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歩いてただけで職務質問

2009/04/06 22:10

少し前の話だが──昼頃、某公園墓地内を歩いていたときのこと。突然うしろから呼び止められた。
「ちょっとすいません」との声に振り返ると2人連れの自転車に乗った男性が近づいてくる。
最初は道でも尋ねられるのかと思ったが、男性らは自転車をおり、僕の前にまわりこむようにして身をよせてきた。他人に道を尋ねる雰囲気ではない。
彼らの醸し出す雰囲気は歌舞伎町ですり寄ってくるいかがわしい連中を連想させた。
にわかに警戒すると、声をかけてきた年配の方が、
「警察の者だけど、お名前と住所を教えてもらえますか?」
と警察バッジを見せ、同時に若い方(舎弟チンピラ風)がご用聞きのようにメモ帳(警察手帳ではない)とペンを取り出してメモの体勢に入った。

「警察」ときいて警戒心は更に増した。警察だと判って警戒したのではない。相手は2人とも私服──いわゆる警官の制服姿ではなかった。怪しげな男達の「警察の者」という言葉を信じて良いものか不信感が先に立ったのだ。

こっちは何も疑われるような事をしていないのに──歩いているだけの人に警察がいきなり名前や住所を訊いてくるなんてことがあるのだろうか?
銀行やカード会社・弁護士や警察を名乗って個人情報を引き出そうとする詐欺の話はあちこちで聞く。
「相手の身元を確認せずに、むやみに個人情報を明かさないように」と注意喚起してしかるべき立場の警察が、理由も告げず、いきなり名前や住所を聞き出そうするのはおかしいのではないか?──そう感じたのだ。

私服の刑事の存在はもちろん僕も知っているが、もし捜査上の職務質問なら名前や住所を訊く事にどんな意味があるのだろう? 犯罪者であったら偽名や嘘の住所を答えるかも知れないし、そんなことは確かめようがないだろう。質問の意図からしてよく判らない。

それに職務質問というのは、それなりの疑わしいと判断するに充分な理由がある時に行われるものではなかったか? 市民にはプライパシーもあるし、むやみやたらに職質かけるのは職権乱用だろう。
挙動不審が認められた場合に、不審な点について問いただすのが職務質問ではないのか? 理由もなく(告げず)いきなり名前や住所を言えなどという職務質問があるものだろうか?

「本当に警察の方?」と聞き返すと、年配の方はもう一度警察バッジを見せる。若い方もそれにならって同じバッジを開いてみせた。
2人のバッジをじっと見たが……僕は本物の警察バッジを見た事が無いので、それが本物かどうか判断できない。100円ショップで売っていてもおかしくない安っぽい感じがしないでもなかった。
(こいつら、本物の刑事なのかなぁ?)──という疑念は更に強くなる。

これが、声をかけてたきたのが制服の警官だったならまだ信じやすかったのだろうが……2人組は私服。安っぽそうなバッジだけで刑事と判断するには、やっぱり抵抗がある。
「これ、職務質問ですか?」と尋ねるとそうだという。
「職務質問するに足ると判断した理由は何ですか?」
とさらに尋ねると、年配の方が、弁明めいた説明を繰り返し、
「この近所では空き巣が多いので、声をかけている」という。
ところが、僕が声をかけられたのは某霊園内。住宅などないところでこの説明はなんとも説特力に欠く。
「空き巣ですか……家もないのに?」と問いただすと「ここではひったくりも多いから」と空き巣からひったくりへと話がブレる。
ますます怪しいさが漂う。

もし相手が本物の刑事であり「バッジを提示し、いきなり住所や名前を訊く」という捜査手法が成立するなら……偽バッジを提示して個人情報を聞き出そうとする犯罪者が現れた場合、その区別判断は一般の人には不可能である。
警察がそんな犯罪につけ込まれるような捜査手法を是とするだろうか?

「職務質問も不自然だし、見せられた警察バッジが本物かどうか僕には判らない」
と、押し問答になる。
相手が「交番で訊いてもいいのだけど、ここから交番まで行くのは面倒でしょうから」などと言い出したので、ニセ刑事の可能性を捨てきれずにいた僕は「むしろ交番なら安心だから、交番でなら質問にお答えしてもいい」と答え、結局そこから1kmほど離れた交番へ歩く事になってしまった。

おかしな職務質問で交番まで行く事になり、いささか不愉快な気分にもなっていたので、
「交番であなた方が本当に警察の人間だとわかれば職務質問には応じるが、やましい事は何もしていないのに、歩いていただけで取り調べをうけることについてはブログに書く」
と宣言しておいた。

そのせいか「交番で訊いてもいいのだけど」と言っていたあやしい刑事(?)は「お時間、大丈夫ですか?」「交番まで来ていただいても元の場所へお送りはできませんが」などと言い始める。
(こいつらニセ者だから交番へ行きたくないのではないだろうか?)
と想像せずにはいられない。

(交番につくまでは、わからないぞ)
などと思っていた僕だが、いよいよ交番が近づき、中で制服姿の警官が2人いるのが確認できる距離まできても私服の2人組は逃げ出すそぶりを見せなかった。
(こいつら本物かもしれないぞ)──そう思い始めたとき。
交番のすぐそばまで来ていた2人組は「自転車を置いて来るから、(交番の中に)入っていてください」と僕から離れ、交番の脇の道へ。
(あっ、やっぱり逃げるのか!?)
と思った僕は直ちに交番内の2人に制服警官に「職務質問だと警察バッジを見せられんですが、本物ですか?」と確認を求めた。
警官らは外の人物を確認し、「間違いなく本物」と認めたのであった……。

交番の奥の部屋の椅子に案内され、ようやく本物の刑事らしいと納得した僕は、とりあえず彼らが訊きたがっていた、名前・住所・本籍を答えた。それをチンピラ風の刑事がメモ。部屋から出て行ったがほどなく戻ってきた。手配書などと照合したのかもしれない。
意外な事に(?)本物の刑事だったようだが……だとすると本物の刑事はどんな事を尋ねるのか!?
せっかく交番まで来たのだから、警察が善良な市民に対してどんな扱いをするものか取材しておこう──などと、こちらも覚悟を決めて身構えたのだが……職務質問はそれだけ。
ブログに書くと言ったのが効いたのか(?)、あとは刑事が職務質問についての正当性を弁解めいた言葉で一方的に話し続けた。
僕は花粉症対策のマスク&帽子という出で立ちだったが、どうやらこれが(顔を隠しているので?)怪しいと思われた一因らしかった。しかしマスクに帽子など、今の時期、花粉症患者なら標準装備である。花粉症患者には空き巣犯やひったくり犯の疑いをかけてもOK──警察はそう考えているのだろうか?
犯罪者との予断をもって職務質問したのではない──と刑事は繰り返し弁明し「ご協力ありがとうございました」みたいな感じで、あっさりと無罪放免(!?)。
所持品検査も求められなかったし、マスクや帽子をとるように命じられることもなかった。

まったく、いったい何の為の職務質問だったのか?
少なくとも僕が受けた職務質問は釈然としないものだった。

くり返しになるが、町を歩いていてとつぜん警察の者だと名乗る人物に「職務質問だから、あなたの名前や住所を言いなさい」と言われたら、戸惑うのか普通だろう。一般の人には警察バッジを提示されても真贋の判断はつかない。
危機管理的には疑ってかかるのが正しい状況だ。なのにそんな不可解な形で職務質問が行われたということに疑問と不信が残った。

    *    *    *    *    *

職務質問と言えば……学生時代にも嫌な思い出がある。
期末試験の直前に警察の職務質問を受け、そのため体調を崩して試験が受けられなかったのだ。

その日はちょっと寒気がしていたのだが、用があったため自宅から自転車で2〜3分のダイエーに速攻で買い物に出た。もちろんすぐに帰って来るつもりだったのだが、信号待ちをしていたときに警官に呼びとめられた。
その場で乗っていた自転車が盗難車でないか確認の為に登録ナンバーをチェックされた。警官は無線で番号を照合。それですぐに帰れると思っていたら、意外にも僕の名前では登録されていないと言われてしまった。
もちろん自転車は僕の物である。そう主張したのだが、信じてもらえず交番へ連れて行かれた。
警官達は他に仕事があるのか忙しそうで、僕は寒い交番でだいぶ長いあいだ放置され、その間に悪寒と震えが酷くなった。

さんざん待たされた後、再度照会してもらったところ、今度は僕のものだということがあっさり確認された(つまり最初の照会ミスで不当に寒い場所に拘束された)。
その時は「もう帰って良いよ」で片付けられ、「すまなかったね」の一言も無かった。
「警察って(謝ると間違いを認めることになるから)、自分たちがミスしても絶対に謝らないんだな」と悟り……いまいましい思いをした。
帰宅後ダウンし学校を休んだために期末試験が受けられなかったというわけである……。

    *    *    *    *    *

職務質問が必要な職務だということは判る。
しかし、職質を受けた善良な一般市民が納得できるような形で行うよう最大限の努力は払うべきだろう。「権力」の横行で善良な市民が不利益を被ったり不満を感じるようでは困る。市民からの信頼を失えば捜査協力だって得られない。そうなれば警察としての機能も果たしづらくなってくる。
検挙率を上げる為の職務質問が、市民の不信や反感を買い→捜査協力を失う事で、長い眼で見た場合検挙率を下げる原因にもなりかねない──そんな危惧を感じた次第である。


Binder: 星谷 仁のバインダー(日記数:25/全体に公開)
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最新コメント

  • Comment : 1
    オーミン@通りすがりのメガネ関西猫
     2009/04/06 23:49
    オーミンもお店の帰りに警官職質を受けたことがありますが…。

    警官は、ひったくり犯を探してたみたいですが、初めからオーミンをひったくり犯と決め付けてたようにも感じましたニャ〜。
    服装が似てたらしいのですが、(黒いダウンジャケットを着てました)かなり不快な思いをしましたニャ。

  • Comment : 2
    星谷 仁
     2009/04/07 04:03
    オーミンさんも不快な職質を受けたことがあったのですか……。
    僕の知り合いにも公衆の面前で所持品検査された人がいたり、明らかに不適切と思われる扱いを受けた人がいます。
    こうした不快な思いをした人は案外少なくないのかもしれませんね。

    4月から導入された「取り調べ監督制度」でも「不適切」な行為が24件あったなんて報道がありましたが、「やっぱりなぁ」と思ってしまいました。

    犯人検挙ももちろん大事ですが、その前提は市民の安全・安心を守るためのはず。善良な市民を犯人扱いするような姿勢では、信頼も支持も得られない──そのことを肝に銘じてほしいものです。

  • Comment : 3
    みあ
    みあさん
     2009/04/14 16:26
    私は二十歳ぐらいのときだけど私の車と同じ4桁のナンバーの車がひき逃げしたらしくて、いきなり家に来たらしい。。
    それも警察24時でやってるみたく 先ずは家の回りを取り囲んでから。。
    私はその時バイトで留守にしてたんだけどバイト先まで警察が来て車のチェックしてたよ〜
    初めから犯人かも?って思ってやらないといけない仕事かも知れないけど違ったときの対応をちゃんとしてもらいたいよね〜
    その他にも詳しくは言えないけど何もしてないのに犯人扱い?されて私1人を5人の警察官に囲まれた事があるよ〜
    若いお姉ちゃん(当時は)1人を男5人で囲まなくてもとっさの時は捕まえられるじゃんね〜
    仕事なのは解るけど後の対応もマニュアルでも作れば?
    なんて思ったりして。。

  • Comment : 4
    星谷 仁
     2009/04/14 20:12
    みあさんも警察の被害にあった経験があるのですね。
    「疑ってかかるのが仕事」だったとしても、「無実の可能性」をちゃんと考慮してもらわないと困りますね。
    なんの罪も無い人が最初から犯人扱いされるような事はあってはならないし、「疑い」が「間違い」だったとわかったら、素直に謝罪するのが警察官以前の人としての最低のマナーだと思います。
    「疑う」だけ疑っておいて、無実と判れば放ったらかしでは無責任すぎます。
    「疑い」をかけた以上、「その後の(疑いが晴れた時の)ケアー(納得のいく説明&謝罪)」もしっかり行うのが最低の責任というものでしょう。

  • Comment : 5
    コアラン
     2009/04/16 00:30
    こんばんは!
    星谷さん
    もしかして
    蝶や虫を探して…
    視線泳がせてたのでは?
    これ 挙動不審に
    見えてしまいます
     
    コアランも
    某所で民家の桜の古木に
    キマルリを見つけて
    塀に登った処で…
    捕まったり
     
    オーム騒ぎの
    富士川流域界隈で
    チェックを入れられた
    らしく…
    帰りの富士インターで
    職務質問されたり…
    この時は 車の荷室を
    見られ 棒があったり
    オサ掘り用の手鍬が
    あったり
    酢酸エチルの瓶が
    あったり…
    で 更に俺も
    「オーム?オームより
    インコが好き」と
    軽口叩いたら
    「淫行?その話
    じっくり訊かせてくれ」
    って
    シャレにならなくて…
     
    かなり怖い思いを
    しました…

    軽卒官!と呼んでヤル
    ってな 気分でした…

  • Comment : 6
    星谷 仁
     2009/04/16 01:22
    >もしかして
    >蝶や虫を探して…
    >視線泳がせてたのでは?

    さすが、スルドイですね(笑)。
    特に昆虫探しをしていたわけではないのですが、早足で歩きつつ周囲の木を見ながら(虫の)食草チェック程度はしていました。

    虫屋さんが職務質問されがちなのは知っていたのですが、僕は(虫を見るのは好きだけど)虫屋ではありません。それなのにナゼ?──といぶかしく思いました。
    とにかく今回の件では、僕より私服の刑事の方がはるかに怪しかったと言わざるを得ません!

    ところで、コアランさんも虫屋さんの例にもれず、やはり色々職質受けた経験がおありのようで(笑)。
    災難でしたね……。
    知り合いの虫屋さんも普通に(?)所持品検査とかされたりするそうです。
    叩き棒やナイフなんかが出て来て、緊張が走ったりもするそうな。

    法医昆虫学という捜査手法もあるんだから、警察はもっと虫屋さんに敬意を払わないとイカンですね。

  • Comment : 7
    ヒメオオクワガタ
     2009/04/18 19:51
    やっぱり虫屋が気持ち良く散歩できるのは、
    本日行った狭山、北本、嵐山等の自然公園
    くらいですね!

  • Comment : 8
    星谷 仁
     2009/04/18 20:56
    ヒメオオクワガタさんも狭山を散策してきたのですか。
    僕も今日は虫屋さん・鳥見屋さん・植物屋(?)さんたちと狭山湖南側〜多摩湖上湖を一周歩いてきました。
    若葉がだいぶでてきた感じですね。ナナフシ(ナナフシモドキ)の幼虫をずいぶん見かけました。今日見かけた虫では、ヒメエグリバ幼虫(きれい)とカギシロスジアオシャク幼虫(背中の突起が怪獣っぽくてカッコイイ)が面白かったです。

    余談ですが狭山湖で見られるオオタカの狩り(カラスを溺死させる)のもようなどが明日(19日)放送の『ダーウィンが来た!』(NHK総合19:30)で見られるようです。

  • Comment : 9
    太一
    太一さん
     2009/04/18 21:46
    今の時期、色々と怪しんだほうが良いですよね。

    でも、確かにおまわりさんって上から目線ですよね(;^^)

    何だか、何があったも俺が正しいみたいな・・。

    う〜ん子供の頃に描いてた正義のヒーローにイメージって・・。

  • Comment : 10
    星谷 仁
     2009/04/19 00:01
    犯罪者には厳しく、善良な市民には優しい──そうあって欲しいものですね。
    だけど実際は、取り締まって欲しいものには腰が重く、不適切な職務質問で市民に不信感を与えるケースが少なくない気がします。

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