MISSING BOY「僕が僕であるために」レポ前編「迷路」

前回のレポからだいぶたってしまったが 
公演も終わったのでネタバレありで。

豪奢なステージセットと客席
中世のオペラを観に来た貧しい暮らしを生きるもののように
これだけで満足なくらい 気持ちが高ぶる

テレビや映画ではこんなものと比較にならないものをいくらでも見ているのに
なぜ心が騒ぐのだろう。アンネ・フランクのように少しでも華麗なものにミーハーに驚く
幼い心を人はいつでも持っているようである。

この公演。毎回「I LOVE YOU」はシークレットゲストが歌うことになっている。
今日は「中川晃教(なかがわ あきのり)」さんだ。

なぜ 最終日のチケットがオークションで出されて高騰していたのかがわかった。
最終日はきっと クラウチングボーイズでも出るんじゃないか(尾崎の息子です)

歌う曲順も誰が歌うかも来ての楽しみということだった。
しょっぱなから 「誕生」を歌われたので度肝を抜かれるとともに誰もついていけていない
気がした。
「中村あゆみ」が歌う誕生(中村あゆみは「翼の折れたエンジェル」のあのしゃがれた女性ロッカーです)
歌詞をところどころ変えてあって、始め 「え?うろおぼえ?」と思ってしまい焦った。
「僕や俺」というところを 女性が歌うからか変えてあったりして気になった。

全編を通していえるのだけど あまりその辺りの整合性を気にすることはないのではないか。
さらに ソングライダーという ユニットがアレンジした15の夜や
FIREを歌う。完全にクラブミュージックのようになった曲に
これまた リアクションに困る観客。
前にいた お客さんが中心に 手拍子をする。
僕も 無理から手拍子をして 参加した。
いったいなんなのだこの公演は・・・。と思った人が多かったはずだ。
ストーリーの説明も不足なまま 曲は次々と歌われてゆく。

「曲を大事にしすぎることなく」曲をバックにどんどん台詞を吐いてゆけばいいのに、
と僕は思った。
タップダンスや ストリートバスケパフォーマンス、などの表現とともに
ポエトリーリーディング(詩の朗読)のような空間が形成される。

かつて 尾崎のバースデーライブのときにも尾崎の詩の朗読に合わせて
合成された音を合わせるという試みがあり ほとんど実験的なものであったが、
それに似ている。そして少し進化しているように思えた。

この時点では そうとう 尾崎にたいして寛容かつ理解がなければ ついていくのは
難しいだろう、と思う。
そして 白いスーツを着た青年が 客席の間の通路に座りハーモニカを吹く。

その青年に 語りかける 金の亡者となった音楽プロデューサー。
「また お前か! お前は なんなんだよ。
俺たちの前から消えちまって・・・お前は壁だ。
そう思って立ち向かいぶち当たったら・・・・お前は壁じゃなくて
出口のない迷路だったんだよ・・・・!」

青年は立ち上がり 消えてゆく
そうか、この白いスーツの青年は 「尾崎豊」を象徴しているのか。
たしかにシルエットが似ている。
要所要所で 尾崎豊は 上のほうから舞台を眺めている。
『壁じゃなくて出口のない迷路だった』
この言葉は真だ。
誰もが 尾崎が正しい 真実の愛を探そう 夢に生きよう
そうして 迷い込んだ人がどれだけいるか。
僕自身もきっとそうなのだから。
尾崎は死んだ。答えも出せず 美しいまま、醜い姿を晒す義務を果たさずに、
本当に残酷な美しさを残したまま彼は死んだ。

それが「出口のない迷路」なのだ、と僕は思う。
売れないバンドのボーカルをしている少年。設定は17歳。
これまた尾崎をモチーフにしていて 「17歳の地図」を歌いだす。

彼は売れるために プロデューサーの甘い話に乗る。
「おれは売れたい。そしてたくさんの人に歌を届けたい。それがいけないのか!」
僕も完全に 少年に賛成する。
「使い捨てられたとしたら、それは本人の弱さがいけないんだ」

痛いほどによくわかる。渇望。
中村あゆみが ちょくちょく 出てきて 大人の意見を突きつける。
中盤で胸に迫る言葉が出てくる。
「あの人(プロデューサー)は勝ち続けてるじゃないですか!」
「勝つってなによ!!いったい彼がなにに勝ってるの!!」

実は昔 中村あゆみ(がやってる役の人)と その金の亡者のプロデューサーは
恋仲か何か、夢を共に追った間柄であるらしいバックボーンがある。

激しいタップダンスと 詩の朗読のコラボレーション
尾崎豊役の謎の青年が(これは26歳近いころの尾崎のイメージだろう)
詩を読む。真実の愛や夢など、かなり野暮ったい、
陳腐に陥りやすいもので、あった・・・
僕はそれがいい、と思うし、それが尾崎のひとつの側面であると思うし
僕自身がそうであると思うから。

この辺りで いきなり 20分の休憩がある。
ほ〜休憩あり、の舞台とは・・・
「不満を漏らす客や、ささやかな意見を交わす客。
手拍子の少なさを嘆き『がんばろうね』と励ましあう若者」

なぜだろう。こんな風景もすべてが僕には新鮮で得るものが多いように思える。
尾崎豊の評価そのものを象徴したような今の現状のようだった。
「なにもかも違っていて、なにもかもが正しい」
俺にはわかる、そんな風に感じた。

「俺がガンダムだ!」と 情熱に駆られる刹那・F・セイエイではないが
そんな気持ちに似ているだろう。

そして後半の幕があがる
(次回 MISSING BOY「僕が僕であるために」レポ後編「ウェルダン穂積MEETS尾崎豊」に続く)


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Tags: ウェルダン穂積がゆく  /  尾崎 | 迷路 | 青年 | プロデューサー | 手拍子 | あゆみ | 朗読 | | 中村 | 出口
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