ファーストフード(
英語:fast food) とは、短時間で作れる、あるいは、短時間で食べられる手軽な食品・食事のこと。
日本では「ファーストフード」と発音する国民が圧倒的に多い
[ファーストフード?(NHK「ことばおじさんの気になることば」 2003年10月28日)]が、(
後述)。
Wikipedia画像へのリンク(ファーストフードの例)
定義
Wikipedia画像へのリンク(シンガポールのマクドナルド)
Wikipedia画像へのリンク(シンガポールのモスバーガー)
fast(ファスト=速い)をキーワードとした場合、「農作物・畜産物・魚介類を
収穫した時点から
食べるまでの時間が短い」という考え方も出来、踊り食い・
刺身・サラダなどの「生食」が最も短時間 (fast) である。
作るという部分をもう少し長くとっても、手軽に作れるという面では
缶詰・
レトルト食品・
カップラーメンなどの「加工食品」、
親子丼・
牛丼などの「丼物」、
うどん・
蕎麦・
ラーメンなどの「麺類」等等多岐に渡る。
食べるという行為に費やす時間の長短からみても、食事のスピードには個人差・年齢差が激しく、なかなかfastの定義は出来ない。食品・食事としての手軽さでいえば、
パスタ・
菓子パン・
中華まん・
おにぎりなど、際限なく存在している。「
産業革命以前の庶民の食事は全てファストフード」と言えるほどである。
このように、fast な food は世界各地に存在している。しかし、「ファストフード」と言う場合は、
#「
アメリカ資本の」
#「フードチェーンが作り出した」
#「安価な」
#「手軽に食べられる」
#「高
カロリー食品・食事」
という定義が、ファストフード文化や、世界各地でのファストフード経済周辺を眺めるにはよい。
ファーストフードは、高
カロリー、高
脂肪、
栄養素の偏りがあり、手早く食べられるため過剰摂取の可能性が高い。そのため、「
ジャンクフード」の一種とすることがある。
生活習慣病の
リスクファクターを沢山取り揃えている「死に至らしめるのが早い (=fast) 食べ物」をしてファーストフードと定義する場合もある。
アメリカ合衆国
食文化は、
民族・
地域によって異なるため、それらの枠を越えて広がるには時間がかかり、それどころか、全く伝播しないことさえある。米国は
多民族国家であるため、民族・出身国・
人種・アメリカ国内での地域差などで分かれる食文化の枠を越えなければ、大きなビジネスにはならない宿命があった。
「ファーストフード」の始まりは、アメリカ国内における民族・地域の枠を越えて民族横断的に受け入れられる味付けであったこともさることながら、
エンゲル係数が高かった時代に「安価」であったことが最大の武器となって広まった。
中産階級においては、「安価」であることよりも、「手軽に食べられる」「高
カロリー」なファーストフードは、労働効率を上げる食事として受け入れられていった。
ハンバーガー・
ホットドッグ・
フライドチキン・
サンドイッチ・
ピザなど、種類ごとに「フードチェーン」がつくられて大企業化していった。
第二次世界大戦後、アメリカのファーストフードチェーンは、本格的に海外展開を始めた。しかし、アメリカのノウハウそのままで海外進出した場合、
為替の問題でファーストフードはかなり「高額」な食事になってしまった。特に、
牛肉食の文化があまりない国に出店する際は、材料の入手でさらにコストが上がり、「ファーストフード =
富裕層の食事」という、アメリカ国内では考えられない図式で導入されることとなった。
海外進出初期においては「安価」ではないファーストフードであったが、「アメリカ資本」の「巨大フードチェーン」の進出は、競争力のないそれぞれの国の国内産業を圧迫するとともに、米国の文化侵略の象徴とみなされ、出店規制が行われることが多々見られた。
アメリカ合衆国でも、ハンバーガーやピザなどは
ジャンクフードとみなされて、「発育段階の子供が食べてはいけない物」と教育されたり、日常的に食べることは健康に良くないと言われることもある。
ヨーロッパ
自国産業を保護する政策が強く、巨大資本のアメリカ系企業に規制がかけられている国がある。特に
フランスでは、アメリカ資本のファーストフードチェーンは少ない。しかし、国内企業のファーストフードチェーンや、個人経営に近いファーストフード系の店は見られ、
パニーノ、
グレック、
シシカバブのような、アメリカとは異なった種類のファーストフードも見られる。
アメリカの主導する
グローバリズムの象徴としてファーストフードが取り上げられる場合もあり、
反グローバリズム、
スローフード、
フェアトレードなどの、経済論理と文化論が混ざった「反ファーストフード運動」が見られる。
日本
アメリカ式のファーストフードが1970年代初頭に日本に流入してきた。1970年に
ケンタッキーフライドチキン・
ドムドムハンバーガー、1971年に
マクドナルド・
ミスタードーナツ、1972年に
ロッテリア・
モスバーガーが出店を開始した。なお、米軍統治下の
沖縄県では、
1963年に
北中城村に
A&Wの1号店が開店している。
日本には、アメリカ系ファーストフードチェーンの他、様々なファーストフードチェーンがある。「安い」「早い」というキーワードで言うなら、
立ち食いそば・
うどん・
おにぎりのような古来からの食文化がファーストフードとなったのみならず、
牛丼・
ラーメン・
カレーライスなど、近代になってから日本で展開されるようになった食文化もファーストフードチェーンとして営業している。
また、ファーストフードのライバルとなっている「安価」で「手ごろ」な食産業は、いわゆる
レストランと自炊の間のすべて、と言えるほど、日本の食産業は発展している。
ファミリーレストラン・
定食屋・
回転寿司のような店内で座席に座るものから、
弁当屋・
コンビニ弁当・
菓子パンの他、
デパ地下やスーパーの
惣菜など、軽食産業の広がりは他国の追随を許さないほどである。
なお、これらのアメリカ式のファーストフードが日本に流入する以前を考察すると、
江戸時代以来、
蕎麦や
うどんや
天ぷら、
寿司などの
屋台形式の店舗が存在していた。こうした店舗がある意味においては「世界最古のファーストフード」であるとする考えも成り立つ可能性がある(勿論、「ファーストフード」の定義をどう考えるかにもよって、この考え方に対する議論が存在する事は言うまでもない)。ただし、一般的にはこれらの食事がファーストフードにひとくくりされることは少ない。
日本国内にあるファーストフード店
ハンバーガー・ドーナツ・サンドウィッチ等
牛丼・うどん等
他,
回転寿司店,
立ち食いそば・うどん店
ファーストフード店での勤務
ファーストフードは「安さ」が1つの売りでもあるため、労働力のコストダウンも激しい。店員は、企業にとって
社会保障をつける必要がない非常勤が多く、昼間は
主婦の
パート、夕方以降は高校生や大学生などの
アルバイトが相場となっている。ファーストフードの興隆と時期を同じくして若者の
フリーターが大量に生み出され、欧米にはあまり見られない日本的な労働者の形を作り出した。
企業側の論理のみならず、学生や若者のライフスタイルに合ったこの労働スタイルは、「
可処分所得の比較的大きい学生・若者」を大量に作り出し、海外に発信する日本の若者文化の下支えとなった。また、世界的にも安価な低賃金労働として
マックジョブと呼ばれる(これに対し、当の
マクドナルドは抗議をしている)。
中国
中国でファーストフードは「快餐 クワイツァン 」と呼ばれるが、必ずしも洋風のものを指す訳ではなく、トレーに
中華料理を盛って食べさせる定食屋などにも「快餐」の看板が掲げられている。
中国では、
1980年代に始まった改革開放政策の結果、ケンタッキーフライドチキンやマクドナルドなどの世界的ファーストフード店が大都市から出店を始め、すでにかなりの地方都市にまで普及している。民族資本系洋風ファーストフードチェーンでは中国・台湾合弁のディコスが最大手である。もともと中国にある、
麺類や
餃子、
ちまきなどの
点心も、ファーストフードの性格をもっているが、欧米のチェーン店についで、
台湾資本の
豆乳を売り物にするファーストフード店が人気を集めるようになると、中華料理を基本にしたファーストフードチェーンも種々オープンするようになった。最近では台湾風の
おにぎりチェーンや、日本式の
ラーメン店や
カレーライスの店などにも人気が出ている。
日本国外でのみ展開しているファーストフード店
アメリカ
カナダ
ブラジル
香港
台湾
「ファーストフード」? 「ファストフード」?
"fast food" の
英語での発音は、
短母音の
長母音の[ɑː' target='_blank'>/search/wiki/%E9%95%B7%E6%AF%8D%E9%9F%B3'>長母音の[ɑː(アー)を用いた「ファーストゥ・フードゥ」となる場合とがある。
アメリカ英語の話者の多くは前者を用い、
イギリス英語(
英国・
オーストラリア・
ニュージーランド)の話者とアメリカ英語の一部の話者は後者を用いる。同じ区別がある母音を含む英語由来の
外来語には、"half"(ハーフ。半分) 、"path"(パス。道) 、"bath"(バス。浴室)などがあり、日本語として長短どちらにするかの規則は曖昧である。なお、
ドイツ語・
フランス語・
イタリア語などでは「ファストゥ・フッドゥ」と発音する。
日本では、イギリス英語等のように「ファーストフード」(
ローマ字表記:fāsutofūdo)という長母音(
ā:[ɑː])の発音・カタカナ表記でこの言葉が浸透した。
日本放送協会(NHK)が2003年に行った調査でも、「ファーストフード」と言う国民が圧倒的に多かった
[。広辞苑などの国語辞典の見出し語も「ファーストフード」が用いられている。
一方、最初の母音のみをアメリカ英語にならって短母音(a:原音主義や、「first' target='_blank'>とfast(NHK放送文化研究所 1999年8月1日)]。NHK
[、。
]健康との関連
2003年の世界保健機関(WHO)の報告書は、ファーストフードは肥満と関連すると報告している[Joint WHO/FAO Expert Consultation Diet, (WHO technical report series ; 916). World Health Organization, Geneva, 2003:147-149.]。2007年の世界がん研究基金による報告書は、がん予防のためにファーストフードの摂取を控えめにすべきだとしている[World Cancer Research Fund and American Institute for Cancer Research Food,, The second expert report, 2007:pp378-379. ISBN 978-0972252225]。アメリカでは、マクドナルドやペプシコなど11の主要なメーカーが、12歳以下の子どもにファーストフードなどの広告をやめることで合意している[Limiting (New York Times, July 18, 2007)]。
脚注
関連項目
外部リンク
参考文献等
-
『新版毎日新聞用語集』 毎日新聞社 454頁 ISBN4620904821
ファーストフードについて