夢さんのマイページ

夢放浪記より、ルンペン編2

2007/11/21 18:55

 前回は姐御についてルンペン与える食料を買い集めて

配り姐御がルンペン達の事をそこまで深く考えて

行動している事を知り、感動していた所まてでした。

 

それも自分の金で買い与えている。私は感動してしまった。
姐御は私があとをつけていた事を知っていました。
そして自分の正体を話してくれました。

 実は先物の相場師でかなりの財産家らしい。
弁当を買い集めるのは、庶民の食事情を知る為だそうだ、
どんな惣菜がいつも売れ残るか、季節によって変わる、
など十年以上も統計を調べている。何年後とか先々
の相場が分かるそうです。

 ズーさんは、姐御に習って、相場師になるのが将来の夢だそうだ。
そのころ私の事で揉め事が起こりました。
その原因は私が食べ物を調達したことがない。

 それが原因で私を庇ったズーさんが取っ組み合いの
大喧嘩の末大怪我をしてしまったのです。
私にも「スカシ」をやらせろという事でした。

 (スカシとはマーケットの主人が売れ残って賞味期限の
切れた食品を、惜しみつつ朝早く捨てに来る。捨てた品物を
素早く頂くのである。

 惜しみつつゴミ箱に入れる。主人は後ろを振り向かずに10歩
歩いて静かに振り返る。そのゴミ箱に入れて10歩歩く間に
ゴミ箱から拾い出し、マーケットの主人が振り返るまでに
姿を隠さなければならない。

 正式には (見返りスカシ) と、言うそうだ。
後で聞いた話では、マーケットの主人は、ルンペン仲間が素早く
獲物を掠めることは承知で10歩先まで我慢して振り返らないらしい。
 
 だから姐御は日頃世話になっているマーケットや
スーパをひと巡りして、期限切れぎりぎりの食品を買い集めるのだ
とズーさんに教えられました。

 いよいよ私が試されるときが来ました。
本物のルンペンなら (格好とか、恥ずかしい) なんて言っていられないはずだ。
本物のルンペンなら
  (一度や二度は、ひもじさに死んでしまう。)

 ほどの恐怖を経験している。だから一食の食事を手に入れる
ことに命をかけるほど真剣なのであります。

 その点、私の立場は、彼らに言わせれば(ふざけ半分で
生きているのか、馬鹿やろー。)
と、罵られたとしても是非もない立場であったのです。

 私は姐御に呼ばれました。
  「夢お前もやらない訳には行かなくなったなー、ま、人生ー経験だ
お前風に、楽しむ積りでやってみるか、
いい勉強になるぞー人として大きく成長出切るぞー。」

 姐御の口ぶりですと、私の立場を楽しんでいるように感じました。
早速あくる朝四時おきしてスカシの現場へやってきました。
マーケットの主人が売れ残って賞味期限の切れた弁当やぱんを
段ボール箱に入れて、しぶしぶ歩いてくる様子を覗っていました。

要領は主人が段ボール箱に入れて四ぽ歩いたら素早く
足音を立てないように走り、ゴミ箱から拾い上げ、十歩までに
姿を隠さなければならない。私はスーパーで顔見知りの主人が
惜しみつつしぶしぶとゴミ箱に入れる姿を見ていると、
たまらなくなり、足が動きませんでした。

 しかし食べ物を確保しなければ
七八人分の食事が足りなくなる。私は思い切って飛び出しました。

 素早くダンボールを抜き出すと抜け道の角を曲がりました。スカシは
成功でした。その後で心の片隅にむなしい寂しさがこびりついて、
独りでに涙かはらはらと、とめどなく流れました。

何時きていたのか、姐御が声をかけました。<BR>
  「夢、悲しいか、情けないか、侘しいか、スカシをやってでも生きる、
ルンペンの切なさが分かったか、泣きたかったら路地のたれも居ない所で声を殺して泣くんだな、それが人間らしい本音だよ、恥ずかしい事ではないんだよ。
もう二三日人生勉強するんだな。」<BR> 
 私はその日一日複雑な気持ちで仕事をしました。
あくる朝も早起きしてスカシの路地へやってきました。 

マーケットの主人が昨日と同じようにしぶしぶと歩いてきました。
 私は申し訳ない気持ちを抑え (こんな気持ちがあるのだから、
いっその事、捨てる前に断って貰っても良いのではないだろうか。) 

 明日は思い切って話してみよう。 

明日を期して、一日仕事をしました。
帰り際ズーさんに話しました。ダンボール小屋で横になっていたズーさんは
  「さーどうだろう。」
と、不安そうに首をひねったまま
  「俺にはわかんねーよ。」
と、答えました。そして反対側へ寝返り口を閉じました。 

 私はあくる朝も同じくスカシの路地へいきました。 
今日もしぶしぶとマーケットの主人がやってきます。
私はマーケットの主人がゴミ箱のふたを開ける前に、
早足で出て行きました。そして言いました。BR>
  「いつもご馳走になっています。それ頂いて宜しいでしょうか。」
 と、 言った瞬間マーケットの主人は顔に青筋を立てて怒りました。
  「ばか者なんで顔出すんだ。お前らー顔見せねーのが
無言のおきてだろー。顔出すんなら買ってくれよ。えー」 

 驚いてマーケットの主人の顔を見ると、悲しそうに目を
潤ませています。私は何も言えませんでした。 

 マーケットの主人は捨てようとしたダンボールを持ち帰ろうとします。
私は慌てて言いました。
  「売ってください全部」 

 主人はきょとんと立ち止まりました。
お金を払い私は弁当を持ってズーさんのところへ行きました。
朝食を食べながら、ズーさんに話しますと、
ズーさんはおもむろに話し始めました。
  「ずつはなー俺も前に同じ事やったことあんだよ。
姐御にこっぴどく怒られたなー。 

 (店の主人は売れ残りだから食べさせてやりてー気持ちはある。
が惜しい。ルンペンが食べ物をスカシた後。
人として悲しいやるせない心を押し殺して食べている。)
そう思うと主人の心は、捨てるのは惜しいが救われる。 

惜しい気持ちで捨てた食べ物を、ルンペンが申し訳なく拾う。
だから我慢できる。だから捨てる前に頂いてはならねーんだよ。
無言制約ってところかな。」 

ズーさんの話を聞いて私はまだまだ人間が未熟だなーと
感じました。 

 その夕方姐御に呼ばれました。
  「夢、ずいぶん人間修行が出来たようだなー、
明日からやらなくてもいいよ。お前旅か好きだって言ってたなー
どうだ七日ほど旅に出ないか。 

 実はなー、ズーこうの子供が長い間、胸患っているらしいんだ。
それでな、ズーこうに頼まれたことにして福島市内の専門病院に
入院させてくれないか、費用は私が持つよ。」 

そんな訳で福島へいくことになりました。
   続きはルンペン3へ。


Binder: 夢のバインダー(日記数:31/全体に公開)
 読み込み中...
最新コメント

  • Comment : 1
    テルテルボウズ
     2007/11/21 22:35
    またまた変わった経験ですね。
    第3弾楽しみにしています。

  • Comment : 2
    夢
    さん
     2007/11/24 07:20
     テルチャン度々のご訪問有難う御座います、
    ルンペン3 今日中に更新します。
    暇の時にでもお楽しみ下さい。

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