蛍石について
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より
蛍石(螢石、ほたるいし、ケイセキ。fluorite、
フローライト)は、
鉱物(ハロゲン化鉱物)の一種。主成分は
フッ化カルシウム(CaF2)。
等軸晶系。
色は無色、または内部の不純物により黄、緑、青、紫、灰色、褐色などを帯びる。加熱すると
発光する。ただし、加熱する際は、割れてはじける場合があるので注意が必要である。また、不純物として
希土類元素を含むものは、
紫外線を照射すると
蛍光を発することでも知られており、なかには太陽光の紫外線によっても蛍光するものがある。蛍光する蛍石は
イギリスや
中国で産出されたものの中から稀に見つかることがある。
へき開が良い鉱物であり、
正八面体に割れる。
モース硬度は4であり、モース硬度の指標となっている。
比重は3.18。
濃硫酸に入れて加熱すると
フッ化水素が発生する。
用途・加工法
古くから
製鉄などにおいて
融剤として用いられてきた。現在では
望遠鏡やカメラ用
レンズのような高級光学レンズ材として用いられたり、
フッ素の貯蔵に用いられることもある。
高純度の蛍石結晶は、
紫外線から
可視光線、
赤外線まで幅広い波長の光(130nm〜8μm)を透過することから、光学材料としてレンズや窓板等、多様な用途に使用されている。また
色分散が小さく、さらに一般的な光学ガラスと傾向が違う(
異常部分分散)という特性を持つため、これを組み合わせてレンズを作ると
色収差が非常に小さい、すなわち広い波長域にわたって
焦点距離の差のない極めて安定した光学性能が得られる(
蛍石レンズ)。しかし、
単結晶を光学材料として使用するため大型化が難しい。このため、直径20cmの
凸レンズで100万円以上の高値になることもある。なお、
鉱石として市販されている物に関しては比較的安価である。紫外線の透過に優れているため、集積回路の露光に用いるステッパーの光学系に使用される。石英も紫外線の光学材料として使用されるが、DUVの帯域では損失が大きいので蛍石の独擅場である。他にDUVの光学材料としては
フッ化リチウム、
フッ化マグネシウムも候補である。
なお、可視光線から近赤外線用途では蛍石に近い
屈折率・
分散を持つ、K-CaFK95、S-FPL53といった光学ガラス材料が存在し、
EDレンズとして
蛍石レンズの代わりに使用されている。
中医学では
紫石英と呼び、
鎮静・
鎮咳薬として用いられるが、地方によっては
紫水晶と混同される。
また中国では、蛍光する蛍石を
明夜珠と呼び、古くから宝物として扱われてきた。蛍光する蛍石の中で、世界最大といわれるものは、
中国雲南省で採掘されたもので、採掘後直径1.6mの球形に加工された。重量6.2トン。昼間太陽の光を蓄積し、夜間緑色から白色に燐光する。
Wikipedia画像へのリンク(蛍石の彫り物)
関連項目
参考文献
-
松原聰 『フィールドベスト図鑑15 日本の鉱物』 学習研究社、2003年、ISBN 4-05-402013-5。
-
国立天文台編 『理科年表 平成19年』 丸善、2006年、ISBN 4-621-07763-5。
外部リンク
蛍石について