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その7

投稿者:エレドナットさん  2009/07/16 21:46  MLNo.99   [メール表示]

寮の自室に戻り、クララに渡された小瓶を見つめるアメリア。今日起こった出来事を反芻するとこの小瓶の意味が見えてくる。マラリヤに貰った薬を飲んだら体の性別が逆転してしまった。いや、しようとしている途中か。自分が最初に頼んだ薬とは効果が全然違う。その後、薬の解毒法を聞こうとマラリヤを探すが見つからず。授業には出ていたのにも関わらず。しかも寮を訪ねてみればやはりマラリヤの姿はなく、代わりにクララから渡されたのがこの小瓶。この事から考え得る推論としては

「罠…かしら」

どう考えても不自然だ。解毒薬でなく「飲むと夢と現実を行き来できる」薬を渡す辺りなんかは如何にもマラリヤらしいわざとらしさだ。しかもマラリヤ本人ではなく、何も知らないクララの手から、というのが一切のマラリヤ本人への質問のスキを与えない周到さとも言える。

「でも…」

こうして「自分一人しかいない状況で薬を持っている」事にアメリアは違和感を覚えた。これなら飲む、飲まないの選択肢が完全に自分の判断に委ねられている。あのマラリヤが「この黄金水をアメリアに飲ませよう」というのならそれこそ「飲まなきゃ死ぬ」くらいの状況を用意しかねない。そこまでの完璧主義者にしてはこのお粗末な状況がアメリアは釈然としなかった。

「そもそもマラリヤさんの狙いって…」

そう、そこが判らない。一番確実な方法は今すぐこの黄金水を飲んでみる事なのだが…

「まぁ、時間はあるわ。こうしてじっくり腰を据えて静かに考えれば何か見えてくるはず…」

そう呟いて、ふと何かを忘れている気がした。直後、自室の部屋をノックする音が聞こえた。

「誰かしら?全くこの忙しい時に…」

ガチャ

玄関に向かいドアを開けようとノブに触れる一瞬前にドアが勢いよく開いた。そしてそのノックの主は勢いよくアメリアに抱きついた。

「え!?あっ!あなたは…!!」

「アメリア先生―!!一体いつまで待たせるんですかっ!?もうすぐ日も落ちちゃいますよ!!」

「リ、リディア先生!!」

すっかり忘れていた。完全に忘れていた。今日は授業が終わったらリディアの部屋に泊まりに行くのであった。だがアメリアにはその忘れていた事への後悔より、今リディアに抱きつかれているこのシチュエーションに、鼓動が早くなっている事の方が問題だった。

「ずーーーーっと部屋で待っていたのに。アメリア先生全然来てくれないし…しかも外はどんどん暗くなっていくし…もうトイレも我慢して待ってたのに、遂に我慢できなくなってこうしてアメリア先生の部屋に来たのよ!」

「結局トイレは我慢したのかしてないのか…」

アメリアの微妙な突っ込みも耳に届かず、リディアは息を切らしている。

「もう…急いでここまで来たからつかれちゃったわ…」

「急いで…って、そもそも私とあなたの部屋って向かいじゃないの」

「とにかく走ってきたせいで喉がカラカラなんです!」

そう言ったかと思うと、リディアはアメリアが持っていた小瓶を奪い取ると…

「あっ…それは!」

「貰いますよ!飲み終わったら私の部屋に行きますからね!」

ゴクゴクゴク…

「あー…あー…」

アメリアはただ、リディアが黄金水を飲み干すのを黙って見ているしかなかった


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