thumb
thumb
投手(とうしゅ)とは、
野球や
ソフトボールにおいて
打者にボールを投げる役割の選手である。英語から
ピッチャー(pitcher) とも呼ぶ。
公認野球規則2.59により投手は定義されている。
野球における
守備番号は1。また、英略字は
P(
Pitcherから)。
クリケットの投手は
ボウラー (bowler) と呼ぶ。
投球の速度(球速)を表示する単位として一般に
日本では
キロメートル毎時 (km/h)、
アメリカでは
マイル毎時 (mph) が使われる。
投手の役割
投手の最大の役割は、相手チームより失点を低く抑えることで自チームを勝利に導くことである。決勝点を先取した投手は
勝利投手、相手チームの決勝点を許した投手は
敗戦投手になる。勝利投手と敗戦投手は、その試合の勝敗の責任を負う。また、最終アウトを取ることで自チームのリードを守り抜き勝利を確定させた
救援投手には
セーブが記録される。
投手の役割は、単にボールを投げるだけではなく「打者に
安打を打たせないこと、
走者を生還させないこと」であるとも言える。投手は打者から
三振を奪ったり
ゴロや
フライを打たせるなどして
アウトを取る。そのために
捕手とサインを通じて連携して個々の打者が苦手とするコースにボールを投げたり、苦手とする
球種を投げるなどする。さらに、塁上の走者に
盗塁されない、または、進塁されにくくするために、その塁をカバーする選手に
牽制球を投げることもある。
投手は、試合において登場する時期により大きく3つに分かれる。試合開始から
マウンドに立つ
先発投手(
スターター)、試合展開によって途中イニングから先発投手に代わり登板する
中継ぎ投手(
セットアッパー)、試合を決める終盤イニングに登板する
抑え投手(
ストッパー、
クローザー)の3種類である。先発投手に対し、試合途中から登板する投手を
救援投手(
リリーフ)とも総称する。筆頭格の先発投手を俗に「エース」、同じく筆頭格の救援投手を俗に「
守護神」と呼ぶ。また
ブルペンでは良い投球をするが、実戦では力が発揮できずに
失点を重ねる投手を揶揄し「
ブルペンエース」と呼ぶ。
投手は、全ポジションの中で試合の勝敗に及ぼす影響が最も大きく、また、肉体的・精神的負担が最も厳しいポジションである。スタミナの消耗は激しく、あまりに数多くの球を投げると肩・肘を故障(負傷)する危険性がある。
ボークの適用や全選手中唯一の白いグラブの着用禁止など、もっとも多くの規則に縛られるポジションであり、
暴投といった投手のみに課せられうるミス、チームの守りの要としての責任なども挙げられる。しかし、その反面、打者と一対一で対戦できる事や、打ち取ることの楽しさ、
最多勝利など、投手のみが得られるタイトルや表彰もある。日本では、投手は、野球の主役であり、もっとも華のあるポジションであるとされる。自分が中心だというわがままな性格もピッチャーには必要だと言われる(一方、北中米においては
遊撃手が花形のポジションとされ、運動能力に優れた選手は優先的に遊撃手となり、日本における「エースで四番」が「ショートで四番(あるいは三番)」に置き換わる)。
プロ野球では守備の中心を担う替わりに、打撃に関しては多くは求められず、実際に投手専門の選手にバッティングが得意な者は少ない。そのため投手は作戦上
安打を打てないのを前提として、走者がいる時に
バントすることが多い。また「2死」や「大差でリード」、「凡退でチャンスが潰れる」場面で打席が回った際にわざと
本塁から最も離れて立って三振し、「投球に負担を掛けない」「自軍の攻撃を上位
打線から始めさせる」、「次打者以降に安打を期待」という「先を見越した作戦」を取る事もよくある(ただしこれには「わざと三振するのは
スポーツマンシップ上問題」とする意見もある)。
リーグによっては打撃を務める
指名打者という打撃専門の選手を置くルールを採用することもあり、そのルールの下では投手が打撃を行わない場合がほとんどである。少年野球などでは、運動能力に優れている選手が、投手と打者の両方の実力で他の選手を上回ることがある。
高校野球でも、投手が上位打線に組み込まれていることが多い。これに関連して、投手としてプロ入りした選手が故障もしくは技術的な問題から、打者に転向する事も多い(
広島東洋カープの
嶋重宣、
石井琢朗など)。しかし対照的に、野手がプロ入り後に投手に転向した例はほぼ皆無である。その理由としては、投手の場合、投球技術の習得にとても時間を要するからである。
野手の場合は右投左打も比較的多いが、投手の場合は利き腕と同じ側の打席に入るのが通常である。理由は右投左打(左投右打)の場合、打席に立った時に利き腕(肩)である右側を相手投手に向けることになってしまい、死球を受けるなどして負傷すると投手としての投球ができなくなるからである。そこで利き腕と打席が一致しない投手は肘当てや脛当てを身に付け、打撃の際に負傷する危険を避けている例が多い。
日本の野球の歴史における役割の変化
プロ野球草創期では、野球の人体に与える影響が全くの模索段階にあったことと、不人気による人員不足のため、戦前から戦後の混乱期までしばしば無謀な先発連投が強要された。さらに戦時中は、国威発揚の為の非科学的な精神論の横行も先発投手酷使の大きな原因となった。
セントラル・リーグと
パシフィック・リーグの2リーグ制に移行後、人員不足はある程度解消され、先発投手の登板間隔を2日、3日と長めにとるようになり、間隔日数を表す「中○日」(中2日、中3日など)という言葉が使われるようになった。それでもエースピッチャーが先発・リリーフに連投する姿が見られ、
1958年日本シリーズでは
稲尾和久(
西鉄)が先発とリリーフで4連投4連勝する大活躍で「神様仏様稲尾様」と称えられた。
1961年中日ドラゴンズに入団し、酷使により数年で投手生命を絶った
権藤博の教訓から、「投手分業制」が
近藤貞雄によって提唱され、「先発完投」から「先発-抑え」の投手起用へ移行。抑え投手を確立することで先発投手、特にエースの疲労軽減を図った。近年は先発と抑えを繋ぐ中継ぎの役割が注目されており、「先発-中継ぎ-抑え」という継投策が一般化している。先発投手の登板間隔は
日本プロ野球では試合日程の都合から中4〜6日が主流。5〜6人の先発投手でローテーションを組み、順番に先発登板する起用法が行われている。
プロで先発投手の合理的な起用法が研磨されている一方で、高校野球では抜きん出た投手が先発連投することが珍しくなく、投手の選手寿命を縮めているという批判が根強い。しかし、最近では高校野球でもプロに習い、多投手で試合を乗り切るチームも出てきている。これは、。
メジャーリーグベースボールでは、先発投手が1登板で120球以上を投げた場合には、その後の登板成績に影響が出て怪我のリスクが高まるという統計結果が出ているため
、100球を超えた回で交代させるケースが多いが
、
ダスティ・ベイカーの様に投球数をあまり気にしない監督も存在する。また、若年期での
トミー・ジョン手術等も問題視されているため、
リトルリーグでは年代ごとに投球数・登板間隔制限が設けられている
。
…
続きを読む