軽トールワゴン(けい- )とは、
軽自動車のスタイルの呼称である。
軽ハイトワゴンとも言う。
Wikipedia画像へのリンク(スズキ・ワゴンR(4代目))
概要
前部にボンネットを備えた、2 BOX および 1.5 BOX の
ハッチバックスタイルの軽自動車であり、一般的には車高制限の厳しい機械式立体
駐車場の1550mmを超える全高の大きなキャビンを持つ
乗用車である。
キャビンの高さを通常より高くすることにより、室内での乗員の姿勢を立ち気味(
アップライトポジション)にすることで前後方向の占有面積を減らし、結果として十分な居住性と、荷室容積を実現する。そのほか、座面高が中庸で乗降性に優れる、運転中の視界が良いなどの副次的な効果もある。
エンジン配置はボンネット内の
横置き配置が基本で、駆動方式は
FFもしくは
4WD。ドアの種類・配置は、側面はヒンジドアを前席用と後席用の左右2枚ずつ、後部にはバックドア1枚を備えた5ドア車が一般的で、
スライドドアが採用されているのは、2代目 ダイハツ・タント、スズキ・パレットのみである
[軽セミトールワゴンも含めれば、2代目 三菱・eKワゴン/日産・オッティも含まれる。]。FRベースの
セミキャブオーバー型や
セミキャブオーバー型の軽
1BOXワゴンは含まない。
ミニバンや
トールワゴンの軽自動車版ともいえ、現在の軽自動車の販売台数ベースでは、主流となっているパッケージングである。特に、車体寸法に制限のある「軽自動車規格」では、利便性と操縦安定性を両立させるために都合の良い手法である。
車高について
三菱・eKシリーズ/
日産・オッティや
スバル・プレオのスマートルーフ仕様車のように機械式立体
駐車場に入庫できる高さが1550mmの車も含まれる事もあるが、こちらは
軽セミトールワゴンに分類される事もある。また、
三菱・iは車高1600mmではあるが、スタイリング重視で造られているため、軽トールワゴンとは言いにくい事もあり、現状では定義が曖昧である。
カテゴリ名の呼称について
本項においては、
概要の節に記された定義に沿った形態を「軽トールワゴン」もしくは「軽ハイトワゴン」と呼称しているが、実際においては、同カテゴリに対する呼称が業界もしくはメディア間で必ずしも統一されていないのが実態である。よって「
軽ミニバン」という呼称が使われる場合もあるが、この「軽ミニバン」という言葉だと一部ではセミキャブオーバー型軽1BOXワゴンを含めて解釈する場合も見られるので、本項では呼称しない。中にはセミキャブオーバー型軽1BOXワゴンとの混乱を避け、明確に区別してカテゴライズするために、同カテゴリの発祥車種であるスズキ・ワゴンRの車種名から取って「ワゴンR型」や「ワゴンRスタイル」などと呼称する場合も一部で見られる。
歴史
Wikipedia画像へのリンク(ホンダ・ライフ ステップバン)
Wikipedia画像へのリンク(ミニカトッポ(初代))
Wikipedia画像へのリンク(スズキ・ワゴンR(初代 4ドア))
Wikipedia画像へのリンク(ムーヴ(初代))
Wikipedia画像へのリンク(ライフ(2代目))
Wikipedia画像へのリンク(トッポBJ)
現在の軽トールワゴンの起源を探ると、FF + 背高キャビンと言う
パッケージ手法を
1972年の時点でいち早く実現した、
ホンダの
ライフ ステップバンに行き着く。この非常に合理的なパイオニアも、当時は
商用車そのままの雰囲気が多くの乗用車ユーザーに敬遠され、一方、商用車として見ると、積載力やトラクションの面では
TN シリーズに適わず、決して商業的に成功したとは言いがたい。この頃の市場は未成熟で、このような商品企画が理解され、広く支持されるには時期尚早であった。
その後、FF方式 が軽自動車に広く普及してからも、この手のジャンルで他社の追従はなく、長く市場からは消えることとなる。
1980年代後半から、折からの
バブル経済に後押しされる形で、
ローバー・Miniや
シトロエン・2CV、
ルノー・4など、個性的な
輸入大衆車が販売台数を大きく伸ばしており、
日本車でも、新たな付加価値を持つクルマが大挙して現れたこと、そして
日産が一連の
パイクカーを発表したことなどが影響し、車好き以外の消費者が、車に性能や利便性以外の「個性」を求める雰囲気が広まっていた。そんな中、
1990年に
三菱から、6代目
ミニカの派生車種である
ミニカトッポが発売された。
ミニカトッポは背が高いものの、着座位置などはミニカと全く変わらず、それほど合理的なパッケージではない。しかし、頭上空間の無駄をスタイリングに反映させ、キャラクターとして生かした点が大衆に受けた。背の高い車は「カッコ悪い」という認識を、アンバランスな
プロポーションを「カワイイ」方向に振ったことで、消費者、特に女性の間にあった「背の高い車」へのアレルギーを大きく和らげる役目を果たした
[ビジネスライクなデザインの日産・AD MAXや、スズキのアルトハッスルは、クルマ好きの男性の支持は多いものの、それほど女性受けはしなかった]。
それでもなお、パーソナルユースの軽自動車の販売は、「
ボンバン」が主流であった。
現在の軽トールワゴンの隆盛に直接つながるものとしては、結果として不調に終わった
スズキと
フィアットの
1980年代末からの
合弁事業のなかで企画された、
欧州向けのミニマム
ピープルムーバー計画が発端となる。その落とし子ともいえる存在を捨て去ることなく、軽自動車枠に収めるべく仕立て直したものが「
ワゴンR」であり、図らずもその後の軽自動車市場の牽引役となった。
スズキはかつて
1979年に
アルトのヒットで
軽ボンバンというカテゴリを切り開いた過去があるが、このワゴンRのヒットで、スズキは再び新たな成功を掴んだことになる。現在の軽トールワゴンというジャンルの確立は、ワゴンRの成功によるところが大きい。
このワゴンRのヒットをまざまざと見せつけられたスズキの最大のライバルである
ダイハツは、それに対抗すべく
1995年に同様のパッケージングを取り入れた
ムーヴを投入した。ムーヴは、販売台数でワゴンRを抜き去ることは出来なかったが(後の
2003年にようやく販売台数逆転に成功する)、ダイハツらしい丁寧な造りが評価され、同社の看板車種として、またワゴンRの最大のライバルとして成長していく。
ワゴンRとムーヴの競り合いによってこのカテゴリは活況を呈し、その後、
1997年に
ホンダが
2代目ライフを、
1998年に三菱がかつてのミニカトッポのパッケージングを引きずりながらもアップデートを果たした
トッポBJを投入し、各社そろい踏みとなったところで、遂に軽自動車の主要カテゴリとして完全に認知された。
スバルは自社の生産能力や規模の観点と
ヴィヴィオの後継モデルとの兼ね合いから、
セダン(
ハッチバック)系統にトールワゴンの性格を持たせた
プレオで対応していた。他車より低めの車高を設定し、セミトールワゴンに分類されることもあるが、当初は車高を1575mmに設定され
[ホンダ・ライフ(2代目・4代目)と同じ数値。]、機械式立体
駐車場に入庫できないため、これは大きな誤りであり、厳密なセミトールワゴンと言える機械式立体駐車場に入庫できる高さである1550mmのグレードが登場したのは2001年になってからのことである。しかし、
2006年5月、新車種の
ステラを投入し、セダンの系統である
R2(2代目)と別れた。これで全ての軽自動車メーカーが軽トールワゴンに参入したことになる。また、
スバル・360で「本格的な乗用車としての」軽自動車を完成させた元祖であるメーカーがカテゴリに参入したことにもなる。
その後も軽トールワゴンの軽自動車での主流の地位は揺るぎないが、各社軽トールワゴンカテゴリを1車種だけに留めなかった。スズキがワンモーションフォルムの
MRワゴンを発売。さらに
タント対抗の
パレットを発売した。ダイハツは更なるキャビン拡大を図った
タントを発売した。さらにはワゴンRやムーヴなどの既存の車種においても、スポーティ仕様を追加するなどした。三菱は車高を低くし、立体駐車場に入る車高とした
eKを発売した。eKは主婦層のセカンドカーを狙ったこのカテゴリでは長らく不在だった5速
MT車を追加したり、軽自動車を持たなかった
日産に
オッティとしてOEM供給を行って、バリエーションと販売店を増やすことによって、コンセプトを変えた複数の車種を揃えて更なる消費者の取り込みを図っており、同カテゴリはますます広がりを見せている。eKシリーズ発売と同時にトッポBJも継続生産されたものの、結局は生産中止となってしまい三菱からは車高が1550mm以上
[eKアクティブを除く。]の軽トールワゴンは
2004年1月をもって生産を中止し、同社のeKアクティブの発売に伴い同年
4月をもって販売を終了し、三菱から軽トールワゴンのラインナップが途絶えていたが、
2008年9月に
トッポを発売し、軽トールワゴン市場に復活した。
車種一覧(現行車種)
ファイル:5thHondaLife.jpg|5代目ライフ
ファイル:2007 Daihatsu Tanto-Custom 01.jpg|2代目タント
ファイル:Honda Zest Sports 2006.jpg|ゼスト
ファイル:Stella Standard.JPG|ステラ
ファイル:2008 Mitsubishi Toppo 01.JPG|トッポ
参考(近似)車種
脚注
関連項目
軽トールワゴンについて