umasica :桜里さんのマイページ

「創氏改名」と賞金300万円の駄文

2008/11/07 22:24

某MLコミュニティでの、かの饒舌氏との闘いも一段落したことは、先日ご報告した通りである。

 → http://www.freeml.com/ep.umzx/grid/Blog/node/BlogEntryFront/user_id/316274/blog_id/84272

(より詳細には

  → http://www.freeml.com/qualia/9478

  → http://www.freeml.com/qualia/9483

          ちなみに、後者は、先日の日記以後の展開である) 




饒舌氏との論争も一段落し、たぬき男いたち男氏のお相手をしていたら、別の参加MLコミュへの投稿に問題を発見。

今日は、つい、そちらの問題を指摘するということをしてしまった。



例の(?)、田母神俊雄元航空幕僚長の「論文」(http://www.apa.co.jp/book_report/images/2008jyusyou_saiyuusyu.pdf)について、

 ↓ ↓ ↓



 多くの情報の中で、誤った事実については、
 注意深く検証する必要があると思います。


 関東軍の爆破事件
 こんな説もあるとは驚きでした。


 創始改名や人口の増加など、
 事実を積み上げていくと、ちょっと違った見方ができるように思います。


 たしかに、今の感覚で考えても、人口が増えるのは、
 暮らしやすかったとか、仕事があったのかと想像してしまいます。



 ↑ ↑ ↑

というご意見を表明しているのを目にしてしまったわけだ。





 関東軍の爆破事件
 こんな説もあるとは驚きでした。


なんて言われても、そんなことで驚くようじゃダメじゃん、としか言いようがないですよ。


田母神氏のお説の通りに、張作霖爆殺の背後に関東軍が存在していないなら、田中義一が首相を辞める理由はなかったわけだし、柳条湖での満鉄線路爆破については、戦後に当事者の元関東軍将校が告白本を出版しているわけだし、その辺の検証を全く欠いたところで議論をすることには、意味はないと言うしかない。

あの文章を「論文」と称するなら、最低限必要な作業でなくてはならないだろう。

感心するような内容ではないのである。

まぁ、私はそのお粗末さには、確かに「感心」してしまったのだけれど。




で、MLコミュニティには、



投稿者に対して、


 話題の田母神氏の「論文」をご紹介いただきました。
 私も、今回の「論文」がどんなものなのかわかり、
 大変に勉強になりました。
 お手数ありがとうございました。


と礼を述べた上で、


 その「論文」にどのような問題点があるのかについても、
 様々に論じられているようですが、
 私自身が勉強になったと感じたものをご紹介しておきます。
  ↓ ↓


 伊東乾 「KY空幕長の国益空爆」 (日経ビジネス オンライン)
 http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20081104/176177/


 櫻田淳 「【正論】東洋学園大学准教授 櫻田淳 空幕長論文の正しさ・つたなさ」 (産経新聞)
 http://sankei.jp.msn.com/culture/academic/081107/acd0811070337000-n1.htm



 ご参考にしていただければと思います。




 その上で、私の感想を一点だけ述べておきましょう。


 田母神氏は、
 「創氏改名」についても触れているようですが、
 何が問題なのがが理解出来ていないことだけは確かのようです。


 「創氏改名」というのは、
 多くの方に誤解されているようですが、
 朝鮮名を日本風の名前に変更することのみを、
 言うのではありません。
 朝鮮名を日本風に変更しなかった事例は、
 別に珍しいものではないのです。


 ご存知のように、
 韓国・朝鮮では、
 結婚後も、妻は夫の姓を名乗ることはありません。
 ここに、朝鮮半島の家族制度の根幹のひとつがあります。
 これは、家族制度という文化の問題であり、
 日本の戸籍システムと朝鮮半島のシステムの、
 優劣の問題ではありません。
 現代日本で考えてみれば、
 夫婦別姓に多くの人が抵抗感を持つようですが、
 夫婦であること(夫婦の絆)と、
 姓の問題は、本質的には関係ありません。
 夫婦同姓は、決して、
 離婚を防ぐ手段にはならないわけですから。
 要するに、
 それぞれの文化の中での、
 親族体系の捉え方、命名法のバリエーションとして、
 考えるべき問題であるということです。


 ですから、
 法的に「創氏改名」の何が問題なのかと言えば、
 姓名を日本風にすることの強制の有無ももちろん問題ですが、
 問題の焦点はそこではなく、
 家族制度という文化のあり方の、
 強制的な改変であったという点にあるのです。


 当事者が伝統的なものとして考えている家族制度の改変が、
 いかに困難であるのか、
 そこからいかに大きな抵抗感が生じるものであるのかについては、
 「夫婦別姓」をめぐる議論を振り返ってみれば、
 容易に理解出来ることでしょう。
 要するに、
 朝鮮半島で大日本帝國がしたことは、
 現代の日本で、
 外国から「夫婦別姓」を強要されるようなものであった、
 と理解しなければならないということになります。




 以下は知人から伺った話です。


 田母神氏は、
 日本が朝鮮で大学を作るなど教育の向上に力を入れ、
 また朝鮮人を日本の士官学校や学習院に入学させたことを、
 高く評価しているようですが、
 当時の京城(現・ソウル)帝国大学は、
 主に日本人用の大学であり、
 たとえば、医学部の定員200名のうち、
 朝鮮人枠はわずか4人だったということです。
 また、京城市の周辺には、
 12の旧制中学校が設けられましたが、
 朝鮮人用の中学は3校だけであり、
 日本の士官学校や学習院へ入学出来たのも、
 旧王族や一部の特権階級だけだったそうです。




 多くの情報の中で、誤った事実については、
 注意深く検証する必要があると、私も思いました。





というお返事をしておいた。



伊東乾氏が、「KY空幕長の国益空爆」でも書いている通り、論文としては、あまりに「ツッコミどころ満載」状態で話にならないことに(ウワサでは聞いていたものの)、まさに「こんな説もあるとは驚きでした」という気分を味わされたものだ。

まぁ、これも紹介者のお陰である。



しかし、こんな内容の「論文」で賞金が300万円!

ダブニストもこれには実際驚いた。

世の中にはウマイ話が転がっているものである。






〔付記〕


MLへの投稿を読み返し、肝心の点について不明瞭な書き方をしていたことに気付き、以下の投稿を追加しました。

 ↓ ↓ ↓



 読み返してみたら、肝心の点を書き落としてしまっていました。


 要するに、「創氏改名」とは、
 朝鮮名を日本名へ改変することが強制されたかどうか、
 という問題にとどまることではなく、
 日本の戸籍制度の強制による、
 朝鮮半島の伝統的家族システムの破壊という問題をはらむ、
 大日本帝國による施策であったということを、
 きちんと理解しておく必要がある、ということですね。


 朝鮮名の継続的使用の事例が、
 「創氏改名」が存在しなかったとか、
 それが強制的なものではなかったという結論に結びつくとすれば、
 その認識自体が誤りだ、ということです。


 田母神氏ご自身は、
 その「論文」の結語部分で、
  ↓ ↓



 私たちは日本人として我が国の歴史について
 誇りを持たなければならない。
 人は特別な思想を注入されない限りは
 自分の生まれた故郷や自分の生まれた国を
 自然に愛するものである。


 私たちは輝かしい日本の歴史を取り戻さなければならない。
 歴史を抹殺された国家は衰退の一途を辿るのみである。



  ↑ ↑

 と書いているわけです。


 田母神氏に何より必要なのは、
 この文の主体を、朝鮮人あるいは韓国人として、
 置き換えて考えてみることの出来る想像力でしょう。


 「創氏改名」という大日本帝國の施策は、
 自分の生まれた故郷や自分の生まれた国を
 自然に愛することの出来た朝鮮半島の人々にとって、
 歓迎すべきものではなかったことを理解しなければなりません。


 輝かしい韓国・朝鮮の歴史を取り戻さなければならない、
 歴史を抹殺された国家は衰退の一途を辿るのみである、
 と考えた朝鮮半島の人々により、
 大日本帝國の敗戦と共に、
 「創氏改名」という施策が葬り去られたことの意味を、
 きちんと理解しないと、
 歴史から何かを学んだということにはならないでしょう。


               (投稿日時:2008/11/08 08:38



 ↑ ↑ ↑

という一文をMLに送信。



田母神氏自身が、


 私たちは輝かしい日本の歴史を取り戻さなければならない。
 歴史を抹殺された国家は衰退の一途を辿るのみである。


と主張しているわけだけど、ご自身が歴史的事実の改変・抹殺を実行しているわけで、まことに困った事態。これじゃ、ホントに、日本も「衰退の一途を辿るのみ」ってことになっちゃうよ。


               (11月8日朝に記す)






Binder: 現代史のトラウマ(日記数:656/全体に公開)
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最新コメント

  • Comment : 1
    Mr.Dark
    Mr.Darkさん
     2008/11/07 23:49
    質に見合わぬ利を得れば、停滞し、淀んで朽ちていく、と思います。
    昨今の話題で言えば…某コムロ氏かな。

    窮すれば貧す

    貧すれば鈍す

  • Comment : 2
    umasica :桜里
     2008/11/08 02:16
    Mr.Dark 様


    あの「論文」は確か6000字と聞いた覚えがある。

    それで300万円ということは…

    一文字当たり500円!
    400字で(つまり原稿用紙一枚)で、なんと20万円!!


    いやぁ、すごい!!!



    伊東乾氏が指摘していることだけれど、
    シビリアンコントロールの下での命令系統を、
    完全に無視しての発言なわけですから、
    本来なら大問題なんですよねぇ。

    軍人勅諭に反して、
    軍人が政治に介入し続けた果ての敗戦という、
    大日本帝國の歴史の教訓が、
    自衛隊制服組トップに全く理解されていないのだから驚き。

    本来なら、懲戒免職モノだと思うのだけれど、
    しっかり退職金もゲット。



    実に金儲けに長けた軍人だなぁ…

  • Comment : 3
    しむら犬
     2008/11/08 08:50
    アレ…。接続したけどエラーでしたよ。

  • Comment : 4
    umasica :桜里
     2008/11/08 09:07
    くさら♪様


    >アレ…。接続したけどエラーでしたよ。


    …ってのは、かのタヌイタ氏の日記のことだと思うけど、
    もしかして、くさら♪さんはケータイからのアクセスでは?

    PCからだと読めるんだけど、
    コメント数が現在123なので、
    ケータイからのアクセスが出来なくなっている可能性はありそう。

  • Comment : 5
    しむら犬
     2008/11/08 12:32
    そうですか。

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