俳諧鑑賞広場

メールの詳細(トピック表示)

「たかし楽土」の世界(その八)

投稿者:nangouanさん  2008/08/02 10:51  MLNo.1179   [メール表示]

○ まひまひの円輝きて椿泛(う)く

 『鷹』所収の昭和十二年作。「まいまい」は鼓虫。関東では「水澄し」ともいう。ところが、「関西」では「水澄し」を「あめんぼ(水馬)」ともいう。偶然なのかどうか、能役者の家系に生まれたたかしが「鼓虫」(まいまい)の句というのは、何か因縁めいてくる。たかしは、この「鼓虫」(まいまい)に、真紅の落花して水に浮いている椿の花を対比して、一句にしている。「鼓虫」(まいまい)は、六・七ミリの光沢のある黒い瓜実状の虫で、ここにも、たかしの感性的な色彩的な視点がある。そして、ここにもまた、「たかし楽土」という世界が顕現化してくる。これが、茅舎になると、茅舎は「あめんぼ(水馬)」の句で、「水馬大法輪を転じけり」(「大法輪とはお釈迦様が説かれた偉大なる教え(法・真理)」)と、こちらは、「茅舎浄土」という世界という雰囲気である。しかし、この両者は、師の虚子の「客観写生」・「花鳥諷詠」の教えのもとに、小さな小さな水虫の実景をそのままに写して、「たかし楽土」、そして、「茅舎浄土」という、独特の世界を構築しているのが、何とも、ここでも、「花鳥諷詠真骨頂漢」という名を冠したくなる。


このエントリーをはてなブックマークに追加

メールへの返信はMLのメンバーしかできません。

更新順メールリスト