umasica :桜里さんのマイページ

神糞神学への道 6

2010/04/16 23:16

 

 ヨーロッパのすべての信仰の背後には、宗教的であれ、政治的であれ、創世記の第一章があり、世界は正しく創造され、存在は善であり、従って増えるのは正しいという考えが出てくる。われわれはこの基本的な信仰を存在との絶対的な同意と呼ぼう。

 

 存在との絶対的同意の美的な理想は、糞が否定され、すべての人が糞など存在しないように振舞っている世界ということになる。この美的な理想を俗悪なもの(キッチュ Kitsch)という。

 

 

…と、ミラン・クンデラは書いていたわけだが(『存在の耐えられない軽さ』)、問題を、

 

 要するに、綺麗事を言うことで世界が実際に綺麗になると考えるのが、クンデラの言う、キッチュを氾濫させることで体制の保障とする、存在との絶対的同意の下にある世界なのである。

 

…とまとめてみたのは昨夜のことであった。しかし、ここは、より正確な表現が必要かも知れない。

 

求められるのは、単に、綺麗事を言うことで世界を綺麗に出来ると考えることではなく、綺麗事を口にした以上既に世界は綺麗なものなのであると信じることなのである。信じなければ、それは綺麗になった世界に残された綺麗ならざる存在として、世界から排除される破目に陥るのだ。

自らが綺麗であることを証明するために、綺麗ならざる存在を見つけ出し告発するという方法が見出されるだろう。

 

しかし、糞はそもそも世界の構成要素なのであり、世界は糞と共に存在するのであるから、その告発は(本来的には)世界そのものへの告発となってしまうはずである。

しかし、しかしである。世界は正しく創造され、存在は善であると考えることを義務として課されてしまった以上、既に糞は世界を構成していないのだ。存在との絶対的な合意とクンデラが呼ぶ事態は、糞と共にある世界に生きながら、糞など存在しないことを信じること、少なくとも糞など存在しないことを信じているように振舞うことを、人々に求めるのである。

 

性的欲望もまた、世界は正しく創造され存在は善であると考えようとする、正しく善である人々(正しく善であろうとする人々)には、糞同様のいまいましい出来事であったに違いない。

人間が神の似姿であるならば、神は人間に似ていなければならず、神の下半身には肛門だけではなく生殖器も備えていなければならないことになる。

妥協点は、世界は正しく創造され、存在は善であり、従って増えるのは正しいという考えに宿るだろう。性的欲望に基づく性交は受け入れ難いが、正しく善なる存在は増やされるべきなのであり、正しく善なる存在の拡大再生産は奨励されるべきなのであり、正しく善なる存在の義務としての性交は奨励されるのである。もちろん、それは、性的欲望に基づく性交ではなく、つまり正しさや善から逸脱した欲望に基づく性交ではなく、正しく善なる義務の遂行としての性交でなければならない。

そこでは、出産を目的とした性交であることが、何より求められるだろう。

快楽としての性交は禁止されなければならない。ナチスの健康で美しい世界では、出産に結びつかぬ性的快楽の享受者として、同性愛者は強制収容所収容者の主要な一群となっていたのである。

 

 

ここで、クンデラが、問題の文章を、「ヨーロッパのすべての信仰の背後には…」という言葉から始めていたことを振り返ってみるべきかも知れない。

ここでの問題は、ヨーロッパの神の下半身の問題なのであり、自らの性行為により日本列島を産み出した、かのイザナギ、イザナミの二柱の神の問題ではない、と言うことも出来るように思えるのである。

 

大日本帝國の軍隊を考察する上で、作戦行動と一体化した従軍慰安婦の存在は興味深いものである。イザナギ、イザナミの二神の性行為を国史の始原に持つ国柄が、性的禁欲主義からは遠い、従軍慰安婦を伴う軍隊の存在を容認する歴史と不可分のものに、私には見えて来るのである。

考えてみれば、同性愛も武士道精神と親和性が高いものではなかっただろうか? 戦国武士の世界と男色は不可分である。

性的欲望を直視・肯定するところに、常に皇軍の最前線と共にあった従軍慰安婦の存在があり、サムライと男色の伝統がある。

我が誇るべき国体の精華として、そのように考えておくべきなのかも知れない。

 

 

 

 

 

 

 



Binder: スカラベ・サクレ(日記数:11/全体に公開)
このエントリーをはてなブックマークに追加
最新コメント

  • Comment : 1
    umasica :桜里
     2010/04/17 00:36
    糞だって神になる世界、なのであった、この国は。

  • Comment : 2
    みやのたれ
     2010/04/17 00:49
    そういえばスパルタも同性愛を奨励してましたよね。兵の強化のために。
    ローマでは同性愛は(していた人もいたけど)「ギリシャ的」と言って敬遠されていた気が…
    (キリスト教の布教の前からかどうかは忘れました…)

    ところで、今日はお互いにウンコ日記をつけてしまいましたねえ…。

  • Comment : 3
    umasica :桜里
     2010/04/17 07:07
    みやのたれ様


    >そういえばスパルタも同性愛を奨励してましたよね。
    >兵の強化のために。

    強さの秘訣が同性愛だった、っていう話。

    ザンギエフ氏にも、
    愛国ヲタクの皆さんに同性愛の伝統を説く使命があったのではないか、
    …なんて思わぬでもなし。

    >ところで、今日はお互いにウンコ日記をつけてしまいましたねえ…。

    あれまぁ。
    これから仕事なので(外は雪!)、帰宅後に読みに伺います。

このブログにコメントをつけるには、ログインする必要があります。
マイページをお持ちでないひとは「マイページを作成する」ボタンを押してマイページを作成してください。
不適切なブログを見つけたら、こちらからご報告ください!

Mail Address(GMO ID):

Password:

自動ログインパスワードを忘れた方

最近書いたブログ


https://www.freeml.com/feed.php?u_id=316274&f_code=1



Copyright(C)2019 GMO Media, Inc. All Rights Reserved.