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アーサー王物語

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アーサー王物語について

フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より

thumb アーサー王物語(またはアーサー王伝説)とは中世の騎士道物語の一つ。 ヨーロッパの伝説の中でも最大級の伝説ともいわれ、今日ではヨーロッパだけでなく世界各地で知られている伝説である。アーサー王自身の説話を中心として、円卓の騎士聖杯伝説・宮廷愛など数々の派生した話に彩られている。

概要

アーサー王伝説は、1136年頃ウェールズ人ジェフリー・オブ・モンマス(Geoffrey of Monmouth)が書いた『ブリテン列王伝』Historia Regum Britanniae でまとまった形となったが、ここではまだ円卓の騎士や聖杯は登場しない。その後、クレティアン・ド・トロワなどフランスなどの吟遊詩人によって歌われ、さまざまな異本が作られる中でエピソードが付加されていった。特にクレティアン・ド・トロワは聖杯ランスロットなどの登場人物、グィネヴィアとランスロットの禁断の恋などの要素をアーサー王伝説に導入した。ウェールズ出身の騎士トマス・マロリーの書いた『アーサー王の死』(1470年)が伝説の集大成的な内容になっており、印刷・出版されて広く読まれた。 現在、一般によく読まれているのはトマス・ブルフィンチ(Thomas Bulfinch,1796-1867年)が整理してまとめたものである。イギリスのテレンス・ハンベリー・ホワイトローズマリ・サトクリフ、アメリカのマリオン・ジマー・ブラッドリーが、オリジナルを加えて書き下ろしたものも評価が高い。日本では夏目漱石がテニスンの『シャロットの女』と『ランスロットとエレイン』を基にした短編『薤露行』を書いている。その他、ファンタジー文学の分野でしばしば着想の元として使われている。 1136年にはウェールズ人ジェフリー・オヴ・モンマスの書いた『ブリテン列王記』が初めてアーサーの全生涯を詳しく述べているが、これはすでに著者の空想が多くの部分を占めている。 アーサー王物語はその配下の12人の円卓の騎士たちの物語とともに語り継がれ、多くのバリエーションを持つが、次第に理想のキリスト教君主として描かれるようになっていく。ロマン主義の時代にも作品のモチーフとして非常に好まれ、現代でもしばしば映画の題材となっている。物語の細部化に伴い、円卓の騎士の数も次第に増加していった。またアーサー王伝説は、聖杯伝説などとも結びついていく。 それらの伝説の中でアーサーは、「これを引き抜いた者は王となるだろう」と書かれた台座(もしくは大理石・石、と記述されているものもある)に刺さっていた剣を引き抜き、魔法使いマーリンの助けで名君に成長していく。そして王都キャメロットを拠点に巨人退治やローマ遠征など様々な冒険を重ねるが、最期は不義の子モルドレッド(モードレッド)との戦いで深手を負い、湖の水面から現れた手に聖剣エクスカリバーを返して小船で去る。アヴァロンの島へ傷を癒しに行ったのだといわれる。 古い時代のアーサー王伝説はアーサーを主人公とした上述した物語であったが、クレティアン・ド・トロワらによって騎士道物語聖杯伝説が添加されていくなかアーサーは背景へと退き、むしろ彼の家来である円卓の騎士(特に湖の騎士ランスロット)が主役の物語へと変化していく。 主として中世独仏で製作された各種ロマンスを、15世紀イギリスの騎士トマス・マロリーが『アーサー王の死』という散文ロマンス大作にまとめ上げた。この作品はイギリス最初の出版業者ウィリアム・キャクストンの手になる印刷本と、1934年に発見された中世写本(ウィンチェスター写本)により伝えられ、現代におけるアーサー王伝説理解に大きな影響を与えている。

あらすじ

物語は大きく四つの部分に分ける事ができる。
  • アーサーがコーンウォールの王になるまでの物語。
  • 円卓の騎士ランスロットがアーサーの妻グィネヴィアの危機を救う牧歌的な騎士道物語。(ランスロットとグィネヴィアは恋愛関係にある)。
  • 聖杯探索。「最後の晩餐」で使われた聖杯を円卓の騎士達が探す物語。
  • ランスロットとグィネヴィアの関係発覚に端を発する円卓の騎士同士の内戦「最後の戦い」。

主要登場人物

アーサー・ペンドラゴン ブリテンの王。 マーリン 魔術師。 グィネヴィア(グウィネヴィア、ギネビアとも) アーサー王妃。ランスロットとの禁断の恋で有名。 ニミュエ 湖の貴婦人。マーリンの愛人にして弟子。 モルゴース アーサー王の異父姉。アーサー王との間にモルドレッドをもうける。 モーガン・ル・フェイ 妖姫。アーサー王の異父姉。
  • 以下、円卓の騎士(アーサー王に仕えた精鋭の騎士たち。各々魔法の円卓に席を持つ。席の総数は諸説ある。)
ランスロット 湖の騎士。この世で最も誉れ高き最高の騎士。円卓の騎士の一人。 ガウェイン モルゴースの息子でアーサーの甥。円卓の騎士の一人。 ケイ アーサーの育ての親エクトル卿の息子。アーサーの乳兄弟。国務長官を務める。 トリスタン 円卓の騎士の一人。アイルランド王マルクの甥。竜退治やイズーとの恋で有名。 ガラハッド ランスロットと白い手のエレインの息子。唯一聖杯の神秘を体験した最高の騎士。 パーシヴァル ペリノア王の息子。聖杯の騎士の一人。円卓の騎士でもある。 ボールス 聖杯の騎士にして円卓の騎士の一人。 モルドレッド ガウェインの異父弟。モルゴースの息子にしてアーサーの甥(実はアーサーの近親相姦でできた子)。王位の簒奪を企み、アーサーと戦う。アーサーに殺されるが自身もアーサーに致命傷を負わせる。

日本語で読める文献

マロリーの作品の翻訳には以下のものがある。
  • トマス・マロリー著、井村君江訳『アーサー王物語』全5巻、筑摩書房、2004年〜2007年。
  • * アーサー王伝説の一大原典ウィリアム・キャクストン版『アーサー王の死』初の完訳。
  • トマス・マロリー著、中島邦夫、小川睦子、遠藤幸子訳『完訳 アーサー王物語』上下巻 青山社 ISBN 4915865622
  • * 原本により近いウィンチェスター写本『アーサー王の死』初の完訳。
  • トマス・マロリー著、厨川文夫圭子編訳『中世文学集1 アーサー王の死』、ちくま文庫
  • * ウィリアム・キャクストン版『アーサー王の死』の抄訳。トリスタン挿話や聖杯伝説は割愛。
以下は、マロリーなどをもとに後世の作家が再話(リライト)したもの。
  • トマス・ブルフィンチ著、野上弥生子訳『中世騎士物語』岩波文庫 1942年 ISBN 4-00-322252-0、ワイド版 ISBN 4-00-007058-4
  • トマス・ブルフィンチ著、大久保博訳『新訳アーサー王物語』角川文庫 1993年 ISBN 4-04-224303-7
  • * 上記2編はいずれも "The Age of Chivalry; or, Legends of King Arthur and the Knights of the Round Table" の訳。野上弥生子訳版は日本では最も古い部類に入るアーサー王物語集。
  • シドニー・ラニア編、石井正之助訳『アーサー王と円卓の騎士』 (福音館古典童話シリーズ (8)) 福音館書店 1972年
  • ローズマリ・サトクリフ著、山下史郎訳『アーサー王と円卓の騎士』サトクリフ・オリジナル1 原書房 2001年 ISBN 4562033916
  • ローズマリ・サトクリフ著、山下史郎訳『アーサー王と聖杯の物語』サトクリフ・オリジナル2 原書房 2001年 ISBN 4562033967
  • ローズマリ・サトクリフ著、山下史郎訳『アーサー王最後の戦い』サトクリフ・オリジナル3 原書房 2001年 ISBN 4562034084
  • 井村君江著『アーサー王ロマンス』ちくま文庫 1992年
  • アンドレア・ホプキンズ 山本史郎訳『図説 アーサー王物語』 原書房 1995年

研究書・解説書

欧米では数え切れない量の研究書が出版されているが、ここでは日本語で読めるものを挙げるにとどめる。
  • リチャード・バーバー著、高宮利行訳『アーサー王 その歴史と伝説』東京書籍 1983年
  • 高宮利行著『アーサー王伝説万華鏡』中央公論社 1995年
  • ローナン・コグラン著、山本史郎訳『図説 アーサー王伝説事典』原書房 1996年

関連作品

アーサー王物語を題材にした主な文学作品。日本語で読めるもののみあげる。 アーサー王に関する書籍の一覧も参照。

関連映像作品

関連項目

外部リンク

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