楽天モバイルの通信可能エリアは?UNLIMITは繋がるか検証
今回のテーマは「楽天モバイルの通信エリア」についてです。
楽天モバイルの利用を検討する際に、最も気になるのが通信エリアです。
「ちゃんと繋がるのか」
「都市部で繋がらないと聞いたが改善されているのか」
「地下街や地下鉄の駅などでは通信できるのか」
など、通信サービスである以上は、実用的な通信可能エリアへの不安や心配は当然のことです。
そこで今回は、楽天モバイル通信網の成り立ちや特性、通信可能エリアのチェック方法、さらに圏外や電波が弱い場合の対処法など、楽天モバイルの通信エリアについて取り上げます。
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楽天モバイルの通信網について理解しよう
楽天モバイルは、2020年4月8日に正式サービスを開始したばかりの新しいモバイル通信会社です。
複数の料金プランを提供しユーザーの都合や好みでプランを選ばせる他社と異なり、最大3,278円(税込)/月でデータ容量無制限で利用できる「UNLIMIT」という段階制プラン1種類のみを提供しています。
1GB・3GB・20GBで区切り、それぞれ他社大手キャリアよりも割安な料金設定に魅力を感じるユーザーも少なくありません。
開業当初は通信可能エリアがなかなか拡大せず、管轄する総務省から再三の指導を受けるなど不安視されていましたが、現在では当初予定よりも早いピッチで徐々にエリアを拡大しています。
しかし、SNSなどを中心に通信エリアに対しては、批判や失望の声がいまだに少なくないことから、楽天モバイルの通信エリアの問題点についていま一度整理しておく必要がありそうです。
楽天モバイルの通信エリアはau通信網で補完している
楽天モバイルは、当初、NTTドコモから回線を借りて通信サービスを提供する「MVNO」から事業をスタートしましたが、後に自社で独自通信網を敷設・保有するMNOに転身しました。
すでにNTTドコモ・au(KDDI)・Softbankの大手キャリア3社が4G通信網を全国に張り巡らせている状態の中、楽天モバイルは「0」から自前の通信網を構築することとなりました。
当然のことながら、はじめは自社通信網だけでサービスを提供することができず、自社通信網が敷設できていないエリアについてはau通信網にローミングすることで、通信エリアを補完して貰っていました。
人口カバー率97%を達成した現在でも、地方部や山間部などではau通信網に依存しているエリアも少なくありません。
楽天モバイルの通信エリアは急ピッチで拡大中
未だにau通信網のローミングを受けてはいるものの楽天モバイル通信網は日々拡大しています。
今年2022年2月4日には人口カバー率が96%に達したことを公開、さらに同年3月末日時点では97%にまで達成し、当初予定を4年も前倒しするなど急ピッチでの拡大を続けながら、自社通信網のみによるサービス提供の目途がついてきたところです。
この急速なエリア拡大の背景にあるのは、世界初となる「インフラの完全仮想化」です。
「インフラの仮想化」は難しく説明が長くなるので非常に簡単に言ってしまうと、従来方式では高額な専用機器を使用して構築していた通信網の管理・運用をオンラインでの遠隔操作(クラウド)で実行する手法です。
これを楽天モバイルでは「完全仮想化クラウドネイティブモバイルネットワーク」と呼んでいます。
高額な専用機器を使わず汎用機によるプラットフォーム上で実現できるため、コストも構築期間も圧縮できることから、基地局の設置や設定がスピードアップし、当初予定を4年も前倒しする速さで人口カバー率97%を実現できたわけです。
こうした驚異的な急ピッチで通信エリアを拡大していることについては評価する声も少なくありませんが、単に通信サービスとして通信可能エリアを比較した場合には、まだまだ先行キャリアに勝てない状況であることは楽天モバイルの大きな弱点であることもまた事実です。
楽天回線に切り替えたエリアで圏外になる理由とは?
楽天モバイルでは自社通信網による通信可能エリアの拡大に伴って、都市部を中心に徐々にau回線とのローミングを終了し、自社通信網への切り替えを進めていますが、自社通信網に切り替えた地域ではクレームが増加しています。
「楽天回線になったら圏外になった」
「auエリアだった時の方が通信状況は良好だった」
「au回線の方が電波は強い」
などです。
これは、2020年12月の実績で人口カバー率99.9%を実現しているau通信網と、急ピッチで拡大しているとはいえ、いまだ97%しか達成していない楽天モバイルの差と言えます。
通信エリアのすべての地域を通信可能としていたau回線に対して、まだ「穴」(通信不可地域)を残す楽天モバイルに切り替わることで、圏外や電波状況が悪化する事例があるためです。
さらに、建物の陰にも回り込みやすいプラチナバンドを使用できるauなら通信可能な場所でも、プラチナバンドを使えない楽天モバイルでは、「死角」になってしまって通信できない、しにくい地域が生じてしまうケースもあります(プラチナバンドの詳細は後述)。
そうした地域でも徐々に通信可能になってゆくはずですが、切り替え直後は、人口カバー率や使用周波数帯の違いが影響してしまう可能性は否めません。
楽天モバイルの通信エリアの問題点とは?
前述の通り、楽天モバイルは急ピッチで通信エリアを拡大していますが、それでもまだNTTドコモ・au(KDDI)・Softbankの先行3社ほどの広く厚い通信網を構築できているとは言い難い状況です。
単に後発で通信エリア整備が追いついていないというだけではなく、楽天モバイル特有の問題も影響しています。
楽天モバイルはプラチナバンドを使えない
楽天モバイルに割り当てられている周波数帯域は1.7GHzと非常に高い帯域です。
電波は、周波数が高くなればなるほど「光」と性質が似て、直進性が強くまっすぐに速く進みます。
そのため電波を通さない遮蔽物の裏側などへは届きにくくなる性質を持っています。
一方、NTTドコモ・au(KDDI)・Softbankに割りあてられている、周波数の低い電波は大きく波を描くように進むため、周波数の高い電波が届きにくい遮蔽物の裏側などへも回り込んで届きやすい性質です。
700~900MHzの周波数帯域を一般的に「プラチナバンド」と呼んでいて、先行するNTTドコモ・au(KDDI)・Softbankは各社ともプラチナバンドを割りあてられています。
しかし、楽天モバイルは後発であるがゆえに、プラチナバンドに空きがなく割り当てがありません。
楽天モバイルには直進性の高い1.7GHz帯の電波だけが割り当てられていることから、プラチナバンドの有無によって同じ場所に設置した基地局がある場合でも、楽天モバイルの電波は届きにくく他3キャリアの電波は届きやすいという状況が起こり得ます。
このことは企業努力では如何ともしがたい問題であり、楽天モバイルは「(楽天モバイルだけが)不利である」「不公平である」として総務省などに対して、自社も含めた形でプラチナバンドの再配分をすべきと主張していますが現時点での再配分の動きは見られません。
楽天モバイルは「通信エリアの厚みが足りない」
もう一つ、楽天モバイルに対して言われるのが「通信エリア内の電波の厚みが足りない」です。
電波の厚みとは、基地局が重複して設置されることで、1か所で接続できる基地局が複数あることで、基地局の混雑を回避し電波の届きにくさを軽減することができる「電波の密度」のことを指します。
しかし、通信エリアを面として確保できるようになったばかりの楽天モバイルは、1つの地域における基地局の数がまだ少ないために、1つの基地局が混雑してしまうとこれを回避できず通信速度が落ちたり、繋がりにくくなってしまうことが起こりやすいのです。
さらにプラチナバンドでないことも相まって、ビルの陰や建物内、地下街、地下鉄駅構内などで電波が届きにくくなっていることも電波の厚みが足りないことを助長している現状があります。
楽天モバイルは「乗換えたい通信サービスNo.1」「顧客満足度総合1位」でもある
ここまで、楽天モバイルの弱点やデメリットを多く紹介してきましたが、従来にない新しい通信サービスとしての期待も小さくありません。
たとえば、oricon MEの「2021年オリコン顧客満足度調査」によれば楽天モバイルは加入手続き・初期設定のしやすさ・料金プラン・端末のラインアップ・コストパフォーマンス・付帯サービスの6部門で首位を獲得、総合1位となっています。
特に「料金プラン」に関しては、2位に10ポイント以上の大差をつけての首位であり、既存ユーザーに充分評価されていることがわかります。
また、総務省が実施した「利用者意識調査」では、楽天モバイルは乗換えたい通信サービスで1位となっており、まだ未加入のユーザーにも支持が広がっていることを物語っています。
SNSなどでは、悪評や批判などが目につきやすいことから、世間の大勢が楽天モバイル批判に傾いているような印象をうけますが実際は決してそのようなことはなく期待や満足感を持っている方もいるようです。
楽天モバイルで圏外・電波が弱い時の改善方法
使おうと思ったら、圏外だった、電波感度が1~2本しか立っていないという場合、通信状況を改善する方法はないのでしょうか。
以下に簡単な改善方法を紹介します。必ずしも改善できるとは限りませんが、電波状況が改善される場合がありますので試してみる価値はあります。
通信エリア内であることを確認する
楽天モバイルの通信エリアは、まだ若干の空白地帯を残しているため、面として通信エリア内であってもピンポイントで電波が届かない場所である可能性があります。
楽天モバイルのエリアマップを参照して、その場所が通信エリア内であり、空白地域でないことを確認します。
利用場所に楽天モバイルの電波が届いているかどうかは人間の目や耳ではわかりませんが、以下の方法で、楽天モバイルの電波が届いているかを確認できます。
【iPhoneで楽天モバイルの電波が届いているかを確認するには】
1.「設定」アプリを開く
2.「モバイル通信」→「ネットワーク選択」と進み
3.「自動」を解除する
4.リストの中に「事業者名(楽天モバイル)」や「PLMN番号(440 11)」があれば楽天モバイルの電波が届いています。
【Androidスマホで楽天モバイルの電波が届いているかを確認するには】
1.「設定」を開く
2.「モバイル通信」→「SIM情報」→「電気通信事業者」へ進み(※)
3.リストの中に「事業者名(楽天モバイル)」や「PLMN番号(440 11)」があれば楽天モバイルの電波が届いています。
※iPhoneはApple社が単一で開発・製造しているため設定メニューは統一されていますが、Androidスマホは、複数の端末製造メーカーが独自に開発・製造を行っており各社間で統一されていません。
メーカーごとにばらばらなメニュー名・メニュー構成になっているため、似たようなメニュー名を探してください。
ちなみに、「事業者:KDDI」または「PLMN番号:440 50~54、70~78」が表示されれば、au回線の電波が届いています。
場所を数メートル移動してみる
楽天モバイルの電波は直進性が強く、遮蔽物の陰に電波が回り込みにくい性質ですので、使用している場所を数メートル移動するだけで電波状況が改善する場合があります。
その際に意識するのは、基地局から直線的に電波を受信できるような、より視界が開けた方へ移動することです。
移動しても変化がない場合や、かえって悪化した場合には、その反対側への移動も試してみてください。
また、スマホを高く掲げたり、高い場所に登ることでも電波を改善できる場合があります。
いずれのケースでも、遮蔽物の陰から出て電波を届きやすくすることが目的です。
「機内モード」あるいは「モバイル通信」のON/OFFを切り替えてみる
スマホ端末の「設定」メニューにある「機内モード」をONにして数秒待ってからOFFにする、同じく「設定」メニューのモバイル通信を一旦OFFにし、数秒待ってからONにする作業を行ってみてください。
この操作の目的は、基地局の切換えです。
接続している基地局にアクセスしている端末が多すぎて通信状況が悪くなっている場合、基地局を切り替えることで、電波状況が改善するケースがあります。
混雑している基地局は1か所だけで、隣の基地局は空いているということも少なからずあるものです。
ただし、この操作をしてもまた同じ基地局に接続してしまうこともあり得るので、必ずしも基地局が切り替わる保証はありません。
端末を再起動してみる
目的は、「機内モード」や「モバイル通信」のON/OFFと同じで基地局の切換えですが、外部要因ばかりではなく、端末側の何らかの不具合が影響している場合には、この操作で改善するケースがあります。
再起動といっても、「強制再起動」ではなく単に本体の電源をいったん切って再度電源を入れるだけでOKです。
SIMカードスロットを抜き差ししてみる
電波状況が悪いのは、何も外部要因ばかりとは限りません。
SIMカードを交換した直後や、落下させるなどで端末に強い衝撃を与えた場合などには、SIMカードが正しく読み込めていない場合があります。
一旦SIMカードスロットを抜き出し、SIMカードにキズや汚れなどがないことを確認の上再度、正しくSIMカードを挿入することで、電波状況が改善されるケースがあります。
eSIMを使用している場合には、SIMカードの抜き差しはできませんが、前項の端末の再起動によって同じ効果を得られます。
メンテナンスや工事の情報を確認してみる
通信エリア内でここまでやっても電波状況が改善しない場合には、楽天モバイルの通信網自体のメンテナンスや基地局工事などが実施されている可能性があります。
危機メンテナンスの場合には、接続不良や通信不能状態が広範囲に及ぶ場合があります。
基地局工事の場合には、隣接する基地局に切り替わるはずですが、まだ基地局の数が少ない楽天モバイルの場合には、別の基地局に接続できないケースも考えられます。
利用している地域のメンテナンス情報などを確認しましょう。
楽天エリアとパートナーエリアの確認方法
楽天モバイル通信網と、パートナー通信網のいずれに接続しているのかを確認することができます。
【接続している回線の確認方法】
1.楽天モバイル「my楽天モバイル」にアクセスする
2.「データ利用量」を参照する
楽天モバイルに接続中は「楽天回線エリア接続中」の表示が出ます。
au回線に接続している場合は「パートナー回線エリア接続中」と表示されます。
【iPhoneはフィールドテストモードでも確認可能】
iPhoneで接続している回線を確認する場合、電話アプリ(※)から「フィールドテストモード」を起動させることでも接続回線を確認することができます。
1.通常の電話アプリを起動する(「Rakuten Link」ではないので注意)
2.「*3001#12345#*」とダイアルプッシュする
3.「Serving Cell Info」を確認する
4.「freq_band_ind」が「3」なら楽天モバイル回線、「18」ならパートナー回線
※フィールドテストモードは通話料は発生しません。
※my楽天モバイルとフィールドテストモードの結果は同一です。
アプリが使えないなど特別な事情がない限り、あえてフィールドテストモードを使う必要はありません。
まとめ
楽天モバイルの通信エリアについてまとめると以下のようになります。
・楽天モバイルは自社通信網だけで全国をカバーできていない
・au回線にローミングすることで、自社通信網が拡大できていない地域をカバーしている
・エリアにまだ空白地域があり、au回線から自社回線に切り替えた地域ではクレームが発生している
・楽天モバイルの通信エリアは急ピッチで拡大しており、2022年3月には人口カバー率97%を達成
・他キャリアの人口カバー率は99.9%であり、楽天モバイルはまだまだ太刀打ちできない
・楽天モバイルはプラチナバンドを割り当てられていない
・楽天モバイルの電波は周波数帯が高く直進性が強いため建物の陰などで圏外になりやすい
・楽天モバイルはまだまだ基地局が不足しており、建物内や地下街、地下鉄駅などで圏外になりやすい
・楽天モバイルの通信エリア内で圏外の場合は、対処方法によっては改善できる可能性がある
・楽天モバイルへの期待感や満足感を持っているユーザーも少なくない
・「乗換えたい通信サービスNo.1」「顧客満足度総合1位」を獲得している
急ピッチで通信エリアを拡大していることについては評価できても、実際にユーザーとして利用する際にはエリアが先行3キャリアに及ばないことや、基地局の密度が低いことなどがデメリットとして悪目立ちしてしまうことは事実です。
しかし、まだ正式開業からわずか2年しか経過していないことを勘案すれば、あまり悪い評判にばかり目を向けず、さらなる企業努力に期待しつつもう少し長い目で見守ることも必要ではないかと思います。