umasica :桜里さんのマイページ

真昼の百鬼夜行

2009/08/18 21:43

「百鬼夜行」とは字の通りで、夜中の話のはずなんだが、真昼に「百鬼夜行」に出会ってしまった。

 

 

東京は立川市での話(オケガワは関係ない)。

 

 

立川から多摩都市モノレールに乗って(妖怪の世界というよりSF的乗り物だ)、次の「高松」駅で下車。(地図によれば)7分ほど歩くと、国文学研究資料館に着く。

都市計画現実化中、というか都市計画途上というか、草が伸びる空き地が残る広い空間に格子状の広い道路、そして中層(「高層」とまではいかない感じ)の現代的ビルが立ち並ぶところまではいっていないが、やがて立ち並ぶんだろう的世界。完成したら、「鉄腕アトム」的イメージの世界になるんだろうなぁ…

という区画にある、これもデカめのガラスとコンクリート建築。

入り口を入ると、広い吹き抜けの空間で左右に分けられている。左が「大学共同利用機関法人 人間文化研究機構 国文学研究資料館」のエリア。右側は、南極観測関係のナントカ法人だかナントカ機構だかが占領していた。

 

このあたり一帯は、東京都心が地震で壊滅した時に国家の中枢機能を移転させる、という構想で整備されているらしいのだが、「立川断層」の真上に位置しているというウワサもあったりする場所だ。地震でどうなるのかは知らないが、基本がSF的「近未来」空間…と言ったって、とっくに21世紀なんだけどね。

 

 

で、国文学研究資料館で開催されているのが「人間文化研究機構連携展示 百鬼夜行の世界」展なのだ。

久しぶりに家族全員揃う時間が出来たので、観に行ったわけ。と言っても、夕方から仕事が入っていたので、規模の大きな展示ではないだろうという予測があればこその展観だった(会場はここだけではなくて、国立歴史民俗博物館でも連携展示をしているというスタイルだし)。

 

 

実際、広い会場ではない(展示会場は、国文学研究資料館全体のほんの一部なのだ)ので、展示点数も多くはなかったけれど、中身は充実していた。あらためて会場で配布されていた「出品目録」でチェックすると(「図録」の方だと、2会場の両方が記載されているので)、展示総数は36点。江戸期を中心に、絵巻もあれば刊本もありの、各種の「百鬼夜行図」に出会うことが出来る。元ネタがコピーを通して展開していく姿も面白い。

 

「freeml」的(?)には、京都市立芸術大学芸術資料館蔵の、江戸時代後期の『付喪神絵詞(つくもがみえことば)』が興味深い。行列の中に、タヌキだのイタチだのの姿を発見出来るのだ。

展示品の中に、寛永20(1643)年刊の『仏頂尊勝陀羅尼』があって、この中に「妖怪」除け(?)の呪文が紹介されていたのだが、出品目録では「参考品」となっていて「図録」への掲載がない(会場となった「国文学研究資料館」の所蔵品だった)。なので、ここで再現出来ないのだ。残念な話である。

それでも「図録」には、「百鬼夜行」を避ける歌の紹介はある。藤原清輔の『袋草紙』によれば、


 堅石やつかせせくりにくめるさけ 手て酔ひ足酔ひわれ酔ひにけり


というのだが、効果の程は…

 

まぁ、いずれにしても、夜中でも街頭が道を明るく照らす世界では、「百鬼夜行」は出来ませんなぁ…

真昼の妖狸には悩まされるけれど…

 

 

 

駅近くに戻り、小さなビルの小さなフレンチの店でランチ。そのビルのほとんど隣が、オタクの殿堂の「フロム中武」。

寄ると散財するので、駅上の「山野楽器」まで我慢してCDコーナーで散財、のつもりだったのだけど、アニメ関係ショップ狙いの娘について、「フロム中武」の中へ…

こちらは古銭・コインの店狙い。


大正2(1913)年 大日本 10銭

1961−1971 タンザニア 5シリンギ

1974−1977 アルジェリア 5(ディナール?)

1975年 パナマ 10(センティノス?)

昭和51(1976)年 日本国 100円(天皇陛下御在位50年)

1993年 チェコ 2コルナ


大正2年は、母の生年。1993年は、娘の生年。家族の生年の各国コインの収集、というのがコレクションの基本(カネがかからない)。

もう一つが、今はない国、あるいは国家体制、権力者が変る前のコイン(これも、カネがかからない)。

今回は記念硬貨らしきものが3種(タンザニア、アルジェリア、日本国)。タンザニアは独立10年。アルジェリアは(今のところ)内容・意味不明。日本は読んでの通り(ケース内に記念切手も付属していた)。  

 

同じフロアで、なんと「古書市」開催中。

会場内に入ってはいけない、と思いながら、会場の外の台上の本を…

うわっ! 戦前の岩波新書が…


小堀杏奴編 森鴎外 『妻への手紙』 (岩波新書17 昭和十三年十一月 ただし昭和十六年六月の6刷) 50銭 250円

B・M・チェムバレン 『鼠はまだ生きている』 (岩波新書32 昭和十四年四月) 50銭 300円

笠間杲雄 『回教徒』 (岩波新書33 昭和十四年四月) 50銭 300円

天野貞祐 『学生に輿ふる書』 (岩波新書45 昭和十四年八月 ただし同年十月の2刷) 50銭 購入額不明

山本有三 『戦争と二人の婦人』 (岩波新書47 昭和十四年九月 ただし昭和十五年十一月の3刷) 50銭 250円

芦田均 『バルカン』 (岩波新書55 昭和十四年十二月) 50銭 購入額不明

安田徳太郎 『世紀の狂人』 (岩波新書58 昭和十五年三月) 50銭 250円

西田幾多郎 『日本文化の問題』 (岩波新書60 昭和十五年三月) 50銭 350円

J・ハックスリ A・ハッドン 『人種の問題』 (岩波新書69 昭和十五年七月 50銭 300円

許広平 『暗い夜の記録』 (岩波新書215 昭和30年9月) 100円 購入額不明

A・L・ストロング 『チベット日記』 (岩波新書416 1961年5月) 130円 300円

ジュール・ロワ 『アルジェリア戦争』 (岩波新書421 1961年6月) 100円 150円

何長工 『フランス勤工倹学の回想』 (岩波新書956 1976年2月) 230円 100円

村上重良 『天皇の祭祀』 (岩波新書993 1977年2月) 280円 150円


…を買ってしまう。3000円ちょっとだ。
 

『妻への手紙』の巻末には、「岩波新書を刊行するに際して」と題された岩波茂雄の有名な(?)言葉は載せられていない。『鼠はまだ生きている』の方には掲載されているのだが、あらためて読んでみるとビックリ、


 天地の義を輔相して人類に平和を輿へ王道楽土を建設することは東洋精神の発露にして、東亜民族の指導者を以て任ずる日本に課せられた世界的義務である。…


…なんて言葉で始まっているのだった。

そして末尾は、


 昭和十三年十月靖国神社大祭の日


となっているのだ。あの「岩波新書」と「靖国神社大祭の日」の組み合わせである。

 

やはりオリジナルには価値がある。

本や論文に、当時の岩波新書からの引用があっても、この巻末の岩波茂雄の言葉を読む機会はない。

 

値段の変化、出版年の表記が元号から西暦へ変った事実。本文以外のところも、なかなかに見所がある。

 

 

結局、古銭と古本で5000円ほどの散財。

まぁ、お安いお楽しみである。

 

 

 

 

 

 

 



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最新コメント

  • Comment : 1
    umasica :桜里
     2009/08/19 01:31
    猛暑、というほど暑くはないので助かったが、
    モノレールの駅から資料館まで、
    例年並みの暑さだったらたまらないだろうなぁ…

    …なんてことも思った、夏の晴れた真昼の百鬼夜行日記でした。

  • Comment : 2
    たぬき男いたち男
     2009/08/19 22:28
    御互い「孤独」ですなぁ。客は付くんですかネェ。そろそろ心配だな。

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