プライスウォーターハウスクーパース(PricewaterhouseCoopers or PwC)は、ロンドンを本拠地とし、世界153カ国に155,000人のスタッフを擁する世界最大のプロフェッショナルサービスファームである。
デロイト トウシュ トーマツ、
KPMG、
アーンスト・アンド・ヤングと並び、
世界4大監査法人(
Big 4)の一角を占める。
略称はPwC。
沿革
1998年、プライス・ウォーターハウス(Price Waterhouse) とクーパース&ライブランド(Coopers & Lybrand)の合併により、PricewaterhouseCoopersが発足した。この2つのファームは19世紀にその歴史をさかのぼる。
プライス・ウォーターハウス
1849年、会計士サミュエル・ローウェル・プライス(Samuel Lowell Price)は
ロンドンに事務所を開いた。
1865年にはプライスはウィリアム・ホーリーランド(William Holyland)とエドウィン・ウォーターハウス(Edwin Waterhouse)と
パートナーシップを結んだ。このパートナーシップの合意書は現在でもロンドンのPwCの事務所(サザーク・タワーズ)に飾られている。ホーリーランドは後に独立したため、このファームは1874年以降プライス・ウォーターハウス&カンパニー(Price, Waterhouse & Co.、「&カンパニー」の部分は後に名前から外れる)として知られるようになった。
19世紀末にはプライス・ウォーターハウス(PW)は監査事務所として名声をほこるようになり、英米間の取引の増加で
1890年には
ニューヨークにも事務所を開いた。ニューヨークのファームは巨大化したほか、イギリス本部も
大英帝国各地にファームを開業していった。各国のファームとは別々のパートナーシップが結ばれ、これがパートナーたちを地元企業との提携拡大へと向かわせるインセンティブになった。PWの世界規模の拡大は、国際的な合併よりも、各国に置いたパートナーが独自に発展していったことに基礎を置いている。
クーパース&ライブランド
一方、
1854年にはウィリアム・クーパー(William Cooper)がロンドンに会計事務所を開き、7年後には3人の兄弟も合流しクーパー・ブラザーズとなった。
アメリカでは
1898年にロバート・モンゴメリー(Robert H. Montgomery)、ウィリアム・ライブランド(William M. Lybrand)、アダム・ロス・ジュニア( Adam A. Ross Jr.)とその兄弟T・エドウィン・ロス(T. Edward Ross)がライブランド・ロス・ブラザーズ&モンゴメリーを開いた。
1957年、英米の両者およびカナダのマクドナルド・カリー&カンパニーは合併し、クーパー&ライブランドとなった。
1990年、英国のクーパー&ライブランドはデロイト・ハスキン&セルズ(Deloitte Haskins & Sells)のパートナーの一部と合併したが、デロイトのパートナーのほとんどはトウシュ・ロス(Touche Ross)へ合流し、
デロイト・トウシュ・トーマツを形成した。
両ファームの巨大化と合併
両ファームは世界各国の大都市にファームを開いたり地元ファームと提携したりしたが、各国の提携ファームは地元のファームを吸収することもあった。こうして各国の地方都市にまでファームは行き渡り、急増する
多国籍企業が世界のどこで活動してもサービスが受けられるに十分な体制が整った。また会計監査の需要の増加、特に
1930年代の
世界恐慌や税体系の複雑化にともないファームは大きくなった。
会計業界は世界規模のサービスの必要性や急増する訴訟費用に対応するため、
1980年代から規模の経済の優位性を求めて巨大合併を行うようになった。PWは
アーサー・アンダーセンとの合併を模索したが、両社の利害相反が大きく交渉は破綻した(例えば、アンダーセンは
IBMとの間で取引上強いつながりがあったが、そのIBMを監査するのはPWであった)。
1997年、PWとクーパースは巨大化を求めて合併を発表し、翌1998年現在のPwCが誕生した。さらにPwCはロンドンの中堅法人グラント・ソーントン(Grant Thornton)とも合併しようとしたが、これ以上の巨大法人が誕生し寡占が進むことは独占禁止を担当する当局が認めなかったこともあり話は流れた。
業務
PwCの企業形態は、
LLP(limited liability partnership、有限責任事業組合とも訳される)と呼ばれるものであり、その法的構造は通常の企業とは大きく異なる。世界規模のファーム(事務所)は、実際には自律的に経営されるメンバーファームの集合体である。各地のメンバーファームを経営するシニアパートナーたちが世界本部の経営陣となる。またイギリスに本拠を置く「PricewaterhouseCoopers International Limited」が傘下に置かれ、各ファーム間のコーディネーションを担当する。その他、PwCの社員のための人的資源サービスや法務部門(ランドウェル・グローバルの名で知られる弁護士事務所のネットワーク)も持つ。
PwCが提供するサービスは大きく次の通りである。
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監査
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税務(税務計画、および世界各国の税制や移転価格税制に関する法令遵守)
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経営改善、トランザクション、M&A、事業再生などのアドバイザリーおよびコンサルティング
コンサルティング
大企業に対する会計監査は世界的に大手ファームが寡占し成長の余地がなくなってきたため、各ファームは企業に対する経営
コンサルティングに力を入れるようになり、ここから巨額の手数料を得るようになった。特に1990年代、
多国籍企業が
SAP R/3などに代表される
経営資源管理(ERP)ソフトウェアを導入するなどの理由でコンサルティングの需要は急増した。しかし経営の内部に関わるコンサルティングと外部からの監査を同一ファームが行うことは利益相反になるとの指摘もあった。
2002年にアーサー・アンダーセンが
エンロンと
ワールドコムの不正会計事件で消滅し、アメリカの
証券取引委員会(SEC)は監査の独立性のルールを厳格化した。このため、経営コンサルティング部門とファームの中核である監査部門との分離が求められ、大手ファームはコンサルティング部門や子会社を売却した。PwCも2000年には
ヒューレット・パッカードにコンサルティング部門を売却しようとして失敗し、2002年には分社化を模索したが、結局2002年後半にIBMへの売却を発表、IBM ビジネスコンサルティング サービスとなった。
PwCは現在でも会計監査サービスのほかに、税務や財務に関するアドバイスや
M&Aなどの事前分析・支援などのアドバイザリー業務を行っている。
日本における活動
日本においては、監査(
あらた監査法人)、税務(税理士法人プライスウォーターハウスクーパース)、アドバイザリー(PwCアドバイザリー)、
コンサルティング(プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント)とサービスごとに法人は分かれているが、プライスウォーターハウスクーパースのブランドのもと、あらゆる業種の企業・公的組織に統合的なサービスを展開している。
また、
京都監査法人を協力ファーム (Cooperating Firm)としている。協力ファーム、とはPwCメンバーファーム(メンバーファームはPwCそのものを構成する)が業務を
委託・照会する可能性があることのみを意味しており、PwCグローバルネットワークの方針やPwCのクオリティ・スタンダードとはなんら関係がない。そのため、「京都監査法人がPwCである」「京都監査法人はPwC Japanの一員である」という言い方はすべて誤りである。
2009年5月、べリングポイント日本法人がUSべリングポイントから分離・独立し、プライスウォーターハウスクーパースコンサルタント株式会社としてPwCメンバーファームに参画を発表。監査・税務・アドバイザリーにビジネスコンサルティングを加えることで、PwCメンバーファームとして総合的なソリューションを提供している。
外部リンク
プライスウォーターハウスクーパースについて