住宅ローンは頭金なし・諸費用なしでも組める?フルローンのメリット・デメリット

「マンション購入のために、住宅ローンを頭金なしで組みたい」「貯金がないので、頭金や諸費用は用意できないけれど、一戸建てのマイホームを購入したい」と考えている方は、そもそも頭金なしで住宅ローンを組むことができるのか、知りたい方も多いのではないでしょうか。
今回は、住宅ローンを頭金なし・諸費用なしでも組めるのか、後悔しないために事前に知っておきたいフルローンのメリット・デメリットを紹介します。

住宅ローンの頭金とは?

頭金とは何か

住宅を購入する際には、支払いのために銀行などで住宅ローンを組むのが一般的です。頭金は、住宅ローンとは別にあらかじめ用意していた自己資金の部分を指します。例えば4,000万円の住宅を買う際に、頭金として自己資金から500万円を支払い、残りの3,500万円は住宅ローンで毎月決まった金額を返済していくような形式です。

 頭金の平均的な金額と割合について

一般的には、頭金としてどのくらいの金額を用意するものなのでしょうか?まずは注文住宅に関するデータを見てみましょう。
国土交通省「令和元年度 住宅市場動向調査 報告書」によると、注文住宅の頭金(自己資金)全国平均額は880万円でした。建築資金自体の平均額は3,235万円でしたので、頭金の割合はこのうち27.2%ということになります。また、分譲戸建住宅の場合、頭金の平均額は1,021万円でした。こちらは、平均購入資金3,851万円に対して、頭金の割合は26.5%となっていました。物件の種類や価格によって頭金の額には差がありますが、多くの方々が2割程度は頭金を用意していることがわかります。
自己資金データ

【参照】 令和元年度 住宅市場動向調査 報告書 – 国土交通省

フルローンなら頭金なし・諸費用なしで組めることも

フルローンとは

フルローンとは

以前は住宅ローンを借りる場合、物件価格の2割程度を頭金として用意すべきという風潮がありましたが、現在は頭金なしで住宅を購入する方も増えています。
「頭金ゼロで購入可能!」と書かれたマンションのチラシを目にする機会も多いのではないでしょうか。このように頭金なしで、物件価格のすべてを住宅ローンでまかなうことをフルローンといいます。

諸費用を物件価格に加えて融資を受けられる場合も

住宅購入の際には、物件価格だけでなく諸費用(各種手数料や税金など)も支払う必要があります。通常、諸費用の支払いは現金です。諸費用の目安は物件価格に対して7〜10%程度の金額といわれていますが、最近はそういった諸費用にも融資をしてくれる金融機関があります。ただし諸費用の部分に対しては、住宅ローンよりも金利が高くなる場合があるので注意しましょう。

頭金なしで住宅ローンを組むメリット

頭金なし 住宅ローン メリット

手元に資金を残すことができる

頭金を支払うと、貯蓄が一気に減ってしまうおそれがあります。貯蓄が乏しければ、出産や子供の進学などのように、急な出費・大きな出費に対応するのが難しくなるでしょう。
頭金なしで住宅ローンを組み、預貯金や現金として手元に残しておくとそうした出費に対応できるメリットがあります。

返済を早い時期から始められる

頭金を準備するためには時間がかかります。何年もかけて頭金を貯めていれば、住宅ローン完済時期がその分遅くなってしまうおそれもあります。場合によっては、仕事を定年退職した後も住宅ローンを支払い続けなければいけなくなるでしょう。
住宅ローンの審査でも完済時年齢は重要な審査項目です。しかし、頭金なしのフルローンで住宅を購入すれば、頭金を貯めている期間の分住宅ローンの完済時期を早めることができる可能性があるのは大きなメリットといえます。

購入したい物件を買い逃さない

頭金なしで住宅を購入する場合、自分の好きなタイミングで購入できます。「せっかく素敵な家をみつけたのに、頭金を貯め終えた頃には売却済みで購入できなかった…」という事態にならずに済むのです。頑張って頭金を貯めるのもひとつの手ですが、貯め終えた時にちょうど自分の条件に合う物件があるとは限りません。

住宅ローン控除(住宅ローン減税)を利用しやすい

住宅ローンを組んだ人は、新築・中古を問わず条件を満たしていれば、住宅ローン控除(住宅ローン減税ともいいます)を利用できます。
住宅ローン控除とは、ローン残高(年末時点での金額)の1%が所得税・住民税から10年間控除されるというものです(特例により、令和4年12月末までに入居した場合は13年間)。控除を受けられる残高の上限は、一般住宅の場合4,000万円です。頭金なしで住宅ローンを組めば借入額が大きくなりますから、控除額も大きくなります。ただし支払っている所得税や住民税の金額によっては、控除額が支払う税金を上回り控除しきれないことがありますので注意が必要です。あらかじめ、税務署や税理士に詳細を相談しておいた方が安心でしょう。

頭金なしで住宅ローンを組むデメリット

頭金なし 住宅ローン デメリット

無計画だと返済不能になる可能性がある

頭金なしのフルローンで住宅を購入する場合、毎月の返済額が多くなります。きちんとした返済計画を立てていないと、途中で返済が滞ってしまうリスクがあるしょう。また、親の介護費用や収入の減少など、不測の事態への備えも必要です。

住宅価格の下落などで担保割れが起きるリスクがある

頭金なしで住宅を購入し、総借入額が大きくなった場合、それに伴って返済期間も長くなります。時間が経てば経つほど、物件価値は下がっていく傾向があるため、途中で担保割れ(住宅ローンの残高が住宅の時価を上回ること)になってしまうリスクも生じます。たとえ途中で住宅を売却したいと思っても、住宅を売却して得た代金では住宅ローンを完済できないという状況になるのです。
このようなリスクがあるため、頭金なしで住宅ローンを借りようとした場合、金融機関の審査が厳しくなるおそれもあります。

借入れ金利が高くなって返済を圧迫する可能性がある

住宅ローンの総借入額が大きくなり、返済期間が長くなるのに伴って、金利負担や総返済額は増加します。特に固定金利ではなく、変動金利で住宅ローンを組む場合は気をつけましょう。総借入額が大きいほど、金利が変動した場合の影響も大きくなってしまいます。

銀行など金融機関によっては、頭金なし/ありで住宅ローンの金利に違いが出る場合もあります。支払える頭金の額が大きいほど、金利を優遇してくれるケースもあるのです。頭金なしでの住宅ローンを検討する際には、金利についても考慮してから決断した方が良いでしょう。

こんなケースでもローンを組める?

40代 住宅ローン 頭金なし

40代から住宅ローンを頭金なしで組みたい

40代以降に住宅ローンを組む場合は、頭金なし/ありに関して慎重になった方が良さそうです。特に40代後半以降は、住宅ローン審査が厳しくなるといわれています。完済時年齢(上限の目安は80歳)は、住宅ローン審査の重要項目のひとつだからです。自己資金の割合が多い方が、融資を受ける際には有利に働くでしょう。

また、返済計画をしっかりと立てておくことも重要です。頭金なしで40代から住宅ローンを組んでマイホームを購入し、定年退職時の住宅ローンの残高が高額になってしうと、リタイア後の生活が苦しくなります。できるだけ退職前に支払いを終えられるような計画を立てておいた方が良いでしょう。

年収350〜500万円で住宅ローンを頭金なしで組みたい

年収350〜500万円の場合、頭金なしで住宅ローンを組むのは厳しいのではないかと考える方もいるでしょう。たしかに頭金がないことで生じるデメリットもあります。
しかし、大事なのは無理のない金額で毎月きちんと返済していけるかどうかです。あらかじめライフプランをきちんと設計し、慎重に返済計画を立てましょう。頭金を払う代わりに預貯金や現金で残しておくことで、不測の事態が生じても対応でき、住宅ローンを滞りなく返済できる可能性もあります。

4,000万円の物件の住宅ローンを頭金なしで組みたい

頭金なしで4,000万円の住宅ローンを組むのは得策なのでしょうか?もちろん頭金を支払った方が借入額は少なく済みます。しかし、賃貸住宅に住みながら頭金を貯める場合は、家賃の支払いが必要です。

例:4,000万円の10%である400万円を頭金として貯める場合
家賃7万円の賃貸マンションに住みながら、5年かけて貯める場合、総額420万円(7万円×12カ月×5年=420万円)を家賃として支払う必要があります。このように家賃だけでも大きな出費となりますので、頭金を貯めずに早くから住宅ローンを組んでしまうのもひとつの手です。その場合、余裕のある時には繰り上げ返済をして、なるべく早めに住宅ローンを完済した方が安心でしょう。

まとめ

頭金なしで住宅ローンを組んでマイホームを購入するという選択肢には、メリットもデメリットもあります。大切なのはライフプランに沿った返済計画をきちんと立てておくこと、そして不測の事態への備えも忘れないことです。
また、住宅ローンの審査基準や金利は、金融機関や商品によって異なります。各金融機関の住宅ローンの内容についてしっかりと下調べしつつ、自分にとって最適と思える選択をしましょう。