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続々々々々々・映画「靖国」を観る

2009/05/11 23:32

映画『靖国』(2007年 李纓監督作品)の話題が続いた。

昨日で終了、のつもりだったのだが…

 

 

 

映画の中に、印象的なシーンがある。いや、印象的なシーンはいくつもあるのだが、その中の一つ、と考えて欲しい。

 

 

2005年の8月15日、その日の靖国神社におけるエピソードの一つ、ということになるのだろう。

記憶によると、その日は私自身は入院中(事故!)だったもので、天候の記憶はまったくないのだが、『靖国』(2007年 李纓監督作品)の画面に映し出されている限り、東京はよい天気ではなかったようだ。

 

既に夜である。日中の賑わいとは異なり、人影のない境内。雨が降っている。

そこに軍装に身を包んだ人物がやって来る。南方の戦場用だと思われる野戦服姿だ。

一人、雨に濡れながら社殿の前にたたずみ、軍刀を抜き、一礼し、静かに去っていく。そのバックに流れるのが「抜刀隊」(歌)である。


 【軍歌】 抜刀隊 メドレー

   → http://www.youtube.com/watch?v=ZnloXwjVZJ4&feature=related

 

 

夜の靖国神社境内、静かに雨に濡れる軍人の姿と、そのバックに流れる「抜刀隊」の歌。美しい(と言いたくなる)シーンであった。

記憶の底を揺さぶられるような、と言いたくなるようなシーンだ。

 

 

やがて、「記憶の底」の正体が明らかとなった。

 

 

「論座」(2008 6)の、映画『靖国』をめぐる特集に、山口文憲氏の「日本の国柄が守られていない」という文章がある。


 いい映画を見た後で、人とその感想を語りあうのは楽しい。ましてそれがこの「靖国」のような公開前の問題作ともなれば、なおさらだろう。


という書き出しの後に、対話形式の文が続いているのだが、やがて、


「それからあそこもよかったな。雨降る夜の社殿に、野戦服の背中に鉄かぶとを背負ったオヤジがやってきて……。軍刀の鞘を払って一礼すると、そのままひとり静かに社殿を去っていく」

「そうそう。そのうしろ姿を、レンズに雨粒のついた手持ちのカメラがずっと追いかけていく。と、その絵に男声合唱の〈抜刀隊〉がかぶさってくる」

「しのつく雨に〈抜刀隊=陸軍分列行進曲〉とくれば、これは昭和十八年十月二十一日の神宮競技場、つまり学徒出陣壮行会でしょう。あの〈雨の靖国社殿〉のカットは、戦時下ドキュメンタリーの傑作〈雨の神宮競技場〉に対する、李監督の返歌というか、批評的なオマージュだと私は受け取ったけど……」


というやり取りとなる。

そう、記憶の底にあったのは、「学徒出陣」の映像だったのだ。ただしそちらに流れていたのは、歌ではなく軍楽のインストメンタルであった。それがストレートに、私の「記憶の底」につながらなかった理由であろう。


 Germany Polydor Military band 78rpm

   → http://www.youtube.com/watch?v=npjv4JMpQs8&eurl=http%3A%2F%2Frasiel%2Eweb%2Einfoseek%2Eco%2Ejp%2Futa%2Fbattoutai%2Ehtm&feature=player_embedded


この感じである。

 

 

 

さて、その後の検索で、問題の「学徒出陣壮行会」シーンの画像も発見。


 学徒出陣

   → http://www.youtube.com/watch?v=uaAN3txVzBk


記憶の底にあったのはこのシーンであった!

 

既に、召集=従軍が、戦争における「勝利」と結びついてイメージされる戦局ではなかった。戦死が前提として共有された空間なのである。雨の中、神宮のグラウンドを埋め尽くしているのは、自らが死地に向かいつつある現実を理解している若者達の姿なのだ。

 

その時空が、雨の靖国神社境内に一人、抜刀し敬礼する男の静かな姿に重なるのだ。

 

 

もちろん、シナリオがあるわけではない。夜の神社境内を撮影するスタッフの前に現れ、去っていった男の姿。カメラの前に展開された現実の出来事を捉えたものだ。その一部始終を、雨の中、カメラマンは丁寧に撮影した。

そのシーンを、「学徒出陣壮行会」に重ねたのは編集の力である。雨の中で静かに軍刀を抜く男の映像に、「抜刀隊」の音楽がかぶさる。異なる時空が、映像と音の組み合わせにより、一つの時空として融け合うのである。

李纓監督には頭を下げざるを得ない。

 

 

 

 

 

 

 

最後に、参考の為に、「学徒出陣」のフィルム全編へのアクセスをご紹介しておこう。

 

 『学徒出陣』 昭和18年 文部省映画(2-1)
   → http://www.youtube.com/watch?v=iEd1WI-3mSU

 『学徒出陣』 昭和18年 文部省映画(2-2)

   → http://www.youtube.com/watch?v=zegiRxlZDnU


   (画像ごとの音のレベルの差が大きいので、その点、ご注意を願いたい)

 

 

 

 

 


Binder: 現代史のトラウマ(日記数:665/全体に公開)
Gg[ubN}[N
最新コメント

  • Comment : 1
    umasica :桜里
     2009/05/12 00:50
    投稿成功!!

  • Comment : 2
    Smith
    Smithさん
     2009/05/12 01:19
    盗皇成功!!

  • Comment : 3
    umasica :桜里
     2009/05/12 01:36
    Comment 2  2009/05/12 01:19 たぬき男いたち男さん

    盗皇成功!!


     ↑ ↑
    深夜の馬鹿騒ぎ。

    早く寝ろ!!

  • Comment : 4
    Mr.Dark
    Mr.Darkさん
     2009/05/12 02:34
    たぬきさん、寝なされ

  • Comment : 5
    Smith
    Smithさん
     2009/05/12 13:25
    「ウマシカ」の映画「靖国」への執着は、今や相当な規模になりつつ

    あるが、例の「戦争シリーズ」の延長版と理解しても好いのだろうか。

    これを「freeml」の続く限り、永遠に展示公表したいと云うのが望み

    だろう。「私」もグループ「スタ・コラ」を巡って同様の思いでいる。

    「ウマシカ」の膨大な規模の「書き込み」は、確かに残るに違いない。

    どこかの誰かサンが、真面目に読んでくれる日が来るのを願うのみだ。

    それとも「ウマシカ」の死と共に、虚空に消え去る性質の物だろうか。

  • Comment : 6
    Mr.Dark
    Mr.Darkさん
     2009/05/12 14:40
    ↑まるでumasicaさんの日記を読んでいるのは「己れ1人だけ(たぬき氏)」みたいな言い方ですな。

  • Comment : 7
    umasica :桜里
     2009/05/12 14:57
    Mr.Dark 様


    >まるでumasicaさんの日記を読んでいるのは「己れ1人だけ」みたいな…

    まぁ、確かにコメント数ではダントツ。

    しかし、内容を理解出来ているのかどうかは不明。

  • Comment : 8
    umasica :桜里
     2009/05/12 15:05
    >どこかの誰かサンが、真面目に読んでくれる日が来るのを願うのみだ。
    >それとも「ウマシカ」の死と共に、虚空に消え去る性質の物だろうか。


    自分自身の問題意識の追求が目的なので、
    自分の中で「よりはっきりモノが見えた」という状態が獲得出来ればOK。

    「書くこと」は、「モノをよりはっきり見る」ための手段として最上のものだろう。
    だから書く。

    自分の「納得」が問題なので、世間的評価はどうでもいい。
    だから、生きている間だけのことで十分。
    死んだら「虚空に消え」て、それでかまわない。

    ただし、異論に接することも大事だ。だから公開の場で書く。

    自分の説得のためなのだから、いい加減な論理は自分が許さない。
    事実関係についても慎重に確認する。
    だから、事後の削除は必要ない。


    まぁ、それでも、
    「ココログ」の方の「現代史のトラウマ」の「人気記事ランキング」では、

    1位:「卒業制作優秀作品展」を観る
    2位:情けない日本の私(特殊慰安施設協会史ノート)
    3位:続々・老眼と自己決定
    4位:神の国の軍隊
    5位:国体の精華としての特殊慰安施設協会
    6位:映画『靖国』を観る
    7位:無差別爆撃の論理 3
    8位:フィンランドの歴史 あるいは軍事力による防衛 (10)
    9位:神の国の戦争
    10位:偉大な兄弟の見守る世界

    となっている。
    古い記事も読まれているわけで、
    他人の役にも少しは立っているのだろう。

  • Comment : 9
    Smith
    Smithさん
     2009/05/12 15:58
    「ウマシカ」風に責めれば「モノをよりはっきり見る」事が出来るが、

    「たぬき」風に責めたら「なにも見えない」事になってしまうのかい。

    アンタの仁義は良く解ったが、果たして「見えてる」かどうか疑問だ。

    世の同業者達も、当然「はっきり見る」積もりでいるし「私」も同然。

    誰が誰の「書き込み」を意味ある記述として認める事やら、怪しいな。

    皆が「手前ミソ」を、ハッタリで宣伝しているダケかも知れないだろ。

  • Comment : 10
    みやのたれ
     2009/05/12 16:16
    >書くこと」は、「モノをよりはっきり見る」ための手段として最上のものだろう。

    あ、これは賛成。
    「言葉にして出す」というのは、
    「自分の認識を明確にする」ということと
    ほぼ同意な気がします。

    逆に、その人の頭の中にない語に該当する思念は
    はっきりと認識できないのではないでしょうか。

    (・・・という理由で赤ちゃんは苦痛を明確に感じることなく
     胎動を通ってこられるのでは・・・
     という話を昨日しました。)

    ドイツ人やアメリカ人が反省しないのと同じ。
    (英語とドイツ語には反省に該当する語がない。)

  • Comment : 11
    Smith
    Smithさん
     2009/05/12 16:26
    毎度云うが「目に見えたもの…これすなはち真実ではないのです」だ。

    「論理」で世界を割り切ろうと試みた場合「原子爆弾」が結果される。

    それを、無実無関係な人々の頭上に落とす事が「はっきり見る」事に

    なるのかい。「冷たい方程式」って奴だな。そんな結果を回避する為

    にこそ「はっきり見る」必要がありそうなもんだが「ウマシカ」式の

    論理では「説明」は出来ても「説明しかねる」事は語れないだろう…。

  • Comment : 12
    みやのたれ
     2009/05/12 16:45
    言葉を知ると、人間は偏らざるを得ないような気がします。

    そういえば、これ(↓)も、それ(↑)を示唆していると思うのですが、
    旧約聖書で「神の声が聞こえない」と記述されている箇所があって、
    他の神話にもそういう箇所があって(←この辺相当うろ覚え。)、
    それは大体文字の成立時期と重なるのだそうです。

  • Comment : 13
    Mr.Dark
    Mr.Darkさん
     2009/05/12 17:26
    ↑なるほど。中国・日本などの漢字語圏で、複雑怪奇な様々の「神」や、実体のない意思(魂・幽・妖?)の伝承が豊富な理由にも結び付きそうですね。

  • Comment : 14
    Smith
    Smithさん
     2009/05/12 17:58
    あ〜いやぁ〜!!邦画「太陽を盗んだ男」の主人公を演じていたのは、

    思い出したぞ。ジュリーこと「沢田研二」だ。「みほ」サンは知らん。

  • Comment : 15
    Smith
    Smithさん
     2009/05/12 20:51
    こうして今日も再び「収穫」の満足に望めない一日となってしまった。

    残念だなぁ、時間の無駄は大きい。自然の結果は「電子ピアノ」へと

    向いてしまう「私」だった。もっと才気活発に議論できないのかネェ。

    もどかしくて堪らないよ、全く。大変「贅沢」な時間の過ごし方には、

    我ながら呆れてしまう。「みやのたれ」サンならずとも、やり切れん。

    「ウマシカ」の日記がつまらないのか、読まない「私」が悪いのか…。

  • Comment : 16
    やわらか☆不思議猫
     2009/05/12 21:04
    ほおお〜〜。ココログには「人気記事ランキング」という機能があるのですね〜〜〜。
    研究してみようっと

  • Comment : 17
    umasica :桜里
     2009/05/12 21:15
    >「ウマシカ」式の論理では
    >「説明」は出来ても「説明しかねる」事は語れないだろう…。


    「出来事」あるいは「事実」自体が論理的である必要はない。

    むしろ「不条理」こそが経験する「事実」の基本だろう。

    しかし、その経験は語ることが出来る。
    論理で説明出来ない経験そのものを語りつくすこと。

    それすらしないで何を言うのか?というのが私の感想。


    その上で、「解釈」が生まれるが、
    そこには論理的整合性・論理的一貫性への配慮が必要だろう。

    私の言っているのはそれだけのことだ。

  • Comment : 18
    Smith
    Smithさん
     2009/05/12 21:24
    「コメント」は「私」が黙ると、不思議と寄せ集まって来るもんだな。

    つまり「私」がどうやら「障害物」となって、道を塞いでいるらしい。

    自然の結果は「皆さん」足が遠のく。「ウマシカ」は苦い思いだろう。

    従って「私」はしゃべり過ぎの「罪」を負って、しばらくの間は沈黙。

    様子見で暮らしてみようか…と思うのだった。それで「コメント」が

    集まるのならば、本当の読者が結構いる…と云う事になるではないか。

  • Comment : 19
    umasica :桜里
     2009/05/12 21:45
    >従って「私」はしゃべり過ぎの「罪」を負って、しばらくの間は沈黙。
    >様子見で暮らしてみようか…と思うのだった。


    無理だろ?

  • Comment : 20
    Smith
    Smithさん
     2009/05/12 21:46
    かなり昔、ML「真の哲学体系を求めて…」に所属していた事がある。

    そのオーナーが二言目には「論理的整合性・論理的一貫性」と云って

    難しい事を云っていた。数学の世界なら解るが「事」人文学となると

    「論理」の足下のおぼつかない世界だ。そもそも「学」とはなんだい。

    「哲学」と「学」を名乗る時点で、既にアヤマチを犯しているんでは。

    ないか。結局「皆さん」意味論に引っ掛かって苦しんでた。ご苦労様。

  • Comment : 21
    Smith
    Smithさん
     2009/05/12 21:56
    では、これにて「たぬき男」のチンプンカンには幕を降ろすと致そう。

    尤も、明日になってみると「ウマシカ」に噛み付いているかも知れん。

    やはり「たぬき男」は男色の気のある、気持ち悪い「存在」かいな…。

  • Comment : 22
    umasica :桜里
     2009/05/12 22:07
       振り出しに戻る。

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