キセノンについて
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より
|
| 一般特性 |
| 名称, 記号, 番号 | キセノン, Xe, 54 |
| 分類 | 希ガス |
| 族, 周期, ブロック | 18 (0), 5 , p |
| 密度, 硬度 | 5.9 kg?m−3, no data |
| style="text-align: center" | 無色 Wikipedia画像へのリンク(キセノン) |
| 原子特性 |
| 原子量 | 131.293 u |
| 原子半径 (計測値) | no data (108) pm |
| 共有結合半径 | 130 pm |
| VDW半径 | 216 pm |
| 電子配置 | Kr' target='_blank'>/search/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%83%97%E3%83%88%E3%83%B3'>Kr4d10 5s2 5p6 |
| 電子殻 | 2, 8, 18, 18, 8 |
| 酸化数(酸化物) | 0(no data) |
| 結晶構造 | 面心立方構造 |
| 物理特性 |
| 相 | 気体 (反磁性) |
| 融点 | 161.4 K (-111.7 ℃, -169.1 °F) |
| 沸点 | 165.1 K (-108.12 ℃, -162 °F) |
| モル体積 | 35.92 × 10−3 m3?mol−1 |
| 気化熱 | 12.636 kJ?mol−1 |
| 融解熱 | 2.297 kJ?mol−1 |
| 蒸気圧 | no data |
| 音の伝わる速さ | 1090 m/s |
| その他 |
| クラーク数 | 3 ×10-9% |
| 電気陰性度 | 2.6 (ポーリング) |
| 比熱容量 | 158 J?kg−1?K−1 |
| 導電率 | no data |
| 熱伝導率 | 0.00569 W?m−1?K−1 |
| イオン化エネルギー | 第1: 1170.4 kJ?mol−1 |
| 第2: 2046.4 kJ?mol−1 |
| 第3: 3099.4 kJ?mol−1 |
| (比較的)安定同位体 |
|
| 同位体 | NA | 半減期 | DM | DE/MeV | DP |
| 124Xe | 0.1% | 1.1×1017 年 | ε | | 124Te |
| 125Xe | {syn.} | 16.9 時間 | ε | 1.652 | 125I |
| | 0.09% | 中性子72個で安定 |
| 127Xe | {syn.} | 36.4 日 | ε | 0.662 | 127I |
| | 1.91% | 中性子74個で安定 |
| | 26.4% | 中性子75個で安定 |
| | 4.1% | 中性子76個で安定 |
| | 21.29% | 中性子77個で安定 |
| | 26.9% | 中性子78個で安定 |
| 133Xe | {syn.} | 5.243 日 | β- | 0.427 | 133Cs |
| | 10.4% | 中性子80個で安定 |
| 135Xe | {syn.} | 9.1 時間 | β- | 1.16 | 135Cs |
| 136Xe | 8.9% | 2.36×1021 年 | β | | 136Ba |
| 注記がない限り国際単位系使用及び標準状態下。 |
キセノン(Xenon)は
原子番号 54 の
元素。
元素記号は
Xe。
希ガス元素のひとつ。
ラムゼー(W.Ramsay)と
トラバース(M.W.Travers)によって
1898年に発見された。ギリシャ語で「奇妙な」「なじみにくいもの」を意味する xenos が
語源。
※英語圏ではゼノン(?z?n?n, ?zi?n?n)と発音されることが多い。
常温常圧では無色無臭の
気体。
融点 -111.9
℃、
沸点 -108.1 ℃。空気中にもごく僅かに含まれる。
固体では安定な
面心立方構造をとる。
一般に希ガスは最外殻電子が閉殻構造をとるため、反応性はほとんど見られない。しかし、キセノンの最外殻(5s25p6)は
原子核からの距離がはなれているため、他の
電子による遮蔽効果によって束縛が弱まっており、比較的
イオン化しやすい(イオン化エネルギーが他の希ガス元素に比べて相対的に低い)。このため、反応性の強い
フッ素や
酸素と反応して、
フッ化物や
酸化物を形成する。
用途
キセノンランプや
イオン推進エンジンの推進剤に使用される。
断熱性能が空気よりも高く、二層ガラス等の断熱材としても有効である。
麻酔作用を有するため、一部病院では試験的に導入されている。ただし純粋なキセノン自体が高価なこともあり、一般にはまだ普及していない
[http://www.med.teikyo-u.ac.jp/~anestuih/Xenon/Xe-Anesthesia.html]。
キセノン135は
中性子を吸収する能力(中性子吸収能)があり、
原子力発電の分野では「毒物質」として働く。核分裂生成物として発生したキセノン135による
キセノンオーバーライドは
原子炉の制御に大きな影響を与える。地下核実験では時間が経つにつれて大気中にキセノン133が放出されるので実験の成功・失敗の判断の一部にキセノン133の大気中への放出を調べることがある。
化合物
化学結合を備えた最初の
希ガス化合物として、
1962年5月、
カナダの
ブリティッシュコロンビア大学のネイル・バートレットとD.H.ローマンによって
ヘキサフルオロ白金酸キセノン (XePtF6) が合成された
[N. Bartlett, Proc. Chem. Soc. 1962, 218.]。酸素分子O2を酸化するヘキサフルオロ白金酸の反応から類推し、O2 (12.2
eV) とほぼ同じイオン化エネルギーを持つキセノン (12.13eV) を酸化できるのではと考えたことが成功の鍵であった。8月にはXeF4が、同年末はXeF2とXeF6も合成された。
ハロゲン化物
キセノンはフッ素単体の混合比を調節して
ニッケル管中で加熱し、急冷すると四フッ化物
XeF4あるいは二フッ化物
XeF2を生成し、加圧条件化で同様に加熱すると六フッ化物
XeF6を与える。
いずれのフッ化物も水に容易に加水分解される。またXeF6、XeF4は強力なフッ素化試剤である。また、XeF2は温和なフッ素化試剤として利用される。
酸化物
六フッ化キセノンXeF6または四フッ化キセノンXeF4は
水と反応し、
三酸化キセノンXeO3を与える。
\rm 6XeF_6 + 12H_2O \longrightarrow 2XeO_3 + 4Xe + 24HF
XeO3は三角錐型の構造を持ち、爆発性の化合物である。XeO3はアルカリ条件下、XeVIIとXe0に不均化する。
\rm 2XeO_3 + 4OH^- \longrightarrow XeO^{4-}_6 + Xe + O_2 + 2H_2O
また、77Kで等モルのXe6ニッケル管内で反応させるとオキソフッ化物XeOF4を生成する。他の例として、XeO3とXeOF4から
XeO2F2が、XeF6とNaXeO6から
XeO3F2が生成する。低温で水と混合し、
紫外線を照射するとキセノン2原子を含む分子 HXeOXeH が生成する
[Leonid Khriachtchev et al., "A Small Neutral Molecule with Two Noble-Gas Atoms: HXeOXeH", J. Am. Chem. Soc., 130 (19), 6114?6118, 2008. ]。
有機キセノン化合物
C6F5BF2とXeF4を
ジクロロメタン中混合することにより、[C6F5XeF2]+[BF4]-が合成されている。
[H.-J.Frohn et al., Angew.Chem.Int.Ed., 39, 391 (2000)]
参考文献
stq:Xenon
キセノンについて