世界大戦後の話です。毒ガスは
残虐の極みデスガ、クルド人やアフガン人相手ならそうではなかった。当時、
空軍力はようやく出はじめたところでした。そこでイギリス軍は空軍力を一般
市民に投入することにした。中央アジアの一帯、アフガニスタンやイラクなど
を爆撃しはじめたのです。
 当時も軍縮会議はありました。軍縮会議のたびイギリスが心を砕いたのは、
空軍力を市民に行使することに対して、いかなる障害も持ち上がらないように
することでした。首尾良くやり遂げたとき、イギリスの偉大な政治家ロイド・
ジョージは政府代表を称えて日記に書いた。「ニガーに爆弾を落とす権利は守
られなければならない」と。これがロイド・ジョージの姿です。有名な政治家
の。そしてウィンストン・チャーチルです。偉大な指導者の。ふたりとも大英
帝国のヒーローです。どこか違いがあるでしょうか? 実際のところ、もし時
間が許せばフランスのこと、日本のこと、ドイツのことも話したい。大国はい
つもこうやって人の顔を正面から蹴飛ばしてきた。何も目新しいことではない
んです。だから誰ひとり驚かない。
 (アフガンへの)空爆を始めたのはたしかにアメリカです。ジョン・F・ケ
ネディの話に戻りましょう。ハ−ヴァ−ド大学にはケネディ・スクールがあ
る。ここが政府の頭脳です。この大学院は『インターナショナル・セキュリ
ティ(国際安全保障)』という機関誌を出しています。今月号を見ると、アフ
ガニスタン専門家が記事を書いている。この文章が書かれたのは空爆が始まっ
て一ヵ月後ぐらいで、戦闘はそのころにはほとんど終わっていたはずです。こ
の作戦は、数百万のアフガン人を飢餓に追い込むであろうとう見積もりの上に
行われた、と筆者は書いています。数百万の人びとが餓死する可能性がある
と、前もってわかっていたんです。
 彼らが今どうなっているか、わかっているでしょうか。いいえ。自分達の犯
罪を調べていないからです。誰ひとり知りませんヴェトナムで何人が殺された
か、数百万の単位でなら知っています。我々は自らの罪を操作することはしま
せん。負けた国だけが「悪いことをした」と言わされる。第二次世界大戦後の
東京裁判が行われたのは、日本が負けたからです。ワシントン裁判などという
ものは開かれませんでした。毒ガスを使ったチャーチルに対する戦争裁判もあ
りませんでした。敗れたときにだけ、自らの罪を見つめる。そのように仕向け
られるのです。
 しかしいったい何人の人が死んだのか、正確なところを見い出すことは誰に
もできないでしょう。ただ推定はできます。アメリカ軍は、数百万の人びとを
死なせることになるという推定のもと、空爆を行った。それをうんと高いとこ
ろで話し合ったのでしょう。誰か気にかけたか? いいえ、それが当たり前だ
から。ヨーロッパとその分家は、何世紀にもわたって、常にそうやって世界を
扱ってきました。そして日本もこの半世紀、できる限りそうしてきたのです。

 例えばフランスを例にとってみましょう。アルジェリア独立戦争の際、フラ
ンスの国防相は「我々はいま原住民を撲滅している」と言った。これが当たり
前でした。ベルギーはおびただしい数の人を殺している。これはことさら驚く
ような数字ではありません。
 だから富めるアメリカが空爆するのも驚くにはあたらない。いたって普通の
ことなのですから。弱い人たちをそうやってあしらってきたのです。何もいま
さら驚くことではありません。
 アフガン復興の東京会議は資金援助を約束しました。金は現地に届けられま
したか? 届いていません。約束はされたけれども届けられてはいない。届け
られない理由はいくらでも並べられるでしょう。ただ援助のポーズだケでも、
先進国の我々はなんてすばらしいんだろうとたいそうな宣伝になる。あきれた
話です。ロシアとアメリカはアフガニスタンに賠償すべきです。1980年
代、この二つの国がアフガニスタンをめちゃくちゃにしました。よってたかっ
て国土を破壊した。アメリカはイスラム過激派テロリストの組織化を援助し
た。アフガニスタンの利益のためではありません。支援を通して国土を荒廃さ
せ、狂信的な宗教指導者の手に委ねてしまった。こういう場合援助ではなく補
償を支払うべきです。ほんの少しでも誠実さのかけらがあるのなら、援助など
と口走らないほうがいい。自分達がしたことに対して、巨額の賠償金を支払う
べきなのです。しかしそれは協議項目にはなかった。
 実際のところ、アメリカが1ドルでも支払うとしたら驚きです。今アフガニ
スタンは群雄割拠のころに逆戻りしようとしています。ロシアとアメリカが掃
討したあとに、いくつかの軍事勢力が国土を分断したように、そういうふうに
なりつつある。
 9月11日のことで人びとが何よりショックを受けたのは‥‥あの行為は大
変に残虐でした。しかし衝撃的なことはあれだけではない。残虐非道な行為は
ほかにもたくさんあります。ただ西側で起こったのはあれが初めてというだけ
のことです。世界の他の人びとに対して、我々がやってきたことなのです。他
の人びとはこれまで、我々にあんなことをしなかった。だからショックだった
のです。他の国の新聞を見ると、必ずしも驚いていません。パナマでは、メ
ディアが残虐行為を批判している例があり、そこでは父親のほうのジョージ・
ブッシュの名前が出てきます。1989年、パナマに侵攻したとき、ブッシュ
はパナマのスラムを空爆させています。2000人あまりの人が犠牲になっ
た。そういうことをよく知っているので、「自分達がこれまでずっとわれわれ
にしてきたことをよく見てみなさい」となる。だからといって残虐さが薄れる
というものではないけれども、衝撃は小さくなりますね。世界のどこにでも同
様の戦争の話があるんです。

辺:最後の質問です。いまの日本の首相は、ブッシュ政権を、前のクリントン
政権より好きらしく、ほとんど運命をともにするようなことを言っています。
同時に、日本がずっと大事にしてきた平和憲法を変えようともしています。ア
メリカのアフガンに対する報復攻撃の際には、インド洋に自衛艦を出したり、
憲法に真っ向から反する法律をつくったりして、アメリカの意のままに平和的
政策を変えようとしています。日本はいま重大な変化が生じていますが、この
点、あなたはどうお考えですか?

チョム:日本はこれまでもアメリカ軍国主義に全面的に協力してきました。戦
後期の日本の経済復興は、徹頭徹尾、アジア諸国に対する戦争に加担したこと
によっています。朝鮮戦争までは、日本の経済は回復しませんでした。朝鮮に
対するアメリカの戦争で、日本は供給国になった。それが日本の経済に大いに
活を入れたのです。ヴェトナム戦争もまたしかり。アメリカ兵の遺体を収容す
る袋から武器まで、日本はありとあらゆるものを製造して提供した。そしてイ
ンドシナ半島の破壊行為に加担することで国を肥やしていったのです。

 そして沖縄は相変わらず、米軍の一大軍事基地のままです。50年間、アメ
リカのアジア地域における戦争に、全面的に関わってきたのです。日本の経済
発展の多くは、まず、その上に積み上げられたのです。 
 50年前に遡ってみましょう。サンフランシスコで講和条約が調印されまし
た。50周年を祝ったばかりですね。

辺:昨年9月ですね。サンフランシスコのオペラハウスで50周年記念式典が
開かれ、日本からは田中外相(当時)が出席しました。これには、戦争責任を
回避してりうというアジアからの非難の声もありました。

チョム:その条約にどこの国が参加して、どこがしなかったか、ご存じです
か? アジアの国は軒並み出ませんでした。コリアは出なかった。中国も出な
かった。インドも出なかった。フィリピンも出なかった。出席したのはフラン
スの植民地と、当時イギリスの植民地だったセイロンとパキスタンだけでし
た。植民地だけが出席した。なぜか? それは講和条約が、日本がアジアで犯
した犯罪の責任をとるようにはつくられていなかったからです。日本がするこ
とになった賠償は、アジアに物を送ること。日本にとっては万々歳です。資金
は結局アメリカが賄ってくれるからです。しかしもちろん、アメリカには支払
いをしなければなりませんでした。占領経費やその他の犯罪のつけをアメリカ
に支払う。アジアの人びとには支払わない。アジアに対しては何も提案されま
せんでした。それは日本が、誰もが知るところの真の戦争犯罪人である天皇の
もと、以前のファシズム体制を復活させて国家を再建しようとしていたからで
す。それも、アメリカの枠組みの中で。

辺:同時に締結された日米安保条約とともにサンフランシスコ体制という、日
本との対米盲従構造をつくりました。これが今日続いている。

チョム:日本はその状態にいたく満足していました。それで富を蓄積すること
ができたからです。日本の戦後復興はこのようにして成された。日本はそこを
見つめる必要があります。だがもしも憲法を変えるというのならあ、たしかに
由々しいことではあります。しかし、50年にわたってアジア地域での戦争に
貢献してきたことに比べたら、ささいな問題です。

辺:おっしゃている意味はわかりますが、我々にとってはささいではありませ
ん。

チョム:この50年を含む前の世紀には、日本が記憶に留めておくべきことが
数多くあります。何度も言うようですが、他人の犯罪に目をつけるのはたやす
い。東京にいて「アメリカ人はなんてひどいことをするんだ」と言っているの
は簡単です。日本の人たちがいましなければならないのは、東京を見ること、
鏡を覗いてみることです。そうなるとそれほど安閑としてはいられないのでは
ないですか。

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