ハイル・テンノーヘイカ!!…??

ドナルド・ダックが、「ハイル・テンノーヘイカ!!」と叫んでいるシーンを見つけてしまった。


Der Fuehrer's Face というタイトルのアニメに件のシーンがある。(http://jp.youtube.com/watch?v=cdpSU-UWkso&feature=related


Image:Derfuehrersfaceposter.JPG ←公開時のポスター


1942制作、1943年公開のディズニーアニメだ。1943年度のアカデミー賞受賞作品でもあるらしい。


タイトルは、アニメの中で歌われている当時のヒットメロディーから取られている。オリジナルは、スパイク・ジョーンズとシティ・スリッカーズによるものらしい。

ナチス好みのメロディーラインに、ナチへの皮肉を込めた歌詞が付けられている(通称、ナチ・ソング)。

スパイク・ジョーンズは、いわゆる「冗談音楽」の元祖として有名な通りで、これも音楽自体がナチへのパロディーになっている。


そんな、音楽に、ナチ世界の住人となってしまったドナルド・ダックのエピソードがアニメーションとして展開される。


ナチの格好をした5人組のブラスバンド(軍楽隊)が演奏をしながら行進をしているところから始まる。

バンドのメンバーには、ゲーリングに加えて、メガネでヒゲに出っ歯の日本人らしき男(どうも、これが昭和天皇らしい)、ムッソリーニも参加している。

 "WHEN THE FUEHRER SAYS, WE ARE THE MASTER RACE!..."

というような歌詞(ナチの信条)に、行進曲風のメロディー。あらゆるものがハーケンクロイツ型にデザインされた町(街路樹までもハーケンクロイツの形に剪定されている)を行進していく。

やがて、ドナルド・ダックの住む小屋に到着する。

ハーケンクロイツデザインの目覚まし時計に、ヒトラー顔をしたハト時計。起こされたドナルド・ダックは、壁にかけられた3枚の肖像画に挨拶をする。

真ん中の上にあるのがヒトラーの肖像。「ハイル・ヒトラー!」とナチ式の敬礼。次いで左下方にある日本人風の肖像画に向かって「ハイル・テンノーヘイカ!」。最後に右下のムッソリーニに向かって「ハイル・ムッソリーニ!」と叫ぶのだ。

正直なところ、このシーンまでは、日本人風の人物が昭和天皇であるとは気付いていなかった。ステロタイプな日本人イメージ(出っ歯にヒゲにメガネ)、せいぜいのところ東條英機くらいいに解釈していたので、いささか驚かされたものだ。


しかし、考えてみれば、ヒトラーもムッソリーニも国家のトップであるわけだから、大日本帝國のトップが昭和天皇としてイメージされているのも当然のことなのではあった。


アニメ自体は、味気ない朝食風景(ベーコンエッグの香りの香水にのこぎりでなくては切れない固いパン)、そして軍需工場で働くドナルドダックのエピソードへと続いていく。事あるごとに、ハイル・ヒトラー!をさせられながら、弾丸の組み立てに従事するドナルド・ダックの姿。

休み時間にはバケーションタイムと称して、風光明媚な景色の垂れ幕の前でナチ式体操が待っている。


あまりに過酷な労働に、精神の平衡を失ってしまうドナルド・ダック。

しかし、悪夢から醒めてみれば…

最後にはアメリカ礼賛で、アニメは閉じられる。



同じ動画サイトで発見したワーナーブラザースのアニメも紹介しておこう。

Tokio Jokio http://jp.youtube.com/watch?v=3_km9IFzzHo&feature=related)は1943年作品。。

日本映画社で製作されていた「日本ニュース」のパロディーとなっている。つまり、大日本帝國のプロパガンダ映像のパロディーなのである。

こちらには、昭和天皇ではなく、東條英機をモデルとしたらしいプロフェッサー・ト―ジョーが登場する。


ディズニーの昭和天皇にせよ、ワーナーの東條英機にせよ、顔が似ているとは思えない。どちらもステロタイプな日本人イメージを出ない感じだ。

ドナルドダックに出てくる、ヒトラー、ムソリーニ、そしてゲーリングも似顔となっているのに比べて、扱いの低さ、あるいは関心の低さを感じる。人種差別意識とまで言えるのかどうかは微妙に思うが、解釈次第というところか?




動画サイトのアニメ画像には他にも、まだまだ戦中の作品がある。戦争とアニメ、戦争プロパガンダとしてのアニメというのは、興味深いテーマであるように思う。


ここでは、ドイツの日本の事例をご紹介しておこう。

ナチスの戦中アニメ(http://jp.youtube.com/watchv=WIlr_rZKR4c&feature=related)「Cartoons from III Reich」紹介画像と、大日本帝國のアニメ(昭和19年制作、昭和20年4月公開)、

「桃太郎 海の神兵」の冒頭(http://jp.youtube.com/watch?v=jDLHJDaq9bg

とラスト(http://jp.youtube.com/watch?v=dyjPzoEOvdM&feature=related)。


そして、ワーナー作品とディズニー作品からの借用映像に、スパイク・ジョーンズのオリジナル音楽を付けたもの(つまり、画像サイト用オリジナル?)。

http://jp.youtube.com/watch?v=6J-1p_xX2TU&feature=related)こちらのタイトルは「A film about Hitler's face」となっている。

あやうく、当時の作品として紹介してしまうところだったが、当時のアニメ画像を編集し、当時の音楽(スパイク・ジョーンズのオリジナル)を付けたものであることにご注意を願いたい。しかし、よく出来ているので、ご参考までに。


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Comment 1
umasica :桜里
2007/12/10 00:20

日記中の、最後に紹介した「A film about Hitler's face」について、借用されたオリジナルアニメが確認出来たので、補足としてここに加えておきます。

ディズニー作品が「Hitler's Children Education For Death」
http://jp.youtube.com/watch?v=xabAjxjYhbU&feature=related
ワーナー作品が「Russian Rhapsody」
http://jp.youtube.com/watch?v=4xs8TVkJSUc&feature=related
Comment 2
umasica :桜里
2007/12/10 15:21

Der Fuehrer's Face

追加情報、第2弾!

スパイク・ジョーンズによる演奏
http://jp.youtube.com/watch?v=kqG9YVd7OBU&feature=related
歌詞
http://jp.youtube.com/watch?v=eSJ4pAOiVkY&feature=related
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