星谷 仁さんのマイページ

フェレット散歩術/抱っこフェレットの作り方

2008/11/17 20:33

※『アニPAL』第3号(2001年5月号)掲載
 【"抱っこフェレット"と散歩に行こう!】
 を加筆した、あくまで自己流の散歩ノウハウです。
 散歩をするさいの注意点を自分なりにまとめたもので、
 安易に散歩をすすめるものではありません。

フェレットを抱いて散歩に出かけると、フェレ飼いさんからも声をかけられる。
「よくおとなしく抱かれてますね。ウチのコはじっと抱かれてなんかいないのに……」
「どんなしつけ方をしたら、『抱っこフェレット』にすることができるのですか?」
そんな質問を受けること少なくない。
しかし特にしつけをしなくても、やんちゃなフェレットをすぐに《抱っこフェレット》にする方法がある。それは──散歩に連れていくことだ。
僕は雨の日以外はフェレットの散歩を続けてきた。散歩がもたらす《抱っこフェレット》効果や、ノウハウ・注意点について、自己流ながら紹介してみたい。

一番安全なのは飼い主の懐だと覚えさせよう

声をかけてきたフェレ飼いさんで「抱っこさせてくれない」と嘆く飼い主の多くは、散歩の経験がないという。
また、それまで室内飼いのためにおとなしく抱かれたことがなかったフェレットが、初めての散歩でいきなり《抱っこフェレット》になったと話す飼い主さんもいた。ちなみに僕が出会った散歩フェレットは、みな《抱っこフェレット》だった。

なぜ《散歩》が《抱っこ》につながるのか・・・、僕は次のように考えている。
フェレットは遊びに忙しい動物だ。だから警戒の必要がない室内でじっと抱かれているのは、「遊びを妨害される拘束」でしかないのだろう。しかし、未知の世界に連れ出されると、警戒心が呼び覚まされる。見知らぬ場所でフェレットが身の安全を確保できる場所を探したとき、飼い主が最も信頼できる避難場所だということになる。

散歩のときはフェレットが潜り込みやすい上着を着ていくといい。不安そうな時は、懐にすっぽり入れてやると落ちつくし、そこが安心できる場所だとわかれば、散歩中何かの拍子に驚いたりすると、そのたびに飼い主の懐に潜り込むようになる。そうしたことを繰り返しているうちに飼い主への信頼関係が深まっていき、自然に《抱っこフェレット》になるというわけである。

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肩乗りフェレット(動画:3分03秒)
 抱っこフェレット・ブランカのベタなれぶり。

散歩に適した場所は隠れるスペースのあるところ

初めて散歩に連れ出すとき、心配なのは逃走だろう。そこで多くの飼い主はフェレットが逃げ込む場所がない、見通しのよい芝生の広場にフェレットを降ろそうとする。しかし視界の開けた場所というのはフェレットの初めての散歩には向いていないと僕は考えている。実はフェレットはひらけた場所に放されると不安になるようだ。フェレットの原種といわれるヨーロッパケナガイタチの天敵は猛禽類だ。その遺伝子を受け継ぐフェレットが、空からの天敵に丸見えで姿を隠す場所がない状況で不安になるのはもっともな気もする。

ちなみに、フェレットが身を低くして地面に貼り付くのは警戒姿勢。尾の毛がブラシのように逆立っているときも興奮状態を意味する。
逆に好奇心が働いているときは背中を丸め「クックックッ」と言いながらよく動く。ぴょんぴょんと飛び跳ねるイタチダンスがでたらノリノリの絶好調とみていいだろう。
フェレットの動きを観察することで、その場所でリラックスできているかどうか判断できる。初めての場所で警戒するのは当然だが、いつまでも動き出さないようなら別の場所に移動した方がいいかもしれない。

フェレットにとっては、広々とした場所よりも、林や並木・植え込みなど、空が隠れ、物陰が多くある場所の方が安心できるようだ。安心できる場所を選べば、歩いたり遊んだり、散歩に慣れるのも早いだろう。
散歩の回数を重ねてくると、フェレットが気に入ってよく歩く場所と、逆になかなか歩かない場所が色分けされてくる。慣れたお気に入りのコースはよく歩くので、散歩のたびに新たなコースに連れて行くよりも、歩いた同じコースを何度も歩かせるようにした方がスムーズに散歩できるようになるだろう。

散歩する上での注意 12のチェックポイント

前述の通り、散歩は信頼関係を深め《抱っこフェレット》にする効果がある、と僕は考えている。
野外のフェレットは室内とは違った表情をみせてくれるし、新鮮な発見もあって、そういった楽しみもある。散歩に出せば、その後は良く食べ・良く寝るので扱いやすい。生活にメリハリができるし、適度な緊張と運動は肉体的にも精神的にも良さそうな気もする。

しかしその一方、屋外に連れ出せば、事故や感染症の危険は室内に比べて増えることも事実だ。散歩を考えたとき、こうしたリスクについては充分検討しておく必要はあるだろう。
僕は6年余りフェレットの散歩を実践してきたが(※当時)、あらかじめ注意点を把握し気を配ることで、避けられる危険は少なくないと感じている。散歩のさいに注意していた点とは──。

●踏みつけ
未知の世界に連れ出されたナーバスな状態のフェレットはちょっとした事に不安になったり怯えたりして、急に足元に飛び込んでくることもある。素早い動きなので踏みつけ事故にはくれぐれも注意が必要だ。家にいるときとはまた違った反応をすることもあるので目は離せない。
フェレットの散歩するとき、フェレットの真後ろをついて歩くのは危険である。フェレットも背後から追われると落ちつかないし、急に立ち止まったときに踏んでしまう危険があるからだ。なるべくフェレットの視界に入るように位置し、平行するように歩くといい。

●自転車
小さくて、しかも物陰にそって歩くフェレットに気づかない自転車もあるので、周囲に自転車が近づいていないかは絶えず気を配っておく必要がある。
自転車との接触に注意するのはもちろんだが、ブレーキ音などにフェレットがパニックになることもあるので、離れていても注意しておいた方がいい。交差点や下り坂など自転車がブレーキをかけるような場所の近くはフェレットを遊ばせるにはふさわしくない。フェレットが怯えた時は、上着の懐に入れて落ちつかせて、やりすごすといいだろう。

●犬・猫・カラス・トビなど
フェレットが犬に噛まれる事故の話は時々聞く。グランジには散歩仲間の犬もいるし、フェレットと犬を一緒に飼っている人も少なくないが、犬種や個体によって危険度はかなり違うので、注意が必要。
犬の他には猫・カラス、トビなどにも注意しておいた方がいいだろう。フェレットのSPになったくらいのつもりで、絶えず周囲には気を配りたい。

●子ども
小さな子どもがフェレットを見つけると、すぐあとを追いかけようとすることがよくある。子どもによる踏みつけも注意が必要だ。
フェレットがこどもを噛んだりすることがないようにも要注意。

●音
自転車のブレーキ音やベル、犬の吠え声、子どもの泣き声、工事の音、靴音、レジャーシートの音、上空の音(鳥の声・ヘリコプターや飛行機の音・カイトのはためく音・布団をたたく音などなど)。
屋外では色々な音に反応してフリーズしたりパニックを起こすことがあるので、周囲の音環境にも気を配って散歩コースを選ぶといいかもしれない。

●潜り込み
フェンスの隙間や排水溝、木のウロなど人が入れない領域に潜り込んでしまうと大変なので、そういった危険な場所がないか、散歩コースを決める時には注意が必要だ。

●逃走(ハーネスが外れた場合やノーリードの場合)
万が一開けた場所でフェレットと追いかけっこになった時、あわててフェレットのすぐ後を追いかけるのは危険だ。背後から追いかけることはフェレットをますますパニックにする。急に立ち止まったり方向転換して足元に飛び込んできた場合、踏み付ける危険も大きくなる。フェレットを追いかけるときは、脅かさないよう回り込み、併走する形で徐々に近づくのが基本だ。
楽な捕まえ方は、物陰に誘導してから回収する方法である。広い場所で動き回るフェレットを捕まえるのではなく、併走しながらコースをコントロールし、植え込みや物陰などの身を隠せる場所(もちろん安全な場所でなくてはならない)に誘導して、フェレットが落ちついたところで捕まえる。
物陰にかくれたり植え込みなどに追い込んだあとは、鳴るオモチャやフェレットバイトのような好物でおびき出すという方法もある。何も持参していなければ靴を片方脱いでそれでつるというテも有効だ。広い場所で追いかけっこをして捕まえるよりはずっと楽なはずだ。

ノーリードで逃げ回るフェレットを広い場所で捕まえる場合には、いささか技術を要す。直線速度なら人間の方がフェレットに勝るが、フェレットは小回りがきくので、踏みつけないようにしながら安全にキャッチするのは、ちょっと難しい。
フェレットは追いつかれそうになると急に向きを変える。180度ターン・360度ターンをおりまぜてなかなかすばしっこく、安易に手を伸ばせばこのフェイントでかわされてしまう。
こうした状況下で回収する方法は──まず、踏みつけないように並走しながら安全に距離を詰める。そして捕まえる体勢をとりつつ、フェレットがフェイント・ターンをしかけた瞬間をねらってキャッチする。フェレットのターンはまず頭の側から動き、そのすぐあとに下半身がついていく──頭が動いた瞬間に、つぎに動く腰を狙ってキャッチするのがコツである。この技術はある程度の反射神経・運動神経を要すので、誰でもすぐにできる──というものではないのだが。

ハーネス&リードをつけておけば、仮に広い場所で追いかけっこになったとしてもはるかに捕まえやすくなる。

●熱射病
フェレットは暑さに弱い動物なので、熱射病にはくれぐれも注意が必要だ。
夏の日向の地面付近の温度は致死的なレベルまで上がる。車中も要注意。夏の散歩では熱射病対策は欠かせない(※夏の散歩はすべきではないとする意見もある)。僕は凍らせたペッドトルや保冷剤、水浴びセットを持参していた。
フェレットが口を開けて犬のようにハッハッと呼吸するのは暑がっている症状。すぐに体を冷やせる準備をしておくべきだろう。

●拾い食い
公園には人の食べ残しや猫の餌、吐き捨てられたガムなどが落ちていることがあるので拾い食いには注意が必要だ。果実のタネやもろくなったウレタンやゴムのオモチャなどは誤飲すると危険なので目は離せない。

●虫など
グランジの散歩をしている公園で一番警戒している昆虫はスズメバチだ。また毛虫などの中には毒をもつものもあるので注意している。葉が食害にあっている草や枝が裸にされた木の下、イモムシのフンが落ちているようなところには毛虫がいることが多いので、そうした草木の近くでは注意している。落ち葉の下にひそんでいるオサムシ(臭いニオイを放つ)やムカデなどを見つけて追いかけ回さないよう監視もしている。
※【フェレット散歩で気をつけたい危険生物】も参照

●ノミ・ダニ
散歩コースによって、時期によって、また年によっても、ノミ・ダニを拾う率はずいぶん違う。犬が多いところでは拾う率も高い。頻繁にボディチェックをして発見したらすみやかに駆除。フェレットは毛の根元は明るい色をしているので比較的見つけやすい。撫でているときに指先に異物を感じたり、毛を逆目に撫でたりのぞいたりすると見つかることもある。ノミは犬猫用のノミとりグシですきとる。ダニは頭部が残らないように注意しながらピンセットでとる。ダニは耳たぶ(耳の裏やふちの溝の中)や指の間にいることもあるのでそこもチェック。

●感染症
ジステンパーやフィラリアなどは予防方法(ワクチンや予防薬)があるが、もちろんそれらの予防措置をとっているからといって全ての感染症にかからないというわけではないので、不衛生な動物や汚い場所には近づかない方がいい。またフェレットは人のインフルエンザにも感染するので、感染している人との接触も避けた方がいいだろう。

散歩時にあると便利なグッズ

●上着
懐は巣穴兼展望台。懐に入れたフェレットがストンと落ちないようにウエストにゴムの入ったもの・あるいはヒモで裾を絞れるものが便利。前はジッパーで開閉できるとフェレットが出入りしやすい位置や顔をのぞかせるのにちょうど良い位置を調整できる。
●ウエスト・バッグ(&収納物)
ハーネス&リード・セット
・ティシューペーパー(糞の回収などで使う)
・ウエット・ティシュー
・小型ポリ袋(回収した糞などを収納)
・洗濯バサミ(ポリ袋の口を挟む)
・小型ハサミ(爪に糸がひっかかった時に使う)
・ノミとりグシ(ノミ駆除用)
・ピンセット(ダニ駆除用)
・おびきだし用のオモチャ
・給水カップ
・バンドエイド
・小型懐中電灯
・小型鏡(フェレットが潜り込める隙間をチェックする)
●リュック
広い場所などではリュックのようなものがあると隠れ場所や遊び場所になる。また飼い主がトイレに行くときなどフェレットを一時的に拘束するキャリー代わりにも使える。
●タオル
汚れや水を拭くため。
●帽子
植え込みなどの中に潜ったフェレットを逆光側から見ると、太陽が目にはいり見にくいことがあるので、ひさしのついた帽子があると便利。
●運動靴
ゴム底の靴は動きやすいし万が一フェレットを踏んだ時にもダメージを軽減できる。フェレットを脅かす靴音も低くおさえられる。サンダルなどは動きにくい上に歩く時の音がフェレットを神経質にすることがあるので避けた方がいい。
●水浴び用ポリ容器(以下夏用)
熱射病対策を兼ねた水遊びセット。
●冷凍ペットボトル・保冷剤
ホルダーやタオルに巻いてリュックや懐に入れて熱射病予防に備える。

フェレットの行動心理をいつも察しながら散歩する

フェレットの散歩には「これだけ守っていれば絶対に安心」という事はない、そう考えておいた方がいいだろう。フェレットの自由度・安全度は飼い主の管理能力に比例する。同じ場所で散歩させるにしても、フェレットによって、また飼い主によって、それぞれのレベルに応じて安全を確保しつつできる散歩の方法は同一には語れないところもある。経験を重ねればフェレットの行動パターンはある程度予測できて、自由度の高い散歩もできるようになるが、慣れが油断につながらぬよう絶えず自戒しておくことも必要だ。いつもの決まった行動パターンが何かの拍子にひょいと変わることもあるので、経験的な思いこみが思わぬ落とし穴にならないよう、いくら慣れても注意は怠れない。
フェレットが何を感じていてどう行動しようとしているか、フェレットの気持ちを絶えず思うことが事故を未然に防ぐことにもつながるし、また事故を未然に防ぐための洞察がフェレットの観察と理解にもつながると考えている。そういった意味でも散歩は信頼関係を深めるといえるのではないかと考えている。
これまで述べてきたことは、あくまでも経験に基づく散歩法だが、《抱っこフェレット》にしたい、また散歩について考えている人の参考になれば幸いである。

※『アニPAL』(日本出版社)第3号(2001年5月号)/P.44〜P.47掲載の【<ワンランク上の飼育術>"抱っこフェレット"と散歩に行こう!/文&写真:星谷 仁】の文を加筆したもの。

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※グランジの散歩が紹介された雑誌

グランジ&ブランカ@フェレット(散歩アルバムなど)

快走!散歩派フェレット(動画:3分28秒)
 ブランカとグランジの散歩のようす。


Binder: フェレット&小動物(日記数:29/全体に公開)
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