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国外避難民の心理 −−ライラ・アンワルのブログ

投稿者:山本史郎さん  2010/01/11 13:52  MLNo.2027   [メール表示]

URUK NEWS イラク情勢ニュース           (転送・紹介歓迎)
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2010年1月10日

  [飛耳長目録 today''s news list]

☆イラク: スンニ派の主要政党を占拠から排除
☆国外避難民の心理 −−ライラ・アンワルのブログ

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☆★イラク: スンニ派の主要政党を占拠から排除
  Iraq bars major Sunni party from election
ロサンゼルス・タイムズ 2010年1月7日
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http://www.latimes.com/news/nation-and-world/la-fg-iraq-politics8-2010jan08,0,7936929.story

 サリフ・ムトラク党首は、サダム・フセインの旧バース党と結びつきがあると
みなされ、彼も彼の率いる政党も3月の選挙には参加できない。これは宗派主義
の緊張を高めかねない動きである。

 バグダッドからのレポート −− イラクにおける国民和解に悪い予兆(きざ
し)が現れているなかで、スンニ派のある主要政党が3月の選挙への参加を禁じ
られた。サダム・フセイン執政時代に、その党首がバース党と結びつきを持って
いたからだという。政府高官が1月7日に語った。

 この決定は次の総選挙に大きく影響するものとみられる。アメリカ政府高官は
、米軍兵力を大規模に撤退させるためにも、イラクを平和な国にして撤退するう
えでも、選挙でイラクが安定する(と装うことができる/訳者補足)ことを願っ
ている。

 アリ・ラミ事務局長の発表によると、立候補者がバース党と関係ないかチェッ
クしてきた公正監査委員会は、著名な国会議員でもあるサレフ・ムトラクの名前
を選挙の失格者名簿に記載した。

 つまりラミの話によると、ムトラクが率いる「イラクの対話戦線」は選挙への
参加を禁じられるということだ。

 2005年12月の前回選挙ではムトラクの資格に問題はなかったが、ラミの
話によると、ムトラクが「バース党員であり自らもそう名乗っていた」ことを示
す新しい情報を入手したという。

 不満をつのらせるスンニ派イスラム教徒の代弁者として、ムトラクは一目置か
れる世俗主義者=政教分離主義者であり、政治プロセスにも参加の意思を持って
いた。

 ムトラクは旧政権に出仕していた人々に共鳴していることを認め、彼らが20
03年の米軍侵攻以後は差別されていると感じている。

 彼は「共鳴とは違う」と言う。「私はイラクで抑圧されている人々に共感を持
っており、バース党員は抑圧された存在だ」と。

 ムトラクと連携してきたスンニ派の政治家は、対応を協議するために今日、会
合を開く予定だった。選挙ボイコットもありうると主張する者もいて、それは国
を内戦状態に引き戻しかねないが、選挙ボイコットは2005年1月の最初の選
挙ではスンニ派に広がりを見せた。

 強硬なナショナリストのグループである「イラク国民統合」の党首オサマ・ヌ
ジャファは、「それは政治プロセスを大きく後退させるものだ」と話す。彼はシ
ーア派至上主義者の支配に反対して、ムトラクとともに幅広い連合を形成するこ
とを計画していた。

 ヌジャファは、ムトラクの支持者は政府を説得して事態を乗り越える道を模索
しようとしている、という。

 政治アナリストのワミド・ナドミは、「もしアメリカ政府がこの決定を変えさ
せなければ、おそらく選挙ができないか、いわゆるスンニ派出身の候補者は全員
が選挙に参加しないだろう」と語る。

 ムトラクは幅広い国民的支援を呼びかけることはできないが、宗派にこだわら
ずシーア派の宗教政党に反対する人物として、ある種の政治潮流を代弁する指導
者だと広く認知されている。彼は信頼できる政教分離主義者だと自分を性格づけ
ており、かつてはバース党員だったが、1970年代後半に離党した。

 2005年には、ムトラクはスンニ派のレジスタンスと接触があるとウワサさ
れ、アメリカの高官たちは、ゲリラとの橋渡し役として彼が政治プロセスに参加
することを歓迎した。

 ムトラクの政党は前回選挙では11議席を獲得したが、おおらく3月の選挙で
は多くは獲得できないだろう、とナドミは言う。しかしシーア派の投票は、マリ
キ首相の「法治国家連合」と「イラク国民合意」に分裂することが予想され、そ
うなればムトラクのグループが次期首相選びに主導的役割を果たすことになる可
能性もある。


http://www.uruknet.info/index.php?p=61944


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☆★国外避難民の心理
  Hearts in Exile...
ライラ・アンワルのブログ  2010年1月7日
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http://uncensoredarabwomanblues.blogspot.com/2010/01/hearts-in-exile.html

 私の出会うイラク人、そして自分自身のなかに、「奇妙な」現象があることに
気づいた。 亡命(国外避難)について話すことを避ける、ということだ。

 国外避難のことが頭によぎると、決まり文句はこうだ、「私たちに何ができる
。これは神の思し召しだ。責任を負うべき者には神の懲らしめがあるだろう」。
それで一件落着。

 イラク人避難民の状況やその苦境について、誰でも幾つかの文章を読むことが
できるが、避難民の内面的な感性や、私的な体験については知ることができない


 こないだイラク人の知人から新年の挨拶を伝える電話がかかってきて、しばら
くおしゃべりをした。いつものようにバグダッドの話になり、彼は次のように話
した。

 「ライラ、この話と場所については、これまで僕は口にしないできたんだ、い
いね。治りかけたカサブタを剥がないでおくれ。・・・戻ったところで、ここに
落ち着けないのと同じで、あちらにも落ち着けそうにない・・・。」

 今日の午後、私はずっと散歩しながら、彼の言葉について考え込んでしまった
。国外避難について考えるのは、心穏やかなことではない。感情が高ぶってくる
と、私の心は自分自身をいつわり、注意をそらそうとする。

 私は現実と向きあって、それに折りあいを付けなければならない。私はイラク
に帰れない、どこに行ってもヨソ者あるばかりか、足を一歩踏み入れたとたんに
、誘拐され、殺されるかもしれない、・・・これは夢物語ではなく、ひじょうに
現実的な話・・・。

 国外避難生活を送っている大勢のイラク人にとっては、<帰国禁止法>が適用
されてるのだろう。・・・その多くはスンニ派教徒とクリスチャン、あるいは他
の少数派の人々である。私たちは皆、その宗派・民族ゆえに国外に亡命してきた
。ある者は自分の家を民兵に奪われ、民兵の家族が今も住み着いている。私たち
は待っている・・・待ち続けて、ずっと待つことになりそうな感じさえしている


 たとえ戻っても何ごとも起こらず、すべてが快適であると仮定しても、私はそ
こに、その社会に適応できそうにない。

 ベールを剥ぎ取られたくないし、毎日のような嫌がらせもゴメンだ。そうでな
くても、どこに住むというの? 親類のところに、いつまでも厄介(やっかい)
になるわけにはいかない。その問題が解決されても、誰が私を雇ってくれるの?
 自分の仕事を始める方策もないし、どうやっていいかも判らない。唯一の手段
が直接または間接に政府機関につながる仕事だとしたら、占領軍の操り人形のた
めに働くことができるというの? たとえそれをガマンするとしても、誰がスン
ニ派アラブ人で女の私を雇ってくれるの? 

 もしも雇ってくれる者がいたとしても、絶えず愚弄される恐怖のなかで、生き
延びることができるかしら。この人でなかったら、あの人が民兵に属しているの
ではないか、あるいは宗派主義の政党に入っているのではないかと、考えること
さえ怖い。そんななかで生きてゆけそうにないし、もし生き延びたとしても、何
か未知の理由で恐ろしいことが起こったら、誰に頼ることができるだろう。警官
からして民兵だし、法治国家どころではない。・・・こんなことをあれこれ考え
ると、不安ばかりが増幅されて、パニック寸前になってしまう。

 どこからどう見ても、好かれ悪しかれ、私には<帰国禁止法>が適用されてい
るのだと思い知らされるだけ。いいいえ、私だけでじゃない。多くの人々が同じ
目に遭っている。<帰国禁止法>は彼らにも適用されている。

 それは成文化された法律ではないけれど、私たちは皆それがずっと有効なんだ
と悟っている。大勢の避難民がなぜイラクに戻らないのか、その理由がここにあ
る。私たちはどこにも行く場所がないことも周知のこと。国外をさまよう異邦人
であり、祖国にいてさえそのような異邦人が増えるばかり。

 このとても強いホームシックを忘れていたいので、自分がそうであることを話
したくないし、その現実と向きあいたくなくて、自分の内面を閉ざすみたいに、
避難民であるという現実から目をそらしていたい。・・・とはいえ、何も考えな
いでいることも耐え難いほど辛い。

 イラク人が国外避難民である自分の心境を話そうとせず、話題を変えようとす
る理由を私は知っている。苦痛がとても激しいうえに、その苦痛から生じる観念
−−二度と帰国できないんじゃないかという観念がそれ以上に痛々しくて、その
感情を言葉で表現することなんてできない。

 海岸にたたずんで水平線の向こうにある彼岸を見つめている、そこは遙か遠く
というのではないのに、隔絶されてしまっている、といった感じに似ている。あ
るいは、岸に立って、知りつくし深い愛着を持っている場所を見つめ、向こう岸
に渡る小舟を捜しまわっても舟が見つからない、そういう感じ。

 私は思考を中断せずに、というか自分自身に語りつづけるために、歩きつづけ
る。そう若くもない一人の女性、・・・私は再びバグダッドの街を見ることなく
死ぬのだろうか? 二度と見ることなく? ほんとにそうなるのかな? 生まれ
育った家を見ることなく、先祖の墓参りもできずに、慣れ親しんだ香りをかぐこ
ともなく?・・・そう考えること自体が私を死に追いやるみたい。これからの人
生を異邦人として生きるのかな?

 歩きつづけていると、どこか深い胸の内から、ささやく声が聞こえてくる−−
私を家に連れ戻して。

 私は涙をぬぐうこともせず、通りすがりの人たちが私の顔を見つめているなか
で、ティッシュを手にして、外国人が宿を求めてドアをたたくふりをする。まる
でゴミが目に入って涙が出たか、あるいは冷たい風が顔に吹きつけたみたいに。

 家に戻ると、母がもの悲しそうに語りかける。もう一度バグダッドを見るとし
たら、棺桶の中からなんだろうね。きっとバグダッドに葬っておくれ、と。


http://www.uruknet.info/index.php?p=61903











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