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フェレット:しっぽの役割?

2008/12/14 04:23

〜尾の役割・しっぽふりの意味についての考察〜

「フェレットのしっぽの役割って何だろう?」
飼い始めてしばらくした頃、ふとそんな疑問が思い浮かんだ。

最初にお迎えしたブランカ(ニューター・♀)は通常の尾を持っていたが、2匹目のグランジ(ノーマル・♂)は尾がとても短かった。
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しかし2匹の散歩の様子をみていても、尾が短いことによる不利益を感じた事はない。むしろ通常の長い尾の方が踏んでしまう危険があって、かえってジャマなのではないか……そんな印象すらあった。

ケナガイタチ(フェレットの祖先)はハンターだが、他の肉食動物や猛禽などに狙われる存在でもある。長い尾は見つかりやすいし、抑える標的にされれば捕まりやすくなってしまうかもしれない(フェレットのシッポはつかみやすいが、脱臼することがあるそうなのでので注意)。
デメリットとなりそうな気もするが……だとしたら、フェレットの長い尾は何のために必要なのか、疑問に思えてくる。

ほかの動物ではどうか?
ネコ科の猛獣がハンティングするさい、尾をバランスをとるのに使う──なんて解説していた動物番組があったが……バランサーとしてはちょっと質量不足に思え、僕にはこの説が納得できなかった。尾が短いネコ科の猛獣も存在するし彼らも立派に狩りをこなしているではないか。
グランジだって尾は短かったが、だからといって動きが悪いということはなかった。それどころか、木に止まったセミをジャンプしてキャッチしたり、スズメをとらえたことさえあったのだ。
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後にフェレット飼育書で「尾は鼻先の保温のため」という記事に出会い、なるほどと思ったが、鼻先を温めるだけなら、もう少し短くてもいいのではないか──という気はした。
長い尾はそれだけ体表面積を増やすことになり、熱を奪われやすくなるのではないか?
実際、しっぽハゲのフェレット(ホルモンのバランスの関係で尾が禿げる事はよくある)は冬、寒そうだ。

フェレットの尾で役に立つことと言えば──興奮した時にボッと逆立つので、飼い主としては緊張度を知るサインポイントとして利用できる点だろうか。
もっともそれは飼い主の利点であって、フェレットにとっての利点ではない。

さて、フェレットの尾についての疑問は、もう一つあった。

「フェレットのしっぽ振りには、どんな意味があるのか?」

ふだんは犬ほど尾を振らないフェレットだが……時折激しく尾を振ることがある──狭い所に頭をつっこんで何かを狙っているようなときによく見られる行動である。
これは何を意味するのか?

フェレットの「しっぽ振り」について、『アニファ』第7号(スタジオ・エス)や飼育書『フェレット』(アニファブックス/スタジオ・エス)では、次のように解説している。

「これは<不安><興奮><強い怒り>の表現です」
「なぜかフェレットの頭がトンネルや毛布で
 覆われているときにこの行動をします」

動物が興奮すると尾を振ると言うのは想像しやすい。
ガラガラヘビが威嚇で尾を振ることはよく知られているが、尾が鳴らないシマヘビやアオダイショウなども興奮すると尾をふることがある(ちなみに、ヘビには外耳がないのでガラガラヘビも、尾を振ったときの「音」は、自分では聞こえていない!?)。

ヘビのしっぽ振りも、犬のしっぽ振りも、フェレットのしっぽ振りも、もとは<興奮>に起源するものなのかもしれない。
ただフェレットのしっぽ振りは、どうもその解釈だけでは説明がつかない。

<興奮>でしっぽを振るというなら、なぜ広い所では(興奮しても)しっぽを振らないのか?
なぜ、フェレットのしっぽ振りは狭い場所限定なのか?

この問題について、あるときハタと思い付いたことがある。
きっかけになったのが、散歩中目の前で繰り広げられた、グランジと(偶然でくわした)アオダイショウのバトル──その闘い方だった。

グランジがアオダイショウとの距離をつめようとすると、アオダイショウは近づくグランジに噛み付こうとたわめた首から一気に頭を振り出す。
その攻撃をグランジはバネ仕掛けのようなバックステップで間一髪でかわした。そして攻撃が空振りしたヘビの体勢がととのわないうちに踏み込んで反撃しようとする。
アオダイショウは不充分な体勢から2発・3発目の鎌首を撃ち出してきたが、グランジはふだん見せた事の無いようなマッハのバックステップでかわし続けて、ヘビが空振りした頭を引き戻すのに合わせて懐に飛び込もうとする。
アオダイショウが攻撃の手を休めれば、たちどころに距離を詰められてしまう状況で、無理な体勢から牙をふるい続けるが、グランジはその攻撃を完全に見切っていた。

素早いバックステップで敵の攻撃を紙一重のところでかわし続ける──この動きは、かつて映像で見たことがある「クサリヘビ(毒蛇)を狩りするケナガイタチ」の動きとそっくりだった。

グランジの反撃の圧力に一気に押し込まれる形となったアオダイショウ。
勝負がつく前に、あわててグランジを回収した次第である。

このとき本気で闘うフェレットの姿を初めて見た。
相手の攻撃をかわすバックステップの素早さには驚いた。この技術はフェレットに宿っている本能的な戦闘技術なのだろう。

そして、その戦闘術をふまえた上で、ふとこんな状況が思い浮かんだ。
グランジは後ろも見ずに跳び下がっていたが、もし、バックステップしたとき、すぐ背後に障害物があったとしたら、どうだろう?
相手の攻撃をかわすことができず、一咬みをあびてしまったかもしれない。相手によってはその一咬みが致命的になる事だってあるだろう。
かといって、相手から片時も目を離せないバトルの最中に、後ろを見てスペースを確認している余裕などありはしない。
広い場所なら跳び下がるスペースを心配する必要は無いかもしれないが、これがやぶの中や穴の中など、狭い場所での闘いであった場合、「後ろを確認せずにバックステップ戦闘術」を使うのは危険ではないか……。

そこまで考えたときに、ハタとフェレットのしっぽ振りが頭に浮かんだ。
フェレットが狭いところに頭を突っ込んでいるとき尾をパタパタと振るのは、このためではないか!?

【フェレットのしっぽ振り】は【退路空間を確認するための行動】

──そう考えると説明がつく気がする。

フェレットのしっぽ振りがよく見られるのは、チューブの中で遊び仲間と出くわした時や隙間に頭を入れて何かを狙っているときなど──狭い状況で臨戦態勢をとったときだ。
前方に注意を払いながら退路スペースを確認する必要のあるとき──狭い場所でバトルにそなえて退路確認をしているのだすれば納得できる。
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また透明チューブの中を後退するときなども大きく尾を振りながらトンネルの壁を確認しているようにも見える。
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退路センサーとしての役割を考えれば、尾は短いよりある程度の長さがあった方が感知範囲が広くとれて便利なはずだ。
フェレットの尾が長いのはそのためかもしれない。

ちょっと判りにくいかもしれないが……グランジがチューブにもぐって遊ぶ動画をアップしてみた。チューブ内をバックで進むとき、尾をふって左右の壁を確認しているようすが映っている。


フェレットの尾は閉塞空間での退路確認に使われる──これが役割のひとつであり、しっぽふりの理由の一つではないかと、僕は考えるようになった。

※この仮説はフェレット漫画『ふぇレッツ・ゴー』ハムスペ2005年5月号で紹介
フェレット:しっぽの役割@マンガ版※freemlブログ
ふぇレッツ・ゴー〜しっぽの役割:編〜※Yahoo!ブログ

グランジ&ブランカ@フェレット


Binder: フェレット&小動物(日記数:29/全体に公開)
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最新コメント

  • Comment : 1
    やわらか☆不思議猫
     2008/12/14 19:10
    もの凄〜〜〜〜く説得力のある御説ですね〜〜〜〜
    (゚゚)(。。)(゚゚)(。。)ウンウン、それに違いない〜〜

  • Comment : 2
    星谷 仁
     2008/12/14 20:50
    「【フェレットのしっぽ振り】は【退路空間を確認するための行動】」──それを言うためにずいぶん長々と説明してしまいましが……説得力を感じていただけたようで、ちょっと安心しました(笑)。

  • Comment : 3
    ちゃこ
    ちゃこさん
     2008/12/15 14:33
    かわいいですねぇあれむきかえられるんですねぇ上手です。歩く人わらっていましたねぇ

  • Comment : 4
    星谷 仁
     2008/12/15 15:16
    フェレットはチューブの中で、前進・後退、自由自在です。
    チューブレースでは、逆さになって(背泳のように)天井をかいて進んでいるフェレットもいました。
    画像を撮った時はオフ会で、他にもフェレットやスカンクがわらわらいたので、けっこう注目あびてました。

  • Comment : 5
    ちゃこ
    ちゃこさん
     2008/12/15 20:29
    画像は、動くからみてるとけっこう面白いですね。また時間のある時に見せてくださいね。面白い、面白い

  • Comment : 6
    星谷 仁
     2008/12/15 20:44
    楽しんでいただけたようで嬉しいです。フェレットの動画は他にもいくつかアップしていますし、その他にも色々アップしてあるので、おヒマな時にでもご覧下さい。
    アップした動画の一覧は下記日記に内容サムネイル入りでまとめてあります。
    http://www.freeml.com/ep.umzx/grid/Blog/node/BlogEntryFront/blog_id/53753/user_id/5997720

  • Comment : 7
    ちゃこ
    ちゃこさん
     2008/12/17 09:15
    これって良く見るとバックして走ってたの

  • Comment : 8
    星谷 仁
     2008/12/17 11:29
    画面右から左へは前進、一度顔を出して、左から右へはバックで進んでいます。
    ちょっと見にくいですが、バックで進む時にシッポをふってチューブの壁に触っています。

  • Comment : 9
    ちゃこ
    ちゃこさん
     2008/12/17 15:35
    よく見てるうちに2匹いるのかなと思ったのでもジーッと見ていたらバックで走って外にでたらしっぽだったの真ん中へんで見たら2匹いるようにみえるから

  • Comment : 10
    星谷 仁
     2008/12/17 16:13
    2匹いるように見えましたか。これも忍者イタチのなせるワザ!?
    以前、グランジがくさむらをガサゴソあるいていたら、急に草の動きが二手に分かれて「えっ!? 分身の術!?」とビックリしたことがあります。
    実はグランジが発見したネズミやヒキガエルがあわてて逃げだした──それが分身したように見えただけなのですが……。

  • Comment : 11
    星谷 仁
     2010/02/03 13:03
    デザイン変更後のfreemlブログにテストを兼ねて漫画バージョンをアップしてみた。
    ・フェレット:しっぽの役割@マンガ版
    http://www.freeml.com/ep.umzx/grid/Blog/node/BlogEntryFront/user_id/5997720/blog_id/132022

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