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「たかし楽土」の世界(その四)

投稿者:nangouanさん  2008/07/27 20:30  MLNo.1175   [メール表示]

○ 夢に舞ふ能美しや冬籠
 
 昭和十六年(一九四一)作。もはや、能楽の道を断念したたかしにとっては、「夢の中で舞う」ほかは術がなかったのであろう。というよりも、たかしにとって能楽とは終生まとわりついて離れない妄執のようなものであったろう。その妄執の夢幻の中で、「能を舞う」、その「美しさ」に、さぞかし、「現実に能を舞うことのできない」吾が身を、責め立てたことであろう。しかし、そういう悲愁は、一切、胸中に閉じこめて、夢幻の境地に彷徨うような「たかし楽土」となって、いわば、夢幻能のような美的世界を訴えかけてくる。この季語の「冬籠」の、「堪え忍ぶ」たかしが、即、「さればこそ、『たかし楽土』」という、その「楽土」の正体なのであろう。


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