住宅ローンの本審査とは?審査の流れや審査で落ちない対策を徹底解説
住宅ローンの本審査について「住宅ローンの申し込み前に詳しい内容を知りたい」「自分が住宅ローンの本審査に通過し、契約できるのか不安がある」という人は多いのではないでしょうか。「家は人生最大の買い物」というだけあって、何度も経験する人は少なく、住宅ローンについても人生で1度だけという人も多いでしょう。
住宅ローンの本審査についても「どんな内容を審査されるのか」「いつ、何をすればいいのか」という基本から知りたい人も多いですよね。
そこで本記事では、以下住宅ローンの本審査の基本から具体的な悩み・疑問まで詳細に解説します。
- 住宅ローンの流れ
- 申し込みに必要な書類
- 本審査と事前審査の違い
- 本審査での審査内容
- 本審査に落ちる理由とその対策
- 落ちてしまったらどうすればいいのか
- 住宅ローンの新規借入と借り換えの審査基準の違い
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目次
住宅ローンの審査とは
住宅ローンを組むときには、収入などに関する書類を提出して審査に申し込みをし、審査を受けて承認される必要があります。
住宅ローンの審査は、以下の2段階です。
- 事前審査
- 本審査
事前審査は、金融機関によっては『仮審査』とも呼ばれていますが、どちらも審査の内容は同じです。
事前審査は、本審査をおこなう前の簡易な審査、という位置づけのため「住宅ローンを借りたいなら、事前審査を受けずに、本審査に申し込めばいいのでは?」と考える方もいるのではないでしょうか。たしかに、ルール上は、事前審査を受けなくても、本審査に申し込んで通過(承認、決裁といいます)すれば、住宅ローンを借りることもできます。しかし、もし、本審査で落ちてしまった(否認、非承認、否決といいます)ときには、すでに契約している物件のキャンセルなどが必要になるケースがあります。契約のキャンセルは、売主とのトラブルも考えられ、事前審査を受けてから本審査の申し込みをおこなう方が、そのようなリスクを回避できます。
また、中古マンションなど、購入する物件の種類によっては、事前審査の結果が出ないと住宅購入の申し込みができないケースもあります。
住宅ローンの事前審査は、無料で受けられますので、住宅ローンの新規借入を検討しているときには、本審査にいきなり申し込みをするのではなく、事前審査をまずは受けましょう。
本審査と事前審査(仮審査)の違い
前審査(仮審査)と本審査は、必要な書類なども異なりますが、大きな違いのひとつは、「審査をする組織」にあります。事前審査は、銀行など、住宅ローンを申し込み予定の金融機関の内部で基本的におこないます。これに対し、本審査をおこなうのは、主に信用保証会社です。
信用保証会社は、金融機関に対して債務保証をおこないます。つまり、あなたが万が一、返済できなくなったときには、代わりに銀行などへ返済するのです。より厳しい基準で審査をおこなうのも当然といえるでしょう。
さらに事前審査と本審査では、審査される内容や重視される点も異なります。
事前審査で審査されるのは、以下のような項目です。
- 借入金額
- 頭金
- 勤務形態
- 勤続年数
- 税込み年収に対する返済額の割合(返済負担率)
- 返済完了時の年齢
- 信用情報
給与所得者以外の方は、事業内容なども確認されます。
ほとんどが提出した書類の内容で審査できるため、即日~1週間程度で結果を知ることが可能です。とくに、楽天銀行などのネット銀行や近年、都市銀行などが提供しているネット専用住宅ローンは、書類不要で申し込み可能なものもあり、結果が出るのも早い傾向にあります。
事前審査は複数申し込めるので、物件の仮押さえ期間が短いときなど、審査結果が期限までに出るか不安なときには、ネット銀行やネット専用住宅ローンを申し込み先のひとつに入れておくと良いでしょう。
本審査では、事前審査で審査された項目に加え、以下のような内容が審査されます。
- 物件の担保価値
- 物件瑕疵の有無
- 健康状態
- 反射会勢力との関係
物件の瑕疵には、過去に事故などがあった場合の「心理的瑕疵物件」、再建築不可などの法的な問題がある「法(律)的瑕疵物件」、地盤が不安定、建物の構造に欠陥があるなど土地・建物に問題がある「物理的瑕疵物件」、近隣に墓地があるなど環境的な要因で不快感を覚える可能性がある「環境的瑕疵物件」があります。
健康状態は、団体信用生命保険に加入するために必要です。民間の金融機関では、住宅ローンを契約するときに、加入が必須になっているため、健康状態は重要な審査項目となります。
本審査では、より詳細な情報を基に厳密な審査がおこなわれるため、結果が出るまでに1週間から2週間程度必要です。遅いケースではさらに日数が必要で、4週間近くかかる場合もあります。
金融機関によっては、事前審査で承認されていれば、本審査までに大きな変化がない限り、本審査も承認されるという住宅ローンもあります。しかし、事前審査で承認されても、本審査で承認されないケースも少なからずあることは覚えておきましょう。
住宅ローン審査の流れ
住宅ローンの手続きは、物件の購入手続きと並行しておこないます。
住宅ローンに関する準備が間に合わず、希望物件を購入できなかったということがないように、住宅ローンと物件購入、それぞれの手続きの流れと事前審査(仮審査)・本審査をどのタイミングで申し込みすればいいのか知っておきましょう。
住宅ローン手続きの流れ | 物件購入の流れ |
---|---|
– | 資金計画、物件の情報収集/相談 |
住宅ローンの情報収集/相談 | – |
事前審査申し込み | 購入希望の物件決定 |
事前審査承認 | 購入申し込み |
本審査申し込み | 不動産売買契約 |
本審査承認 | – |
住宅ローン契約 | – |
融資実行(入金) | 決済 |
– | 物件引き渡し |
住宅ローン控除申請(確定申告) | – |
住宅ローンの相談は、金融機関以外に、不動産会社のFPなどにすることも可能です。提携している住宅ローンを紹介してもらえることもあります。
申し込みに必要な書類
住宅ローンの本審査に申し込みをするときには、下記の書類が必要です。金融機関によっては、必要な書類が異なる場合がありますので、申し込み前に確認してください。事前審査(仮審査)ですでに提出している書類は、本審査では必要のないケースもあります。
必要書類 | 具体的な書類の例 |
---|---|
必要書類 | 本人確認書類 |
必要書類 | 運転免許証 パスポート 健康保険証など |
住民票の写し | 本人・家族全員が記載されているもの/発行後3ヵ月以内/マイナンバーの記載なし |
印鑑証明書 | 印鑑証明書と実印 |
収入確認書類 | 給与所得者:源泉徴収票、住民税決定通知書、納税証明書など 個人事業主:確定申告書の控え、申告所得税納税証明書、事業税納税証明書など(3年分) 法人代表者:法人の決算報告書、法人税納税証明書、法人事業税納税証明書など(3年分) |
物件資料 | 売買契約書 工事請負契約書 建築確認申請書 登記事項証明書など |
残高証明 | 預金口座の通帳など |
物件の資料は、不動産会社が手配してくれることが多いので、依頼しましょう。
上記の書類を、金融機関が定める「本審査の申込書」に添えて提出します。また、保証会社を利用するときには「保証委託依頼書」、団体信用生命保険を利用するときには「団体信用生命保険申込書」も必要です。各書類は金融機関が用意してくれます
本審査を通過できない主な理由
住宅ローンでは、事前審査(仮審査)で承認されていても、本審査で落ちてしまうケースがあります。では、具体的にどのような理由で落ちてしまうのでしょうか。
書類の不備
書類が本審査の期日までに揃わなかった、書類の記入内容に不備があった、などの書類不備による否認は意外に多いといわれています。
事前審査での申告内容に虚偽があった
意図的な虚偽申告はもちろんですが、例えば、事前審査で提出した確定申告の控えの内容と本審査で提出した納税証明書の内容に違いがあると、ミスであっても虚偽の申告と判断されてしまうことがあります。
【フラット35】の住宅ローンを利用
【フラット35】を利用する場合に本審査をおこなうのは、保証会社ではなく、住宅金融支援機構です。銀行ローンと異なる担保価値の評価方法や物件の技術基準もあるため、銀行の住宅ローンでは承認されるケースが、【フラット35】の本審査では承認されないことは比較的多くあります。
担保価値が低い
詳細な調査がおこなわれ、希望借入額に対して担保価値が低いという結果が出た場合には、承認されないことがあります。
健康状態に問題がある
銀行など民間の住宅ローンでは、契約時に団体信用生命保険への加入が必須です。そのため、健康状態に問題があると加入ができず、本審査も承認されません。
チェックされる主なポイントとしては、以下の通りです。
- 3ヶ月以内に医師の治療や投薬を受けた
- 3年以内に脳卒中・心筋梗塞・糖尿病など特定の病気で手術を受けた。または、2週間以上、医師の治療や投薬を受けた
- 手・足・目の欠損、機能障害がある
上記に該当していても、加入が可能なケースもあります。
住宅ローン以外の借り入れがある
事前審査(仮審査)では、年収と借入希望額のバランスなどを審査しますが、本審査では、住宅ローン以外の借入額も含めて借入総額と返済能力のバランスが審査されます。このとき注意したいのは、クレジットカードのリボ払いやキャッシング枠です。車のローンなど大きな借り入れはもちろんですが、クレジットカードの残積や返済の滞りも否認の理由になります。
信用情報が悪化した/借入金額が増えた
事前審査後に信用情報が悪化したり、借入金額が増えたりという理由で承認されないケースです。信用情報の悪化は、住宅ローン以外の支払いが滞ることで起こります。借入金額の増加で意外に多い例として挙げられているのは、家を購入するのに伴い、家具家電といった高額な買い物を事前審査後から本審査の間にクレジットカードなどでしたケースです。
転職をした/年収が下がった
事前審査後にタイミング悪く転職をしたり、年収が下がったりすると本審査で承認されないことがあります。
会社の経営状態が良くない
事前審査では、返済能力を審査するためにチェックするのは年収など個人のデータです。しかし、本審査では、より確実な返済能力の審査のために、会社の経営状態や規模をチェックし、結果によっては本審査で承認されないことがあります。
住宅ローンの本審査では「どうして承認されなかったのか」など結果以外の内容は、一般的に教えてもらえません。万が一、本審査で落ちてしまった場合には、上記のような項目に該当しないか、それ以外でも事前審査(仮審査)から本審査までのタイミングで何か大きな変化がなかったかをご自身で確認する必要がございます。
本審査に通過するためのポイントと落ちたときの対応
特に住宅ローンの本審査を通過するためのポイントを抑えるための参考となるのが『融資を行う際に考慮する項目』です。
この質問への上位の回答は以下のようになっています。
- 借入時年齢
- 健康状態
- 完済時年齢
- 担保評価
- 勤続年数
- 年収
- 連帯保証
- 返済負担率
住宅ローンの本審査に通過するためのポイント
それでは、ここからは、住宅ローンの本審査に落ちてしまう主な理由と金融機関が融資をおこなう際に考慮する項目を参考に、住宅ローンの本審査を通過するために抑えておきたいポイントをご紹介します。
必要書類
書類の内容に誤りがあると不備になるので、事前審査の書類も参考にしながら本審査の書類を作成しましょう。単純な記入ミスであれば修正可能ですが、年収などは虚偽申告と判断されることもあるので注意してください。また、期日までに必要な書類が揃わないと本審査が受けられません。ネット銀行などは事前審査の結果が出てから本審査までの期間が短いケースも多いので、期限までに必要書類が提出できないといったミスをしないように書類は早めに準備しましょう。
年齢
年齢は、借入時年齢と完済時年齢が審査されます。上限の目安は「借入時年齢:65歳」、「完済時年齢:80歳」です。特に本審査は、完済時年齢が重要になります。
健康状態
大きな病気はしていなくても、なんらかの疾患があって、団体信用生命保険に加入できるかの不安をお持ちの人は多いのではないでしょうか。そのような方は、事前審査の段階で、金融機関に相談しておくとスムーズです。従来の団体信用生命保険に加入できない人も、健康要件を緩めた『ワイド団信』を利用できる可能性があります。ただし、ワイド団信を利用する場合には金利の上乗せが必要です。
頭金
頭金は、一般的な住宅ローンで1~2割、頭金不要の住宅ローンもあります。しかし、頭金の金額がより多ければ、借入金額は減るので、本審査を通過しやすくなります。可能であれば、事前審査後から本審査までの期間も頭金を増やせるよう、努力しましょう。
その他の借入金額
頭金が増えると本審査を通過しやすくなるのとは逆に、事前審査後から本審査までの期間に住宅ローン以外の借入金額が増えれば本審査に落ちる可能性があります。ローンやクレジットカードで高額な買い物をするのは、住宅ローンの本審査を受けるタイミングでは控えましょう。また、返済負担率の計算に必要になるので、住宅ローン以外の借り入れ内容の洗い出しもおこなってください。
返済負担率
返済負担率(返済比率)は、借入金の返済金額が年収に占める割合です。本審査では住宅ローンだけでなく、総借入額で計算します。計算式は『年収÷総借入額×100=返済負担率』です。本審査での審査基準は金融機関によって異なりますが、30%~35%となっています。超えてしまうようであれば、住宅ローン以外の借り入れを返済するなど総借入額を減らしましょう。
信用情報
信用情報に不安のある方は、ご自身の信用情報を照会してください。手数料は1,000円ほどです。照会の結果、事故情報が記載されていた場合には、住宅ローンの本審査の申し込みは延期した方がいいでしょう。
落ちてしまったときの対応
本審査に落ちてしまっても、審査基準は金融機関ごとに異なるため、別の金融機関に申し込めば住宅ローンを契約できる可能性があります。
例えば、みずほ銀行や三井住友銀行といったメガバンクの本審査に落ちた場合、地方銀行や信用金庫に申し込みするのもひとつの方法です。また、【フラット35】は、年齢や健康状態の条件が銀行などに比べると緩いため、住宅ローンの審査に通る可能性があります。
健康状態が理由で団体信用生命保険に加入できなかったなど、本審査に落ちてしまった理由がある程度推測できるようなときは、以下を参考に対応してください。
健康状態が理由で住宅ローンの本審査に落ちたとき
ワイド団信は、取り扱いのない金融機関もあるため、本審査で落ちた金融機関にワイド団信がなかった場合には、取り扱っている金融機関の住宅ローンに申し込みしましょう。また、【フラット35】のように任意加入の住宅ローンの利用も検討してください。
年齢が理由で住宅ローンの本審査に落ちたとき
頭金を増やすことで返済期間を短くしたり、親子リレーローンの申し込みを検討したりしましょう。
勤続年数が理由で住宅ローンの本審査に落ちたとき
勤続年数は、一般的に3年程度あれば本審査で承認されるといわれています。勤続年数を満たした後、再度、住宅購入・住宅ローンの申し込みをしてください。
年収が理由で本審査に落ちたとき
ご夫婦で住宅を購入されるのであれば、ペアローンの利用や収入合算をして住宅ローンを申し込むことで契約できる可能性があります。
返済負担率が理由で住宅ローンの本審査に落ちたとき
返済負担率を下げるためには、頭金を増やして希望借入額を減らしたり、住宅ローン以外の借り入れをできる限り返済したりする必要があります。
信用情報が理由で住宅ローンの本審査に落ちたとき
信用情報の保存期間は契約終了(完済)から5年です。すでに契約終了している場合は、5年経つのを待ってから再度、住宅ローンに申し込みをしてください。
担保価値が低くて住宅ローンの本審査に落ちたとき
担保評価の方法は、金融機関によって異なるため、別の金融機関に申し込めば、同じ物件でも本審査を通過できる可能性があります。また、不動産会社が提携している住宅ローンでは、担保価値を理由に本審査に落ちる可能性は低いといわれていますので、売買契約をする不動産会社に相談してみるのもいいでしょう。
住宅ローンの新規借入と借り換えの審査基準の違い
住宅ローンを新規借入してから長い時間が経つと、金利などの状況が変わり、借り換えを検討することもあるでしょう。
住宅ローンの借り換えをおこなうときにも、住宅ローンの新規借入と同様に審査がありますが、金融機関が重視する内容が異なります。
新規借入に比べて、借り換えの方が審査基準が厳しくなるのは以下の項目です。
- 現在の住宅ローンの返済履歴
- その他借り入れの返済履歴
- 住宅ローン以外の借入額
- 返済負担率
- 完済時年齢
上記をみるとわかるように、住宅ローンの借り換えでは、返済能力に関する審査が厳しくなります。そのため、上記以外の内容でも、短期間で転職を繰り返して勤続年数が短いような人は不利です。
しかし、金融機関の中には、住宅ローンの新規借入よりも、住宅ローンの借り換えを優遇しているところがあります。ネット銀行はその傾向が強く、新生銀行の住宅ローンは借り換えでの契約が80%以上です。このような金融機関を利用すると、多少条件が悪くても、借り換えの審査が承認されるといわれています。
また、住宅ローンの借り換えは、「いつまでに住宅ローンを契約しなければ物件が購入できない」という時間的な制約がないため、承認されなくても諦めずに、半年ほど期間を空けてまた申し込んでみたり、物件の価格が上がったタイミングで申し込んでみたりするといいでしょう。
まとめ
住宅ローンの本審査では、保証会社や住宅金融支援機構が審査をおこなうため、事前審査(仮審査)よりも審査基準が厳しくなります。
審査される内容は健康状態などの「人的審査」と物件の担保価値に関する「物的審査」の二つです。
住宅ローンの本審査の申し込み前に、下記のような対策をすることで、住宅ローンの本審査を通過できる可能性を高めましょう。
- 書類の不備に注意する
- 年齢や健康状態に問題があるときには条件の緩い住宅ローンを選ぶ
- 返済負担率を下げる
- 住宅ローン以外の借り入れは可能な限り返済する
- 事前審査後から本審査の間にできるだけ頭金を増やす
- 住宅ローンの本審査前にはクレジットカードなどで高額な買い物をしない
また、本審査の内容や審査基準は、金融機関によって異なります。
万が一落ちてしまったときにも諦めず、別の金融機関の住宅ローンへの申し込みも検討してください。
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