モノづくり幻想が日本経済をダメにする - 野口悠紀雄 [5 DOG EARS]
一冊の本としての完成度は残念ながら高くないという印象。
タイトルである「モノづくり幻想」に関する記述が少なく、また、
個々の主張もそれこそ ダイヤモンド誌やニューズウィーク誌で
よく論じられている内容と大差なく感じた。
一方で、世界経済の動向や今後の日本経済の向かうべき方向等について
日ごろ 深く考える機会が少ない私のような人間にとっては、
大局を整理し把握するうえで役立つのではないかと思う。
以下はメモ。自分の無知を晒すようですが、、
□日本は金利を上げようにも上げられない状況に追い込まれている。
円安政策は昔から日本国内の輸出業者の要請で行われているもの。
かつては日本の円安が続くと海外から圧力がかかった。= 85年のプラザ合意前の状況
しかし今は 先進国の産業構造が変わり、製造業の比率が下がったため、
そうした圧力は海外から働かない。
このような世界で日本に期待されている役割は資金供給国としての役割。
日本から資金調達して運用している投資家は、日本の金利は低い方が望ましい。
このため20年前とは逆に円高に動くことに対して海外から抵抗が働く。
日本の金融政策は抜け出そうにも抜け出せない「あり地獄」状態。
□英語圏に圧倒的に有利な情報の電子化
ネットによって多くの情報が得られるのは事実だが、
検索対象は英語の文献が中心であることに注意すべき。
英語と日本語の差が今後は現在以上に広がることになる。
日本はいまや文化的には小国になったことをはっきりと認識すべきだ。
そして、英語の能力が国力を決める時代が始まっている。
□最大かつ最強の抵抗勢力になろうとしつつある日本経団連
日本経団連は日本企業の子会社化によって技術が外国へ流出することや
株主保護の必要性を理由に、日本で非上場の外国企業との三角合併を、
株主総会で通常の合併より厳しい特殊決議に対象とするよう求めた。
実はここ10年程度の日本にとって最重要課題は、
産業構造を従来の「モノづくり中心の構造」からシフトさせ、
「中国ではできない高度な経済活動を行えるような構造」にすることだ。
□MM命題(モジリアニ=ミラーの命題)
財務戦略(資金調達手段の変更)じゃ企業価値に影響を与えない。
※ピザを5分割しても7分割しても総量は変わらない。
これはファイナンス理論の最も基本的な命題である。
ところが日本に金融機関の実務家はいまだこの命題を知らない。
この典型例がライブドアの株式分割。
本来ならいかに株式分割を使用とも企業価値は影響を受けないはずが、
株券発行までに時間がかかるため、株式分割すると一時的な品薄が生じ株価が上昇した。
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