昭和四年文部省檢定濟『家事新教科書』
第五章 嗜好品
第一節 嗜好品の意義・種類
一、意義 嗜好品は、(1)
經を刺戟し、(2)心身の働きを盛にするものである。
二、種類 普通のものは、(1)茶・コーヒー・ココア・酒類等の飲料、(2)山葵・生薑・山椒・胡椒・芥子・蕃椒等の香辛料及び、(3)煙草等である。
第二節 嗜好品の性質
一、茶 緑茶・紅茶・烏龍茶等があり…
…と、昨日購入の、昭和四年文部省檢定濟『家事新教科書』の「嗜好品」の項は始まっている。
文中それぞれのルビは、
…山葵(ワサビ)・生薑(シヤウガ)・山椒(サンセウ)・胡椒(コセウ)・芥子(カラシ)・蕃椒(タウガラシ)等の香辛料(カウシンレウ)及び…
といった具合だ。
毎度のことながら、舊字體の文章を相手にするのには、労力が要求される。「IMEパッド」様のご厄介になりつつ、注意力と根気の勝負となる。老眼人間には辛い。
ので、以下は、漢字の旧字体への変換をなしで済ませてしまうことにする。
で、「嗜好品」についてのお勉強を続けると、
三、酒類 醸造酒・蒸留酒・混成酒の別がある、いづれも主成分はエチルアルコールで、その含量は酒の種類によって左の如く異なる。
(酒名 エチルアルコール の順で)
ビール 4・5 葡萄酒 8・5 清酒 17・5 ウイスキー 39・6 焼酎 39・5 ブランデー 48・6
酒類は、(1)適量を飲めば、精神を興奮させ、血行を盛にし、消化を進める効はあるが、常用者は次第にその分量を増し易く、(2)過量を飲めば、胃腸と脳を害する、且その害は独り現在の我が身のみにとどまらず、子孫にも及ぼすことがある、而してこれ等の害は、エチルアルコール量の多い酒ほど甚だしい、故に飲酒の習慣をつけぬがよい、我が国では、未成年者には法律を以て飲用を禁じてゐる。
四、山葵・生薑・山椒等 (1)少量を用ひれば、消化器を刺激し、食欲を進めるが、(2)多量を用ひれば、逆上をまねき、胃を害する。
五、煙草 刻煙草・紙巻煙草、葉巻煙草がある、いづれも、主成分はニコチンである、喫煙の際その大部分は分解するが、微量は煙と共に体内に入る。常用者は、(1)適度に用ひれば、神経を興奮し、心身の疲れをいやす効あるも、(2)過度に用ひれば、咽喉及び胃を害し、脳に作用して、記憶力・推理力を減ずる、故に喫煙の習慣をつけぬがよい、我が国では未成年者には法律を以て喫煙を禁じてゐる。
六、清涼飲料水 ラムネ・サイダー・平野水等は、炭酸ガスを含める清涼飲料で、蜜柑水・薄荷水・葡萄水等は炭酸ガスを含まぬ清涼飲料である。これ等は、(1)適量を飲めば、渇をいやし、清涼の感をあたへ、食欲を進める効はあるが、(2)妄に用ひれば胃腸を害する。
清涼飲料は、濁れるものは古くして有害であるから、用ひるときに壜のままこれを振って日光にすかし、透明なるものを選ぶがよい。
戦前の新聞記事もそうだが、句読点の用い方が、現在と異なっている。
現代の学校で、このようなスタイルで文章を書いたら、少なくとも句読点については、先生から直されてしまうだろう。しかし、これが、昭和4年の教科書の文章だったのである。
まぁ、「適量・少量・適度」に用ひれば効があるが、「過量・多量・過度・妄」に用ひれば胃に悪い、というのが嗜好品の共通点、ということは理解出来るだろう。
脳にも悪影響のある嗜好品もあるわけだが、心当たりのある方は注意されたい。
ホントは、第11章の「竃・燃料」の項目を取り上げて、80年前の主婦の調理の苦労について考えるはずだったのだが…
しかし、「平野水」とはどんな飲み物なのだろうか?
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なんだろ〜。ミネラルウォーター?? 当時に??
