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昨今の過労死報道に疑問

2016/10/18 11:04

五大紙の報道って、大抵、インターネットを開けば嫌でも見出しは目に飛び込んでくることになると思うのですが、そのようにして目にした昨今の記事で、なるほどと思うような記事って、個人的にはほとんどないです。

マスメディアの報道の嘘に騙され続けていた自分にやっと気が付いた手前、極力疑いの目で記事を見るようになったこともありますが、それにしても釈然としない変な記事が多すぎる気がします。

以下に引用した過労死に対する記事もその一つです。

長い記事ですが、お時間のある人と、関心のある人はお読みいただき、最後にこの記事に対する私の反論といいますか、戯言にも耳を傾けていただければと思う。


日本人、それってオカシイよ 「過労死」を生む日本企業の“常識”
ソース→[http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20161018-00000019-zdn_mkt-bus_all]

最近、日本では過労死の問題が大きな話題になっている。

 電通に勤めていた女性社員が過労で自殺したニュースや、長時間勤務で死亡したフィリピン人男性のケースが過労死と認定された話などが大きく報じられてさまざまな議論を生んでいる。ちなみに2015年、過労死で労災認定されたのは96人にもなり、未遂も含む過労自殺は93人が労災認定されている。

 10月7日、日本政府は「過労死等防止対策白書」を閣議決定した。2014年に施行された過労死等防止対策推進法を受けて、厚生労働省は日本の企業や労働者に対する大規模な調査を行なって白書にまとめている。「過労死」の労災認定の目安となる月80時間を超えた残業をする正社員がいる企業は22.7%に達していることや、正社員の36.9%が高いストレスを抱えていることが判明した。

 今さらだが、この状況は世界的に見ると普通ではない。

 過労死などが声高に叫ばれるようになった80年代から、日本の過酷な労働状況は世界でたびたび報じられ、外国人の目に奇妙に映っている。また経済大国である日本は実のところ「生産性が悪いのではないか」との指摘まで出ている。外国のメディアで報じられている報道から、日本の労働環境について見てみたい。

●日本人が過労死してしまう理由

 10月16日付のニュージーランド・ヘラルド紙は、日本人が過労死してしまう理由のひとつには、日本では転職が世界と比べてあまり行われないことが挙げられると指摘する。「労働者の大半が一度企業に入社を果たせば、会社やキャリアそのものをめったに変えることがない」日本のような国は、「従業員たちの労働時間が不健康であるとして悪名高い」と。

 確かに、転職をすることでベターな労働環境を求めることはできる。追い詰められて過労死した人に「会社を辞めるべきだった」「転職するべきだった」などと言いたのではないが、確かに日本が転職に対してもっと柔軟な認識をもつ社会であれば、もしかしたら過労死した人たちのストレスは多少でも軽減された可能性はある。もう少し労働環境のいい職場に移るという選択肢にすっと頭がいくかもしれない。

 米国などではさらによい労働条件を求めて転職するのは当たり前であり、給料アップや昇進のために転職をしていくことは普通である。海外のように転職によるキャリア構築は、日本では広がっていない。

 ニュージーランド・ヘラルド紙はこんな問題も指摘している。日本は、「世界で見ても与えられる年間の有給休暇がかなり低い」。確かに、米経済政策研究センターのデータによれば、日本は世界と比べて有給休暇が少ない国である。同紙によれば、日本では平均10日間の有給休暇が得られる(その後、勤務年数が増えるごとに1日ずつ増え、最大で20日)のだが、他の国と比べて少ない。世界的に見て有給休暇が多いオーストリアやポルトガルは35日、スペインは34日、フランスは31日、英国では28日などと続く。

 さらに問題なのは、日本人は与えられた有給休暇を消化していないことだ。旅行サイト・エクスペディアの調査によると、日本の有給消化率は60%である。ちなみに有給の多いフランス、スペイン、オーストリアなどでは消化率は100%である。この「有給休暇を使わない」感覚も、過労死の根底にはあるかもしれない。

●日本人の仕事に対する意識

 日本人の仕事に対する意識も、少し心配になるような調査結果が出ている。2016年5月、世界15カ国で行われた「仕事」に対する意識調査の結果が報じられ、当時、広く世界で報じられていた。この調査からは日本人が仕事をどう見ているのが明らかになっている。

 仏企業「Edenred」と調査会社「IPSOS」が世界15カ国で行なったこの調査によると、日本人は世界と比べて、ダントツで仕事にいい印象をもっていないことが分かった。日本人は仕事に対する意識が異様に低い。ちなみにこの調査によると、世界で最も仕事に前向きなイメージを持っているのはインド人だった。

 この調査結果のリポートをもう少し詳しく見ると、日本人は仕事に次のようなイメージをもっていることが指摘されている。「朝、出社するのが苦痛」で、「職場環境は刺激的ではなく」、多くの社員が「上司から尊重されていない」と感じているが、「会社から何を求められているのかは明確に分かっている」。つまり、日本人は会社が自分に求めることははっきりと認識しているが、会社が嫌いなのである。この結果を見ると、日本人は会社から仕事を押し付けられて、いやいや働いている人が多いという印象を受ける。

 そんな意識が原因となっているのかどうかは分からないが、海外メディアから「日本の会社は労働生産性が悪い」といった指摘も出ている。例えば、英エコノミスト紙(10月15日付)は、一連の過労死問題についてこのように書いている。「仕事の成果よりも会社で過ごす時間や仕事への献身さに価値を見出している(日本のような)文化では、仕事のビジネス慣行を根本的に変えるのは容易ではない。あるIT企業の会社員(42、匿名を条件に取材に応じた)は、『会社は大きなチームのようなもの。私が早く帰ったら私の仕事を誰かが引き継いでやる必要が出てきて、かなり罪悪感を感じる』と話す」

 外国や外資系企業で働いたことがある人なら分かるはずだが、多くの外国人にはこういう「責任感」はないと言っていい。筆者は英企業に勤めた経験があるし、米国でもいくつもの企業や大学、研究所を訪問したり、友人などから話を聞いたりするが、勤務終了時間になれば、見事なまでにオフィスから皆いなくなるし、他人の仕事を気遣って残業するなんてことはまずない。特に米国では、上司が帰るのを待ってから、とか、ダラダラとオフィスに残って仕事をするなんてことがない。

 ただそんな米国は、今も世界最大の経済大国である。これについては、なぜなのかと疑問に感じていたが、英エコノミスト紙はその理由を皮肉たっぷりに書いている。「(日本の)超過労働は経済にあまり恩恵をもたらしていない。なぜなら、要領の悪い労働文化と、進まないテクノロジー利用のおかげもあって、日本は富裕国からなるOECD(経済協力開発機構)諸国の中でも、最も生産性の悪い経済のひとつであり、日本が1時間で生み出すGDPはたったの39ドルで、米国は62ドルである。つまり、労働者が燃え尽きたり、時に過労死するのは、悲劇であるのと同時に無意味なのだ」

●日本人の労働生産性

 日本人の労働生産性は世界的に見て、非常に低く、ほかのOECD諸国より劣る。ちなみに、世界各国は1時間でどれほどのGDPを生み出しているのか。ランキングにするとこうなる(2014年)。

1. ルクセンブルグ 79.3ドル

2. ノルウェー 79ドル

3. アイルランド 64ドル

4. 米国 62.5ドル

5. ベルギー 62.2ドル

6. オランダ 60.9ドル

7. フランス 60.3ドル

8. ドイツ 59.1ドル

(G7の平均は54.5ドル)

 いかに日本の生産性が悪いかが分かるだろう。エコノミストの指摘を見れば、過労死をなくすには、日本の非効率な労働を見直す必要があるということなのだ。どうすれば米国などのように、時間内に帰れるのかを真剣に議論しなければならないのである。

 最近、国際的に活躍する日本人と、外国の企業などで世界中の人たちと働く際の苦労について話をした。筆者も米国やシンガポールで働いた経験がある。日本人は、仕事が細かく丁寧で、まじめで時間に厳しく、人の良さから同僚などの仕事も助けてしまう。

 一方の外国人はどうか。誤解を恐れずに言うと、日本人以外は基本的に「いい加減」である。自分の仕事しかしないし、気が利かない。そして日本人が集まると、外国人は「使えない」「ダメダメだ」などと愚痴るのだが、実はそれが普通なのかもしれない。事実、労働生産性のランキングを見ると大きな差はないどころか、日本人は劣っているのである。

 これから分かることは、過労死対策として日本は強制的に労働時間を減らすしかないのではないか。そして生産性を上げるようにする。東京都の小池百合子知事は9月14日に都庁での「20時以降の残業禁止」を発表したが、これは素晴らしい提案である。例えばドイツ労働省は2013年から勤務時間後に上司が職員に連絡するのを禁止しており、同様の対策はすでに世界では始まっている。

●過労死という悲劇を繰り返さないために

 ドイツではこんな企業も出始めている。フォルクスワーゲン社は勤務時間終了から30分後に、電子メールの転送を禁止にしている。ダイムラー社は休暇の際に受け取った電子メールは削除してもよいとしている(ただ自動返信にして勤務時間に折り返すことが推奨されている)。こうした例は日本企業ではあり得ないだろう。それでもドイツの生産性は日本よりもずっと高いのである。

 今後、過労死という悲劇を繰り返さないためにも、日本は本気で企業の生産性をいかに向上させるのかについて議論を行う必要がありそうだ。


引用はここまでで、ここからは私の戯言です。

引用した記事のタイトルが

「日本人、それってオカシイよ」

って書かれているのですが、私に言わせれば、その記事に書いてあることがオカシイってことを、しばし述べさせていただこうかと思います。

最近の世論といいますか、引用した記事にも当てはまると思うのですが、「過労死」と「長時間労働」とを安易に結び付けて、長時間労働が過労死を誘発してけしからんから規制せよ、みたいな形に世論誘導しようとするかのような傾向がとても強く感じられてなりません。

しかしこれは、私に言わせれば間違いだろうと思うわけです。

過労は短時間であろうと状況次第で起きるものであって、単純に長時間労働が悪だと決めつけていることに、私は強い違和感を感じるのです。

中には何時間働いても苦にならない人だっているはずだと思います。

例えば、スキルを磨くことで所得を増やせた人とか、所得はそこそこでも職場の雰囲気や仕事などに好感を持てて、みんなと働けることが楽しいと思える人などです。

職場の人間関係、接客する客の質、仕事の向き不向き、過剰なノルマとプレッシャー。

時間外手当が欲しいから、早く帰りたいけど嫌々進んで残業を引き受けていることだってあるかもしれません。

そういったものが労働者個人にどれだけの負担になっているのかどうか、そこの分析を無視して過労なんて語れるものではありません。

ですから、安易に過労=長時間労働がいけないと決めつけることに違和感を感じるのです。


それから、生産性の指摘もあるけど、長期デフレで物が売れない状況が続けば設備投資をしなくなるので、生産性なんて向上しない。

これは特殊な業種を除けば、どの国でもどの会社でもたいてい同じです。日本だけが特別、という訳じゃありません。

一時的、短期的な需要に対しては、一時的、短期的な人員増強と、労働者個人の努力に生産性を委ねる傾向がどうしても強まるものです。

経営者にしてみれば、そのほうが余分なコストがかからなくて済むからだ。

経営者は、一時的な需要のために設備投資してしまうと、いざ需要が減ってしまったときに困ることになるのです。

だから経営者は設備投資するよりも、人海戦術を選び、場合によってはギリギリまで人員を削って利益を最大化させるのです。

株式会社は利益を出すのが目的なのですから、当たり前のことです。

「今日から人を一人減らして別のところへ行ってもらったぞ、もっと早く手足を動かせ、手待ち時間を有効に使え、30秒で手順を終えろ、機械が壊れたらオマエが直して騙し騙し使え、これが今日のノルマだ、達成するまで帰るなと、このように尻を叩かれながら働いた経験のある人は多いと思います。

これが労働者個人の精神的、肉体的負担になって、過労死に繋がることもあるわけですね。

設備投資が増えるとき、すなわち、生産性の向上が発生するときっていつなのかといえば、消費が長期的に増えると思われる時、つまり景気の回復期と、あと一つ、労働者の確保が難しくなったとき、つまり、労働者が売り手市場になったときです。

いまがまさに、その時を迎えつつあるのだと思います。

ここでもし、安易に移民の受け入れなどをやって、外国人労働者が政策的に増やされてしまった場合、労働者は再び安く買い叩かれる市場に逆戻りすることになって、再び企業がブラック化し、これが過労死を生み出す原因になるんだと思います。


もう一つ指摘しておくと、国民の可処分所得が「増税」や「保険料値上げ」などで減っていることも過労死の原因の一つだと思います。

薄給に悩めば悩むほど残業などを受け入れざるをえません。

どんなに今の仕事が嫌でも、明日食べるものに困れば、安易に仕事を変更したりもできません。

次の仕事が見つからなかったら困るし、クビになるのも困るからです。

どうしても溜まる鬱憤を我慢して押し殺して仕事に臨むこととなるでしょう。


なお、今回引用した記事では、

「労働者の大半が一度企業に入社を果たせば、会社やキャリアそのものをめったに変えることがない」

「米国などではさらによい労働条件を求めて転職するのは当たり前であり、給料アップや昇進のために転職をしていくことは普通である。海外のように転職によるキャリア構築は、日本では広がっていない。」

ということが指摘されています。

それが良いことか悪いことかと問われれば、一概にそういう日本人の気質が悪いことだと決めつけるのもよくないと思います。

日本がものづくり大国と言われる所以(ゆえん)って、何なのでしょうか。

アメリカにも有名な企業ブランドはあるにはありますが、ものづくり大国との認識はあまりないと思います。

私は、いろんな仕事を経験してキャリアを磨くことについて、べつに否定はしません。

よりよい職場や給料のところへ転職するのもありだとは思います。

しかし、職が板につき、熟練職人として人々の信頼を得るのは、どんなに仕事がつらくても長く同じ仕事を続けられなくては、得られないものです。

先週入社したばかりです、なんて人に信頼を寄せて仕事を任せる人が、いったいどのくらいいるんでしょうか。

日本がものづくり大国といわれる理由が何かといえば、その職を極めたいという魂のある人が、その職に留まって腕を磨く努力を続けてくれているからにほかならないと私は考えます。

日本には、石の上にも三年ということわざがあります。

三年我慢して腕を磨けば、つらかったことも思い出となり、やがて仕事に誇りが持てるようになる、という意味ではなかろうか。

何度も転職を繰り返す人に「石の上にも三年」なんてことわざが通用するとは到底思えません。

果たして、外国に行っても「石の上にも三年」に該当する言葉ってあるんでしょうか。

人というのは、同じ道具を使い続け、同じ仕事を続ければ、熟練して腕が上がるいっぽうで、人というのは忘れる生き物でもあり、しばらく使わない道具は3年も経てば使い方を忘れたり、扱いが下手になりますし、仕事だって3年も違う仕事をしていれば、以前従事していた仕事の手順を忘れたりします。

ですから、転職を繰り返して、職歴や経歴としての見かけ上はキャリアアップしたとしても、中身、本質もアップするとは必ずしもいえないと思います。

手っ取り早く言えば、この記事を書いた人が「キャリア」と「スキル」の違いについてどう考えているのか。

そこが問われると思うんですね。


さらにこの記事に対する不満点をもう一つ言わせて貰うと、日本人の仕事に対する意識のところで、

「日本人は世界と比べて、ダントツで仕事にいい印象をもっていないことが分かった」

などと記事に書かれているのですが、この書き方にも疑問を感じるのです。

景気が良くて、毎年のように給料が上がって、分厚い中間層がそこそこ豊かな暮らしを享受出来ているにもかかわらず「日本人は世界と比べて、ダントツで仕事にいい印象をもっていない」のであれば、それは確かに大問題なのですが、実際のところはどうなのかと言えば、誰が考えても状況は真逆です。

今の日本はデフレで給料が下がり、しかもそれが何十年も続いていて、派遣社員の低賃金が問題になっている。

所得格差を無くせと、掛け声だけは立派だが、まだほとんど何も対策が講じられていないで、増税や保険料値上げだけは放っておいても進んでいく。

こんな状況を政府がずっと放置していて、仕事にいい印象を持てるわけがないのは当たり前だし、そんな政治や政治家だけでなく、職場の上司にだって不満が生じかねません。

そうして部下に不満がられる上司が、部下に対していい顔なんてできるんでしょうか。

今回取り上げた記事には、本当にいいかげんな分析が目に余るばかりか、問題の本質を過労死にすり替えているわけです。

日本人が仕事にいい印象を持てていないのは、デフレ経済、わかりやすくいえば、不景気でモノが売れない状況を政府が放置していることにあり、そのくせ、政府の懐に金がナイナイと言っては国民の財布に手を突っ込んで可処分所得を奪い、ますます状況を悪化させていることこそが本質なのです。

過労死というのは、デフレ経済の問題をずーっと放置してきた延長線上に、さまざまな要因が重なって顕在化してきた問題なのだと私は思うのです。

よって、「日本人は世界と比べて、ダントツで仕事にいい印象をもっていない」ことを問題にしたいのであれば、政府のデフレ対策についての問題とか、増税や保険料の値上げについて「それはけしからん!」と論じることこそが筋なのではなかろうかと私は思うのですよ。


今回取り上げた記事を読んで、そうだよなあ、と思えたところは、有給休暇が取りにくい、ということだけ。

でも、中にはキッチリ有給を取ったがゆえ、羨ましがられたり、陰口の的にされたりする人もいるわけであり、これは個人の仕事に対する姿勢や職場ごとの価値観による問題なのであって、一律にこうすべきと論じられるものではないと思います。

「有給休暇取るのはみんなに申し訳ない」、という気持ちや心遣い。

こういうきれいごとが過労に繋がって問題だという記事をたまに散見するのですが、他人を気遣える気持ちが持てる日本人の控えめで美しい心を、皆さんは一体どうとらえているのでしょうか。

申し訳ないという気持ちで有給休暇が取れない人の心使いを一蹴する前に、気持ちだけは受け取っておくよ、ありがとう、でも何とかするから休みなよ、という一言くらいあってもいいんじゃないかと思う。

以上、不満は尽きませんが、長くなりますのでこのくらいにします。


Binder: もしかめのバインダー(日記数:160/全体に公開)
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