バラードについて
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より
バラード(
仏語:ballade、
英語:ballade)は、
# 古いヨーロッパの詩形の一つ
#
バラッド(英:ballad)に由来する歌曲
# 1.2.に由来する
器楽曲の形式
#
ポピュラー音楽の曲調による区分の一つ(
:en:ballad)
また、「バラード」「○○のバラード」という題名の歌謡曲も存在する。
詩形としてのバラード
とりわけ
中世(
14〜
15世紀)
フランスにゆかりのある詩形の一つ。たいていは3
連ないしは5連からなり、各連最終行には
脚韻が、また短めの最終連(
アンヴォワ)においてはたいてい貴公子への呼びかけが含まれている。
バラッドと混同してはならない。バラードの最も著名な
詩人は、
ジョフリー・チョーサーと
フランソワ・ヴィヨンである。
19世紀に
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティや
アルジャーノン・チャールズ・スウィンバーンらによって復活された。
器楽曲としてのバラード
19世紀には、
フレデリック・ショパンによって、はじめて器楽曲の名称(またはジャンル名)に転用された。ショパンの作品は、古い歴史物語を詠んだ詩に基づいていることを暗示しており、この意味において、バラードよりバラッドや
歌曲のバラードとの結びつきが強い。その他の主要なバラードとその作曲家に、
フランツ・リストの2つのピアノ曲、
ヨハネス・ブラームスのいくつかのピアノ曲(作品10、作品118−3)、
エドヴァルド・グリーグのピアノ曲(《ノルウェー民謡による変奏曲形式のバラード》作品24、《バラード風に》作品65-3)がある。
ピョートル・チャイコフスキーの遺作の一つである交響的バラード《
地方長官》作品78は、近年になって充実した筆致や創意の豊かさが見直されつつある。
ガブリエル・フォーレは、特定の文学作品を念頭におかずに《バラード 嬰ヘ長調》作品19をピアノ独奏用に作曲したが、あまりに難しすぎると言われたために、ピアノと管弦楽のための協奏的作品としての版も作った。後者は
シャルル・ケクランや
ジェルメーヌ・タイユフェールの同名・同種の作品の手本となっている。
モーリス・ラヴェルの《
夜のガスパール》は、バラード的な内容と、
ピアノ・ソナタ風の構成を結びつけた
組曲として注目に値する。
バラードは、
エルネスト・ショーソンや
アレクサンドル・スクリャービン、
カロル・シマノフスキらの
詩曲との関連も注目されてよい。
ピアノの初心者の間で
ヨハン・ブルグミュラーによる《バラード ハ短調》が親しまれている。
日本では、かつては
譚詩曲という訳語が使われたが、現在は一般的ではない。
主な作品
ピアノ曲
声楽曲のバラード
クラシック音楽においては、元来は声楽曲に用いられた形式の1つで、古くは
12世紀北フランスの
トルヴェールの歌う世俗抒情歌の形式の1つとして現れた。その後
14世紀、
アルス・ノーヴァの時代になると
ギョーム・ド・マショーらがその形式を受け継いだ多声歌曲を書いている。イタリアでもこれにやや遅れて「バッラータ」(Ballata:バラードを指すイタリア語)と呼ばれる多声歌曲が生まれている。
18世紀後半になると、
ゲーテらの詩人が、フォーク・
バラッドを模して創り出した文学的バラッドに曲づけされた、物語性を持ったドイツ・
リートが
カール・ツェルターや
ヨハン・ツムシュテークによって書かれた。ドイツ語ではバラードもバラッドも同じく"Ballade"(バッラーデ)であるため、日本ではこのような歌曲も「バラード」と呼ばれる。これらは
19世紀、
ロマン派音楽の時代に入って発展し、
フランツ・シューベルトや
カール・レーヴェによる《
魔王》、
ロベルト・シューマンによる
ローレライ伝説に基づいた《森の語らい》(
リーダークライスop.39の第3曲)などの名作を生んだ。
また19世紀ドイツの
ロマンティック・オペラにおいては、
アリアに相当する部分にこのバラードが用いられることもある。
ゆったりした
テンポ、静かな
編曲、美しい
メロディライン、そしてラブソングを中心とした感傷的な歌詞を特徴とする楽曲が、
ポピュラー音楽におけるバラードと言える。 さらに、典型的なパターンとして、
ピアノなどによる静かな
イントロとエンディングに向けての劇的な盛り上がりも挙げられる。
ポピュラー音楽における「バラード」は、
ジャズ、
HR/HMと言った
音楽のジャンルとは次元の異なる概念であり、同じ
アーティストであっても、曲によりバラードの該当、非該当が分かれる曲調による区分である。そのようにジャンルを問わず該当する作品があるため、
ポピュラー音楽におけるバラード曲は多岐にわたり、また無数に存在する。
なお、1980年代後半以降は、
ドラムスによる
リズムが曲の全編を通して明確に刻まれているようなミディアム・
テンポのポップスも、編曲が比較的静かで、美しいメロディラインや感傷的な
歌詞を特徴とする場合は、バラード曲と呼ばれる傾向が強まっている。(
:en:Ballad (music))
バラードについて