umasica :桜里さんのマイページ

モノクロとアナログの世界

2015/07/13 22:45

一昨日の話。



午後は、まず某大学の地下スタジオでのプライベート上映会。

上映されたのはアンジェイ・ワイダの『地下水道』である。ワルシャワ蜂起の最終段階を舞台にした、「救い」というもののまったくない映画である。絶望的な状況の中で、より絶望的な状況に追い込まれ、たとえ地下水道(端的に言えば下水道である)の出口を見出せたにしても、外にはより深い絶望が待ち受けているだけなのである。

日本人としては、本土決戦=本土での地上戦が人々にどれだけ絶望的な災厄をもたらすものなのかについて、あらためて考えさせられたりもした。

ポーランド国内軍に直接手を下したのはアドルフ・ヒトラーの軍隊だが、ヒトラーに手を下させて後ろで見ていたのはスターリンであって、まさに地下水道の出口の先にはスターリン主義者の支配する戦後ポーランドがあったのである。この絶望の深さは、日本人の想像力の及ぶところではないようにも思う(沖縄の人々を例外として)。

会場にはポーランド人女性が参加していたのだが、時間の関係で少しだけしか会話を交わす時間が無かったのが残念であった。




で、続いて某美術大学での蓄音機を用いたレコードコンサート。

20年代後半製(中村とうよう氏旧蔵品)の蓄音機を用いて、とうよう氏所蔵のSP版レコードを聴こうという企画。今回はアメリカのポップスの源流的なセレクトで、20年代のアネット・ハンショーから40年代のパティ―・ペイジあたりまで(というかLP版時代の前まで、ってことか?)。

とにかく「蓄音機」の音、つまり電気的増幅装置を介さない完全な(というのも変な言い方かもしれないが)アナログ再生による音の世界を堪能した。

ま、歌い手が上等で、曲もいいし、しかも蓄音機再生!

実に贅沢な話である。

間の話にも出ていたが、当時の録音(というか音楽事情)て、ジャズとクラシックとカントリーソングの間の敷居が低い(ウチのCD化されたSP時代の音源にも、クラシック系の歌手が、現在ではクラシックに決してカテゴライズされないような曲を録音しているのがあったりするのを思い出した)。

ミュージカル『シカゴ』が好きな娘にはぜひ聴かせたい企画だったのだが、展示の撤収の時間と重なった(つまり同じ大学の構内にはいたらしい)ようで残念。











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最新コメント

  • Comment : 1
    umasica :桜里
     2015/07/13 23:19
    近頃恒例となってしまった時間差メモ記事。

  • Comment : 2
    Mr.Dark
    Mr.Darkさん
     2015/07/15 00:55
    レコード黎明期の音源が「敷居が低い」レベルのものであったというのは実に興味深いことですね。
    録音・再生機器の急速な技術発展に伴ってレコード自体が商業的に注目を浴びるようになり、演奏家のスキルも急上昇っ、そしてプロミュージシャンの大増殖、てのが20世紀の文化的カオスの夜明けの一面。

  • Comment : 3
    Mr.Dark
    Mr.Darkさん
     2015/07/15 01:04
    あ、ちょっと話はそれますが、雨ニモマケズ〜の宮沢賢治は、裕福な家庭で何不自由ない優雅な少年時代をおくり、当時は超高級品だったレコードプレーヤーも所持していたボンボンでした。
    親から高額の小遣いを貰うたびにレコード店にかよい、舶来の新作レコードを買いあさっていたようです。

  • Comment : 4
    umasica :桜里
     2015/07/15 18:06
    ウチにあるCD化されたSP音源の中に、
    たとえばジョン・マコーマックという歌手の録音があるんですが、
    現在で言えばクラシック歌手なんですよね。
    それが、ポピュラーソングの録音を残していたりする。
    (彼の録音は、当日も紹介されてました)

    こんな感じ↓

     John McCormack - "I Hear You Calling Me" (1911)
     https://www.youtube.com/watch?v=C2bLpVsHN6M

    やっとこれからマイク(電気的増幅)が導入される時期なので、
    生で歌うのが基本だった時代でもあるんですね。
    で、声量もたっぷりなのが歌手の条件だった時代でもある。
    声量のない歌手がバカにされていた時代でもあった。

    一方で、それが、マイク前提の時代になると、
    デカイ声では無理だった細かいニュアンスが表現できるようにもなる。

    歌(特にポピュラーソング)自体も変化するわけです。

    当日はそんな流れも含めて、
    蓄音機ならではの柔らかい音を堪能した次第。

  • Comment : 5
    umasica :桜里
     2015/07/15 18:11
    宮澤賢治のコレクションについては、
    会場で蓄音機の音に耳を傾けながら気になってました。


    いずれにしてもSP版一枚あたりの収録時間は短いわけで、
    クライスラーのヴァイオリンのように、
    (お茶の間名曲的な)短い曲の録音が流行ったんだと思います。
    本格的にクラシック曲を聴こうとすると、
    いちいちチェンジし続けなければならないことになるし。

  • Comment : 6
    Molotov
     2015/07/15 20:15
    ムソルグスキーの【展覧会の絵】に『ポーランドの牛車』という、重々しい曇り空が延々と続くような曲がありますね。それがその映画で使われてはなかった?なーんて。

  • Comment : 7
    Molotov
     2015/07/15 20:19
    昔、ウチにSPがあったけど、クラシックのは、一作品だけで十枚以上がケースに収められていたように記憶してます。

  • Comment : 8
    Molotov
     2015/07/15 20:26
    SPの価値を知らない私は、幼い頃、それで円盤投げをしていた…
    親もSPを時代遅れの遺物として全て廃棄処分に!
    LPからCDの時代に切り替わった時も、同じことした人、居るんじゃないかな〜

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