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「たかし楽土」の世界(その五)

投稿者:nangouanさん  2008/07/28 21:12  MLNo.1176   [メール表示]


○ 金魚大鱗夕焼の空の如きあり

 『松本たかし句集』(昭和十年刊行)の中の一句。茅舎とたかしとは、共に、「如し」の直喩を得意とする作家で、その多用と共に、その句境から、しばしば、「茅舎浄土」、「たかし楽土」と並称される。山本健吉は、「茅舎が形象の中に寓意を含んで絢爛たるのに対して、たかしはただひたすら感覚的と言えるかも知れない。つまりたかしの比喩は『物の見えたるひかり』(芭蕉)をずばりととらえた時出てくるのだ。比喩とは言わば間接的な叙法であるが、そのような間接叙法を直接叙法以上に直接的、端的に駆使し得た時、それは始めて生きるのである」(『現代俳句』)と指摘している。豪華な一匹の金魚を、「夕焼の空」(夕焼けの鮮やかな色彩の変化)の「如きあり」(それを目の当たりにしている)と、「たかしの直喩の代表的な作品」であろう。確かに、こういう句に接すると、芭蕉の「物の見えたるひかり」をとらえた句ということを実感する。


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