星谷 仁さんのマイページ

《MON48》の頃

2008/12/31 04:25

〜光瀬教室・大衆文芸の書き方〜

クロカニ号の冒険』入選の通知を受けたのは、児童文芸研究講座に参加するようになって間もない時期だった(入選から出版まで5年かかった)。その頃、児童文芸研究講座の浜田けい子先生の紹介で少年文芸作家クラブ(現・創作集団プロミネンス)の先生方と知り合うチャンスをいただいた。SFマガジン初代編集長・(故)福島正実先生が立ち上げたクラブで、そこにいたのは僕が中学生時代に愛読していたSFジュブナイルを書いておられた先生方だった。その縁で光瀬龍先生には大変光栄な事に『クロカニ号の冒険』出版の際には解説を書いていただき感激した。

その光瀬龍先生が、朝日カルチャーセンターで《大衆文芸の書き方》という講座を開くというので第1期生として参加(1984年7月スタート)。ここにはすでに著書を数冊出している方・雑誌に書いている方など、プロも参加していた。
一般のサラリーマンながら、毎週50枚の新作を提出するなどという恐ろしく熱心な人などもいて、活気があった。
光瀬先生は、毎回講義の後に受講生たちと喫茶店によって気さくに色々な話をしてくださった。受講生らも仲良くなり、教室の外でも先生を交えて旅行などが企画されたりした。

そして、受講生らの作品を集めて同人誌を出そうという話がもちあがる。
創刊号にはなんと光瀬龍先生が書き下ろし作品を提供して下さるという!
これは下手なものが作れない──。
僕が見まわしたところ、同人誌活動をしてきた人はいないようなので、いささか心もとない気もしたのだが……働き者でテキパキと対応できる人がいて、話はトントンと進んだ。
同人誌のタイトルは皆で候補を出しあい、その中から《MON48》が決まった。光瀬教室(大衆文芸の書き方)が開かれるのは毎週月曜(MON)住友ビル48階であったことに由来する──これは僕の思いつきだった。
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ちなみに表紙のイラストも僕にお鉢がまわってきた。
図案は書き手の象徴であるペンが翼を広げ、光瀬教室(住友ビル)から飛び立つ──というものにした。
フリーハンドでアウトラインを描いて、色指定できるようにしたつもりだったが……ちょっと計算違いがあった。もう少しキレイに仕上げておけば良かった……とこれは後になって反省したことだが……とにもかくにも、同人誌《MON48》は創刊にこぎつけた。
そしてこの《MON48》創刊号に書いた『ねこにかかったでんわ』は後に岩崎書店から出版していただくことができた。

同人誌《MON48》の(現在僕の手元にある)6号までのラインナップは──、

■MON48 創刊号(1985年3月)
書き下ろし作品
『蓮屋蓮吉捕物控 討入りの朝』・・・・光瀬  龍
『家紋』・・・・・・・・・・・・・・・武生 義史
『日だまり』・・・・・・・・・・・・・篝  真子
『ねこにかかったでんわ』・・・・・・・星谷  仁
『マスメディア・ジャック』・・・・・・津久江 隆
『夕暮れの道』・・・・・・・・・・・・きたちひろ
『雲の峠』・・・・・・・・・・・・・・如月  薫
『捨てられていた幸運』・・・・・・・・森永ぐり子
『賭け』・・・・・・・・・・・・・・・瑞木  晶
「門出を送る」・・・・・・・・・・・・光瀬  龍

■MON48 第2号(1985年12月)
書き下ろし作品
『リトルバラ:三一八七・ソラリヤ』・・光瀬  龍
『不倫電話』・・・・・・・・・・・・・卯杖 遊子
『横顔』・・・・・・・・・・・・・・・柄沢真紀子
『宮本武蔵異聞』・・・・・・・・・・・津久江 隆
『水銀灯』・・・・・・・・・・・・・・山崎  玲
『怪我の功名』・・・・・・・・・・・・如月  薫
『サリバイ市はおおさわぎ』・・・まつみやもりかつ
『ぽんたの川』・・・・・・・・・・・・きたちひろ
『隣の席』・・・・・・・・・・・・・・瑞木  晶
『夢寓話』・・・・・・・・・・・・・・尾上 華子
『コバルトヴァイオレットペール』・・・江戸 主水
『ラスト ワルツ』・・・・・・・・・・篝  真子
「第二号発行に寄せて」・・・・・・・・光瀬  龍

■MON48 第3号(1986年12月26日)
書き下ろし作品
『仲買人たちの夜』・・・・・・・・・・光瀬  龍
『夕暮れ』・・・・・・・・・・・・・・篝  真子
『がんばれ! おばけ先生』・・・まつみやもりかつ
『半導体ヤクザさらにスパイ』・・・・・北松  誠
『虹色のクワガタ虫』・・・・・・・・・正田  太
『流れ星』・・・・・・・・・・・・・・如月  薫
『ノアの末裔』・・・・・・・・・・・・津久江 隆
『山は夕暮れ、なみだ色』・・・・・・・きたちひろ
『サクランボを棄てる女』・・・・・・・瑞木  晶
『名探偵と牛若丸』・・・・・・・・・・藤谷はるか
『二百年後の結末』・・・・・・・・・・水木 萌映
『小岩界隈』・・・・・・・・・・・・・卯杖 遊子
『備前七幅』・・・・・・・・・・・・・東山 令子
「第三号発行に寄せて」・・・・・・・・光瀬  龍

■MON48 第4号(1988年12月1日)
『十五夜無情』・・・・・・・・・・・・如月  薫
『ラブストーリー1986』・・・・・・・・津久江 隆
『歯医者さんと魔法の火』・・・・・・・紺野 加奈
*特集*「課題作品について」・・・解説:光瀬 龍
「田岡屋騒動」・・・・・・・・・・・・松宮 守克
「あたりくじ」・・・・・・・・・・・・筒井 和子
「終わりよければ」・・・・・・・・・・藤谷はるか
「ベター・ハーフに乾杯!」・・・・・・武内 淑郎
「だから九時まで」・・・・・・・・・・瑞木  晶
『野げいとうの怨み』・・・・・・・・・長谷 圭剛
『ミルクキャラメルをほおばって』・・・神崎 静華
『SHE・IS』・・・・・・・・・・・由井 宏道
『恋人はスペースキャット』・・・・・・木部恵利子
『左利きの乳房』・・・・・・・・・・・江戸川町子
「第四号によせて」・・・・・・・・・・光瀬  龍
MON48の奇跡」・・・・・・・・・・星谷  仁

■MON48 第5号(1990年11月3日)
『国試無双』・・・・・・・・・・・・・由井 一光
『最後の天使』・・・・・・・・・・・・藤谷はるか
『車人形・影法師』・・・・・・・・・・岡  光子
『ブクと』・・・・・・・・・・・・・・茂木 陸子
『金魚の意気地』・・・・・・・・・・・三ノ杉圭祐
『蝿』・・・・・・・・・・・・・・・・瑞木  晶
『裸身群像』・・・・・・・・・・・・・松井 栄子
『アーマが帰ってきた』・・・・・・・・関口 和利
『歪んだ伝言』・・・・・・・・・・・・津久江 隆
『見合い結婚しましょ』・・・・・・・・木部恵利子
『花がけろうの家』・・・・・・・・・・江戸川町子
『主婦の使命』・・・・・・・・・・・・松宮 守克
『幻燈の中』・・・・・・・・・・・・・吉田 汀子
女の時代」・・・・・・・・・・・・・星谷  仁
赤いクモ──夢の前兆──」・・・・・星谷  仁
「新人賞ブームについて思う」・・・・・光瀬  龍

■MON48 第6号(1992年4月)
『ネオテニー』・・・・・・・・・・・・津久江 隆
『夏の曲』・・・・・・・・・・・・・・松井 栄子
『かたき大福』・・・・・・・・・・・・紺野 加奈
『呪いの譜』・・・・・・・・・・・・・新発田 実
『月をねだる』・・・・・・・・・・・・茂木 陸子
『ダイアンの瞳』・・・・・・・・・・・今川 智志
『祭りのあと』・・・・・・・・・・・・吉田 汀子
『芳香』・・・・・・・・・・・・・・・宇津木玲子
『白菊抄』・・・・・・・・・・・・・・如月  薫
『連鎖〈チェーン〉』・・・・・・・・・由井 一光
『明日を作る人々』・・・・・・・・・・鈴木 孝昭
『本日、朝野早紀は人を殺します』・・・山本真梨子
『召集令状』・・・・・・・・・・・・・瑞木  晶
「誰がそれをプロと呼ぶ」・・・・・・・光瀬  龍

そして余談だが……この《MON48》は映画にも登場(!?)している。第3号が『文学賞殺人事件〜大いなる助走〜』という邦画のエンドロールで流れていく同人誌の中に映っているのだ。知らずにこの作品をテレビで見ていてビックリした。
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『文学賞殺人事件〜大いなる助走〜』(1989年アジャックス)は筒井康隆・原作の文学界をパロった作品。同人誌に載った無名の新人の作品が大きな文学賞にノミネートされたことから起こる騒動を描いたもので、筒井康隆自身がSF作家役で出演して文壇バーで暴れるシーンがある。
同人誌とパロディといえば……僕がふざけて書いたミラクル☆スター・復活篇も内輪ネタ・パロディで、《MON48》や《漁人》の同人誌メンバーが(仮名で)登場している。そして舞台は文壇バーだった……。

同人誌の頃〜回顧録〜


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