現代史のトラウマ、番外編 『六ヶ所村ラプソディー』観てきましたフツー日記 その1

昨日、広島県在住の友人より、封書が届きました。開けてみると、

……突然ですが、10月7日より東中野のポレポレ東中野で上映されている、鎌仲ひとみ監督の「六ヶ所村ラプソディー」のチケット(精算済み)を送らせていただきます。どこからか圧力がかかっているらしく、マスコミがまったく反応せず、前売り券がかなり余っている(鎌仲さんのメールより)とのことなので、私も少し引き受けさせていただいています。……

という手紙と共に、映画のチラシとチケットが同封されていました。
彼女とはもう十数年は会っていない(年賀状のやり取りのみ)のですが、同じような血が流れているひとりとは思ってきていました。要するに、観ろ、ということですね。
映画のプロデューサーは、一年に一度、某所の忘年会で挨拶を交わす関係でもありますし、鎌仲監督の前作『ヒバクシャ−世界の終わりに』の共同プロデューサーは友人のひとりでもあります。というわけで、これは観ないわけには行かない、と早速、仕事が休みであった本日、東中野まで出かけてきました。

まぁ、作品については、自分に責任を持ってこの国で生きていこうとするなら観ておけ、という言い方が出来るでしょうね(内容的に)。と言っても、そんな肩肘張ったものではなく、青森の風景とそこにふりかかる日本国の原子力政策、そしてそれに同意せずにそこに生きる人々の姿が、丁寧に撮られた作品です。ちょっと登場する猫がいいです(猫好き向け情報)。
今日は映画評というより、タイトルどおり、「現代史のトラウマ番外編」として、私の中に喚起されたいくつかのことども、を書いておきます。

六ヶ所村、成田三里塚、上九一色村、共通するのは、戦後の引揚者の開拓地としての成立事情ですね。そこに前二者では日本の国家が、後者では日本国家のパロディそのもののオウム教団が、土地を奪い、生活の基盤を奪い、安全な生活を脅かす、というふるまいを繰り広げているわけです。戦前・戦中の国策協力(植民地化の尖兵であったということではあるわけですが)の末に、敗戦と共に引揚者として全てを失った上で帰国し、再び故国の原野を開拓し、やっと生活基盤を確立できたと思った矢先に、再び国家政策により築き上げた全てを否定される。自ら築き上げた世界は重いものです。金銭と交換されてヨシというものではありません(そこのところの想像力が麻痺してしまうと精神的に荒廃します ― 現在の「教育基本法改正」論議にはそのような視点は全くありません)。しかし、戦後日本とは、そのような世界であり、人々の築き上げた風景の破壊者達が「美しい国」などというフレーズを恥ずかしげもなく口に出来るのが、現在のこの国の現実です。

また、原子力政策の推進という行為には、長期的視野の欠落とマイナス情報の隠蔽がそこでは常にエンドレステープのようにまわり続けているという意味で、この国の姿の縮図を見ることが出来ます。長期的には破綻する政策でありながら、それが常に近視眼的に、リスクからは目をそらしメリットのみを強調することにより推進されていく姿がそこにあります。かつての、大東亜戦争の開戦の決定から敗戦にいたる歴史が、ここでは再び繰り返されているように見えます。米国のイラク戦争開戦決定過程においても情報操作が行われ、マイナス情報は切り捨てられました。その挙句の現在のイラクの状況です。そしてどこにも責任を負う者がいないという事態。

                    続く


Tags: 現代史 | 開拓 | 引き揚げ | 六ヶ所村ラプソディー | 教育基本法 | 鎌仲ひとみ | 現代日本  /  | ラプソディー | 東中野 | 政策 | | 現代 | 外編 | 国家
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Comment 1
まみちゃーな
2006/10/11 16:30

桜里さんこんにちは!
面白そうな映画ですね!私も見に行きたいです。
もともと私は穏健左派と分類される人種のようですが、原発には大反対です。生活が多少不便だってかまいません。ドイツにしても、日本から比べれば相当不便ですが、あの環境問題への意識の高さは敬服に値いします。原発だけでもいらないと思っているのに、この国はさらにプルトニウムに湯水のように血税をつぎこんでいるのです。これ以上政治的なコメントは控えますが(もう十分過ぎるほど政治的ですが)、私は一時期日本を見限って、本気でドイツに(ドイツ語しゃべれないけど)移住しようと考えたほどです。ちょっとぐらい不便だってかまわないから、せめてプルトニウムからやめませんか。と、私は問題提起したい気持ちでいっぱいです。
Comment 2
umasica :桜里
2006/10/11 17:59

ぜひ、ご覧になって下さい。

私がいったいどこに分類されるのかというと、よくわかんない、のですが(いぢわる、って言わないよね)、右翼を名乗る方々が、農民、漁民の生き方を否定し、先人から伝えられた郷土の風景に不気味な建造物群を出現させ、子孫の遺伝情報を確実に汚すことが明らかな、これらのプロジェクトに対し無関心なのは腹に据えかねることであるとは、常々思ってきました。このインチキ野郎ども!!!ってことは、俺は真の右翼なのか?

歴史をないがしろにし、未来をないがしろにするようなことはイカン、というのがわが立場なんでしょう。とにかく、インチキは嫌いだ!
Comment 3
まみちゃーな
2006/10/11 18:09

まあ、私も「穏健左派」と自称すると、本当の穏健左派の人たちから怒られちゃいそうなんですが。ただの酒飲み、というのが本当のところかもしれません。政府はしきりに「危険ではない」と言っていますが、正確に「現在は危険性があるかないか検証しきれない」というべきです。また、危険性を確認するためにコストをかけて研究する気もないのでしょう。無責任きわまりないことです。私はそういう政治家に、少なくとも任期中は自分の家族を原発の周りに住まわせるべきだと思います。だって地域住民だけでなく私たちは、無責任な政治家の任期中だけでなく、未来永劫この国に、そしてこの星に住み続けるしかないのですから。
Comment 4
まみちゃーな
2006/10/11 18:14

それはそうと、インチキって形容詞、今はあんまり使われなくなりましたね。私の恩師の教授が好んで使っていましたが(^o^)/私は何度恩師に「このインチキな、乾きの悪い干物女が」と言われたかわかりません(^o^)/今も敬愛する恩師のことを、思い出させられました。byインチキ女
Comment 5
umasica :桜里
2006/10/11 18:15

とにかく、その政府を支えているのが、日本のマジョリティなので、そこが一番大変なトコなんですよね。
何か起きれば、私たちは知らなかった、知らされていなかった被害者だ、って言うんですが、知ろうとしようともしなかっただけでしょう、ってことですね。

どうも、この、トラウマシリーズ、血圧上がってよくないねぇ。
それでも言うべきことは言っておかないとね。
Comment 6
umasica :桜里
2006/10/11 18:17

そうか、まみちゃーなさんの分類は、い・ん・ち・き・お・ん・な 入力終わり。
Comment 7
まみちゃーな
2006/10/11 18:18

そうそう、そこがミソですよね(インチキ、ではなく日本のマジョリティだという部分)。投票にも行かずに被害者もないものです。自分の住む国の、自分の生活に関わる問題なんですから、きちんと考えてできることから始めなければなりませんね。
Comment 8
umasica :桜里
2006/10/11 18:21

ただ、言うそばから空しくなり、ません?
聞く耳ないし、耳ふさいでるし…
Comment 9
まみちゃーな
2006/10/11 18:26

そうですね、それで一番アタマに来るのは「私、政治の話はしないことにしてるんです」とヒトを政治的に偏った人間扱いするところです。
政治を語ることは偏っていない!自分の生活に直結する問題なんだ、という意識が日本人にはなさ過ぎです。
以前中国に住んでいたことがあって、中国の学生と話していたとき、「日本の大学は週何時間政治学習をするのか」と質問されて、日本の学生は政治学習をしないと答えたら、とても驚かれました。政治体制が違うので一概に比較はできませんが、「政治と宗教について語るのは偏った人々」という考え方をそろそろ卒業して(宗教は別にどうでもいいんですが)、日本も政治意識を高めるための方策が必要かもしれません。
Comment 10
まみちゃーな
2006/10/11 18:28

今気がつきました。私は恩師にはインチキと呼ばれ続けていますが、インチキではありません。乾きの悪い干物のようでも、鶏ガラのような女でもありません。うわーん教授のカバ。
Comment 11
umasica :桜里
2006/10/11 19:00

「主権者としての国民」というのが本当なら、政治というのはまさに自分がすること、なんですからね。
全く、江戸時代じゃぁないだろうに、と言うしかありません。

と・り・が・ら・お・ん・な …じゃあない、のか。入力取りやめ。
Comment 12
まみちゃーな
2006/10/11 19:14

いえ、冗談ではなくて、本当に政治意識は江戸時代のままかもしれませんよ(笑)。それはおかみに任せておけば、イイ♪って。

一文字一文字が私の心の傷に塩をすりこみます。ううう(T_T)。
Comment 13
umasica :桜里
2006/10/12 18:47

しかし、「このインチキな、乾きの悪い干物女が」ってセリフ、イイですね。いや、あなたに向かってという意味じゃあなくて、セリフそのものがイイ。
どっかで使ってみたくなるね、「このインチキな、乾きの悪い干物野郎!!」って。

だけど、鶏ガラは味わい深さの源なわけで、「鶏ガラ女」とは味わい深いイイ女、のことだよきっと。自信を持っていいんだよ、鶏ガラ女様。
Comment 14
まみちゃーな
2006/10/12 20:31

なんだかあんまりフォローになってないな、と思いつつ、実は暖かいフォローかもしれない、それを行間から汲み取れない私がいぢわるなのかもしれない、と反省をこめて桜里さんのコメントを夫に読み聞かせました。そうしたら「それは違う。決してT教授はそういう意味で言ったのではないと思う」と決然と言い放たれてしまいました。はぁ・・・。
Comment 15
umasica :桜里
2006/10/12 21:57

いや、ここでこそ、思い込みの激しい私と化すのです。
私は味わい深いイイ女!私は味わい深いイイ女!私は味わい深い……
Comment 16
まみちゃーな
2006/10/12 22:04

ま「私は味わい深いイイ女。私は味わい深いイイ女。私は味わい深・・・」
プ「誰だ、ヘンなこと教えたヤツは!
Comment 17
まみちゃーな
2006/10/12 23:15

プーさんがご当地ナンバーに切替のため陸運局に出向いたときのこと。
事務所内は、普段そういう事務をやったことのない人でごった返して、上を下への大騒ぎだったようです。で、プーさんの驚いたことに、彼らは何の下調べもせず、何の資料も持参せず、そこで手続きできないと知ると怒り出したらしいです。で、担当官がその対応で、ただでもてんてこまいなのに、地獄絵図のようだった、と。
せっかく整備会社とかにまかせず自分でやろうと決めたなら、自分で行動も起こしてちょうだい。でも、何も自分でやろうとしない日本人としては、一歩前進・・・なんでしょうか。
Comment 18
にんにん
2006/10/14 18:10

>マイナス情報は切り捨てられました。

「だまされることの責任」という本を連想しました。

そこでは、二次大戦中の日本の中が、一方的にだまされる君と、だます君に分かれてたんじゃなくて、だましあってる関係で、なんかもう、もみくちゃの判断停止だったと、戦後すぐの伊丹十三のお父さんが記しています。

「だまされた方がラク」という空気を作るには、「政治の話はしません」と言わなくてはならなくなるほどの、見せしめが行われたんじゃないかと思いました。理性的な発言をした人を痛めつけるような。

国を愛するってことは、政治に無批判になれってことですね。
Comment 19
umasica :桜里
2006/10/15 08:38

いや、国(ここでは、時の政府)を批判できてこその愛国者である、というのが私のテーマですね。
重要なのは、政府(政治権力の中枢)はあくまでも政府なのであって、(本来的には)イコール国ではないってことですね。愛国心イコール愛政府心ではない、ってことです。そこを混同した議論が延々と続いて来たことにそもそもの問題があると思っています。
愛国心ゆえに、現在の「憲法改正」に反対する、教育基本法に「愛国心」の項目を加えることに、愛国心ゆえに反対できる、ということですね。
国が滅びることに無関心な愛国心など(それが大日本帝国における愛国心の実態であったわけですから)、インチキの極みである、っていうのが、私のスタンスです。
Comment 20
まみちゃーな
2006/10/15 12:42

素晴らしい!まったく同感です!!インチキって言葉は、私にとって「何と組み合わせるとしっくりくる言葉」なのか不明ですが、「政治」と組み合わせると、実にぴったりですね。このチープで胡散臭い感じが、まさしく今の「政治」を表現しています。・・・って何に同感なんだ?
Comment 21
にんにん
2006/10/15 22:23

お、おれも同感。延々と言葉が汚されてきたんだね。

アメリイカが武力で「民主主義」を植えつけるとか、、、、

確かに、愛国を恥ずかしげ無く押し付ける人ほど、批判恐怖っていうか、批判を中傷ととってしまうね。
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