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「たかし楽土」の世界(その七)

投稿者:nangouanさん  2008/08/01 08:17  MLNo.1178   [メール表示]

○ 萩むらに夕影乗りし鶏頭かな
○ 我去れば鶏頭も去りゆきにけり
○ 鶏頭の夕影並び走るなり

『松本たかし句集』(昭和十年刊行)の中の鶏頭の三句。一句目、「夕日の中の白い花の萩叢の中の赤き鶏頭」、二句目、その「観照を尽している我とその客体の鶏頭との極み」、そして、三句目、「並び走るのは、鶏頭を染めた夕日とその影」、この三句を見ただけでも、たかしの美的感覚というのを、まざまざと見せつけられる思いがする。と同時に、師の虚子の、「客観写生」、そして、「花鳥諷詠」の一典型という思いがしてくる。虚子は、茅舎をして、「花鳥諷詠真骨頂漢」という名を冠したが、たかしもまた、「花鳥諷詠真骨頂漢」という名を冠することができよう。秋桜子去り、誓子去った、昭和十年代に、虚子が、「茅舎とたかしを得た」というのは、当時の虚子の偽らざる心境であろう。それにしても、「茅舎浄土」の茅舎に比して、「たかし楽土」のたかしの影が薄いのが、どうにも気になるところでもある。


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